♯19 いざ、お宝の眠る世界遺産へ!
「時間を超越できるなんて、世界でも数えるほどじゃないですか!」
「鈴鹿さんも凄い!」
尊敬の眼差しで、菜乃花と菜乃葉が鈴鹿を見上げる。
「まるで国家元首が使う固定ポータルを生み出せる、スーパー魔法使いみたいだねーっ!」
少し大げさな振りをして、賞賛の声を上げるロナに対して。
「固定ポータル、うちにあるぜ!」
ジュテームが耳を疑うだろう事実を自慢してやると。
「ええーーーっ!」
ロナやアマツカゼ、菜乃花に菜乃葉が面白いように仰天する。
「午後3時から行くとして。時間を8時間めい一杯進めたら、マチュピチュは午前9時になりますね。今から行っても、午前11時くらいでしょうか」
「鈴鹿、今日はさすがにキツいかな……。あはは~」
「タモちゃんも疲れてるみたいだし、今日はゆっくり寝て、完全に回復してから、あした埋蔵金掘りに挑みましょーーっ!」
「おおーーーっ!」
デッドリィの掛け声に、タモちゃんたちは十一個の拳を突き合せて、威勢良く掲げたのだった。
次の日の放課後。
鈴鹿たちが瞬間移動の神通力でやってきたのは。
標高二千四百メートルの山の尾根。
そこには青空に映える石造りの建造物が所狭しと建ち並んでいて。
緑鮮やかな段々畑が広がっている世界遺産だ。
「ここがマチュピチュか、すっげえな!」と、ジュテーム。
「埋蔵金の匂いがぷんぷんします!」と、半。
「お宝がロナちぃを待っている!」と、ロナ。
今のマチュピチュは乾期のようで。
朝の気温はすがすがしく。
空気も澄み渡っている。
「でもどうして山の裏側から見ているの?」と、タモちゃん。
「全体を見て、気分をアゲるためじゃない?」と、デッドリィ。
「遺跡のなかへ行こうよ!」と、クライネ。
ちなみにクライネは、今日も半と同じくらいの背丈になっている。
アマツカゼは急斜面な山道を降りながら。
「こちら側から入り口に向かうのよ。ついてきて」
ひとり先導し始めた。
「遺跡の中にあるんじゃないんですね!」と、鈴鹿。
「まあ、世界遺産を掘ったらマズいか」と、エターニャ。
「遺跡には入場制限があるみたいです」と、菜乃花。
「監視の目がありましたね」と、菜乃葉。
「ここはピラミッドの頂上みたいなところなの。入り口は中腹にあるものよ」
みなが「へえ」と相づちをしてついて行く。
タモちゃんたちはアマツカゼに連れられて、険しい山の小道を降りていった。
「ここよ」
アマツカゼはただの土壁を指さして、金属探知の魔法を唱えると。
「かんぜきとんた!」
宙空にぼんやりと、映像が現れだして。
サボテンを輪切りにしたデザインの、金の装飾品が大量に浮かび上がってきた。
「金ぴかだ~~~っ」
クライネが目を光らせて飛び上がる。