♯24 メビウスの輪
ジュテームが鈴鹿を手で遮って。
「こいつは一撃で倒すのは無理だ。手合わせしてわかったんだが、どんな大ダメージでも単発の攻撃にめっぽう強えぇ。しかも徐々に回復してやがる。だが連続で攻撃し続けられれば、最後まで削りきれるかもしれねえ!」
タモちゃんは周りを見渡した。
エターニャたちもタコ男に苦戦を強いられていて余裕がない!
「鈴鹿、みんなに早口の神通力を唱えて!」
「そうすると威力増大の術がっ……」
「構わない! 一斉連続攻撃のチャンスにかける!」
「わかりました! 多弁饒舌立て板に水、舌端火を吐け、口早招来!」
「みんなっ、途絶えることなく魔法をつないで、カニ巨神を攻撃できるっ?」
「やってみる!」
「3!」
「2!」
「1!」
「唱えられるだけ唱えてつなぎ合わせてっ!」
半が被害甚大の魔忍法を。
「魔忍法、堅守がた減りの術!」
クライネが防護強化解除の魔法を唱えた!
「耐久、防御、強化解除!」
アマツカゼと菜乃花と菜乃葉は、口をそろえて大辻風の魔法を詠唱し。
「どんぱろね・とちもかゆ・からそかさともう!」
デッドリィとエターニャとロナが、氷山落としに嵐の業火、深海の圧殺魔法を立て続けに唱えてつなぎ合わせる!
「サブラオネ・ヒヤホセイチェイ・ヒヤシェウギン!」
「ゾ・ツラビリ・ヒルアミジ・エビ・フリ・ウキシピレーデ!」
「ロ・ローノ・ヌリ・ペッツェ・ネン・ケネシチュ・レチュオーネ!」
そしてみんなに念を打ち込んだタモちゃんの髪の毛が。
「妖力フリーイング!」
七色に光り輝いていく――。
「往古の神よ、大地へ鎮まれ! 一切合切大神の、生々世々大滅殺、永劫封印!」
火、水、風、氷、土、雷、そして光と闇の源が、カニ巨神を圧縮、融解!
素粒子レベルへ分解していく――。
この一連を一瞬のうちに五度繰り返したとき。
卵の殻にひびが走ったように。
周囲の壁に亀裂がズシャリ。
そして底が!
地面がごっそり抜け落ちた!
エターニャが即座に。
「ルバツーテ!」
みなに空中浮揚の魔法を唱えた!
足下に突如顔を出した真っ赤な海。
溶岩だ!
カニ巨神とタコ男たちが黄金ともども流れ落ち、沈み込んでいく。
「タモちゃんの不死の薬がーーっ!」
アマツカゼがカニ巨神の仮面に手を伸ばすも――。
間に合わない!
溶岩がすべてを溶かして。
大量の火山ガスが噴き出してきた!
「ここにいちゃ危険だ!」
「脱出するわよ!」
エターニャとデッドリィがクモの残党を蹴散らして。
疾風のように飛び抜けていく。