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♯16 お師匠さま直伝の!

「脱水症状で、意識が……もう……」


「タモ……ちゃん……」


 みなが気を失いかけた。


 そのとき!


 熱風ドームの壁面が。


 剥がれるように、一気にメルトダウンした!


 そして間髪を入れずに。


「ヲロアトクネ・デキ!」


 魅了された生徒たちが、転げるように笑い始める。


 崩れ去る壁の向こう側から現れたのは、ヨットパーカーの!


「ロナッち登場っ! デッドリィちゃんのお師匠さま直伝、毒魔法で邪魔な生徒たちは掌握したよ! あの子のスフィアも壊したいけど、ドームを壊すので……、魔力を使い過ぎちゃったぁ……てへ」


 ロナが息も絶え絶え、冷えた水をみんなに振り撒き、うずくまる。


「ロナッ……!」


「遅いですよぉっ……!」


「タモちゃん、鈴鹿ちゃん、遅刻しちゃったぁ……へへへ」


「でもナイスなタイミングですっ……!」


「クライネ、生き返るぅ~~っ……!」


「このときのための水魔法だなっ……!」


 半もクライネもエターニャも、冷えた外気と冷たい水に生気を取り戻したが。


「あとは任せて。あたしとエターニャさんで……くっ……」


 蓄積されたダメージが、デッドリィとエターニャを、容易に立ち上がれなくさせていた。


「魔忍法っ……かっ……。はあはあ……」


 半も鈴鹿もクライネも、手を伸ばして見上げるのが精一杯だ。


「あたしだけでやる!」


 タモちゃんが不屈の精神で、立ち上がる。


「ダメよ! 蘇生を繰り返すと、屍人形にする魔法が効かなくなるの! タモちゃんは、もうっ……!」


「これで死ぬわけじゃない。今はアマツカゼを助けるのが優先だ!」


 そこへ割って入ってみせたのが。


「俺の見せ場を忘れるんじゃねえ!」


 意地だけで立ち上がったジュテームだ。


「これぞ豪快(ごうかい)豪傑(ごうけつ)威風堂々(いふうどうどう)、てめえの(から)()()もってんじゃねぇええええーーーっ!」


 ジュテームが撃ち出す渾身の衝撃波が。


 スフィアの殻を強引に切削(せっさく)する!


 熱風スフィアの表面が剥ぎ飛んで。


 厚みや色味が薄くなった!


「ギリギリまで手加減しろよ? 俺より先にいったら承知しねえぞ」


 ジュテームはどうよと微笑んだのち。


 タモちゃんの笑顔を見届けて。


 その場へ、どっとへたり込む。


 ――ジュテーム、ありがと!


 タモちゃんはスフィアに念を打ち込み。


「妖力フリーイング!」


 タモちゃんの髪が碧落(へきらく)に染め上がっていく――。


(けが)れし情意(じょうい)()(はら)え! 風神(かざかみ)大神風(だいしんぷう)級長戸(しなと)天つ風(あまつかぜ)!」


 周囲の空気が渦巻くように引きつけられて。


 猛烈に吸い込まれながら、アマツカゼを取り囲んだと思いきや!


 爆風を発したのちに、天へと昇る竜巻が、大地からそそり立った!


 アマツカゼを閉じ込めていたスフィアが烈風に運ばれ天へと打ち上がり。


 閃光の輝きを放った直後。


 清澄な息吹とともに、大地へ吹き降りてきた。


 取り巻く風がふわりとなくなり。


 気圧が一定に落ち着くと。


 そこからスフィアや呪縛は消え失せていた!

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