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♯22 護り神

 しばらく黄金のかけ合いっこをしていたのだけれど。


「みなさん! 感じませんか……」


 半がそぉっと背後に目を向けた。


 空間の奥の奥。


 真打ちが登場するかのように、明かりがバッと照らされたその先に。


 この財宝を護るようにして。


 中央に鎮座していたのは。


 黄金の仮面をかぶった、カニ男だ!


 腕が四本あって、そのうち二本がカニの巨大なハサミになっており。


 胸からカニの細長い両目が飛び出している。


 胴体からは左右四本ずつのカニの足が生え。


 短くて太い足で巨体を支えている。


 金で装飾された全長は、十メートル以上はありそうだ。


 ピラミッドを逆さにした形が先端についた、金の錫杖(メイス)を持っている。


「あれ、本で見たことあります。アンコ帝国時代の海の神さまですよっ!」


 あまりの巨体さに、鈴鹿が恐れをなして唾を呑み込んだ。


 ゆっくりと立ち上がった海の神様が。


 (おもて)を上げて。


 みなを見下ろしたとき。


 気がついたのだ。


 衛兵らしき者たちに囲まれていることを!


 体は人でも、背丈が二メートル以上もあるそれらは。


 やはり顔に黄金の仮面をかぶっていて。


 顔の周りにタコの足が十本生えている。


 それは一見、デフォルメした太陽の絵のようだ。


「ぜったいラスボスだあっ」と、タモちゃん。


「エディモウィッチが自ら取りに来なかったのは、こういうことだったんですね!」と、半。


「でも内陸の山ん中なのに、なんで海の神様なのっ?」


「デッドリィちゃん、内陸の山だからこそ、海の産物に畏敬の念と崇拝があったらしいです!」と、鈴鹿が答える。


「みんな、あの巨大な黄金の仮面を見て! 装飾の緑色みたいなのが蓬莱らしいの!」


 アマツカゼがカニ巨神の仮面を指さした。


「あれ、宝石じゃなくて、不死の薬なんだっ!」と、ロナが食指を動かした。


 カニ男の巨神やタコ男の衛兵たちが咆哮を上げて――。


 タモちゃんたちに襲いかかってきたと同時に。


 来た道の出口から逃げられないように、ガイコツロボットの巨大クモが塞ぎ合って通せんぼをした!


「逃げ場がないよ!」


「これは戦うしかねえな!」


 クライネとジュテームが身構える。


「衛兵の数が多すぎるわ! まずは衛兵を倒さなくちゃ! アタッカー集まって!」


 デッドリィの呼びかけに。


「カニ巨神どうするっ?」


 エターニャが引き気味に問いかけると。


「あたしが引きつける! ジュテーム、鈴鹿、来て!」


 タモちゃんの言うことがわかっていたのか。


「おらおら、カニ野郎! 俺と力比べしてみろよっ!」


 ジュテームが真っ先に突貫していく。


「時間稼ぎをしているあいだに、みなさんで衛兵をお願いしますっ!」


 鈴鹿とタモちゃんがジュテームの後を追うさなか。


「菜乃葉! わたしたちは後ろのクモをなんとかするわよ!」


「退路の確保だよね? うち、がんばる!」


「ほらほらっ、あんたたちなんか蹴飛ばしてやるんだからっ!」


「で、できれば今のうちに逃げ出してくれると、うれしいなあっ!」


 菜乃花と菜乃葉が入り口へ駆けだした。

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