♯23 奮戦力闘!
「あたしは左半分のタコをやる! エターニャさんは右から来るのをやっつけて!」
「久しぶりの大活劇だな!」
エターニャはデッドリィと目で頷き合って散開し。
「ロナちゃんは拙者とともに弱体化でみんなをフォローしましょうか!」
「必死で覚えた毒魔法が炸裂しちゃうぞっ!」
「クライネは状態異常があったら解除する!」
「わたしは回復重視でサポートしとくわ!」
アマツカゼたちが斜に構えた直後。
タコ男たちが一斉に。
「コンチョアト・カチャア!」
何かの呪文を唱えた瞬間。
しましま模様の影が入ったように、視界が狭くなって暗転し出した!
「目くらましですっ!」と、半。
「さっそく来たな!」と、エターニャ。
「なんか体もだるくないーっ?」と、ロナ。
「クライネ、今度こそ出番よっ!」
デッドリィの指令に。
「はーい! 状態異常解除!」
クライネの軽~いひと言で、魔法がサアーッと解けていく。
すかさず。
「こあひき・さともう!」
アマツカゼが治癒魔法でみなの体力を回復した。
ロナはバッと立ち直り。
「やってくれたなあっ、お返しだ! ソアリアネ・デキ!」
催涙の毒魔法を唱えると。
タコ男たちがうずくまって、赤子のように泣き出した。
「効いている! 効いてる! こいつらはロボットじゃないよっ!」
ロナがガッツポーズをする。
「エターニャさんっ、ひるんでる今のうちに!」
「一気に片づける!」
デッドリィとエターニャが氷と火の魔法を唱え始めた。
「コロドネ・セサカユ・ケエラチク!」
「シピルッデ・ゾ・ヒルアミジ!」
細胞が芯から凍り付き、あるいは火の海に捕らわれて、タコ男たちが凍結、もしくは焼き尽くされていく。
「よしっ!」
はずだったのだが!
それでもなおタコ男たちの大半が。
立ち上がって号泣しながら襲いかかってきた!
「こいつら不死身なの~~~っ?」
「不死の薬を飲んでるんじゃないかあっ?」
デッドリィとエターニャが再度魔法で退治を試みる、その一方。
カニ男の巨神の相手をしていたタモちゃんたちは。
戦うと言うよりも、もはやごり押しの防御で耐えていた。
カニ巨神が打ち下ろしてくる、巨大な逆ピラミッド型のメイスを、ジュテームが衝撃波を撃ち放って、打ち消している状態だ。
それはまるで、山のような岩石をアッパーカットで打ち返しているよう。
その度に衝撃が地面に伝わって。
大量の黄金が波紋のように跳ね上がった。
「一発がマジ重ぇ、ずしっとくっけどよぉ、そんなんじゃ俺の壁は崩せねえぜっ!」
直後!
「ロポント・タンコタァ!」
カニ巨神の強烈な三連撃!
黄金の海に膝上まで沈み込みこんでしまうほどの強打が、ジュテームを叩き潰した。
かろうじて衝撃波で弾き返すも。
「ジュテーム、だいじょうぶっ?」
「たいしたこたぁねえ!」
ジュテームの額から汗がしたたり落ちている。
「鈴鹿、あたしたちだけでやろう!」
「待ってください! 一瞬でいいので、みんなの力が必要です!」
いつも冷静沈着な鈴鹿が、顔に焦りを滲ませていた。