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♯12 いらっしゃい、わたしのバトルフィールドへ

「その人を解放しろ! そうすれば相手をしてやる!」


 タモちゃんが身構えると。


「お目にかかれて光栄だわ。相手にとって不足なしね。あなたはもう用済みよ」


 マジカリストの少女がレジスタンスの男性を、菜乃花の方へゴミのように払い飛ばした。


「わたしの名はアマツカゼ。アマきゅんって呼んでね。さあ、かかっておいで」


 黒煙で姿がよく見えていなかったが。


 突風が吹き抜けて。


 視界が広がったとき!


「その制服!」


 アマツカゼの着ている服が、タモちゃんたちと同じコスモス色のセーラー服だと気がついた。


「奇遇ね。わたしと同じ学校の生徒だなんて」


 アマツカゼがスカートの裾を摘まんで、西洋式の綺麗なお辞儀をしてみせる。


「こんなことをして、明日から学校に通えなくなるぞ!」


 タモちゃんが凄みを利かせるが。


「平気よ。普段は姿を偽っているもの。廊下ですれ違っても、きっと気がつかないわ」


 アマツカゼは落ち着き払った顔のままだ。


「じゃあ何で学校に通っているの!」


 タモちゃんが疑問を突きつけると。


「あの学校の生徒たちを全員手なづけて、ある壮大な計画に利用するためよ」


「壮大な計画……? なにを企んでいる!」


「それは教えられない。でもそうね、こんなことにも使えるでしょ?」


 アマツカゼは両腕を大きく広げて。


 両脇にポータルを生み出した。


 そこから出てきたのはコスモス色のセーラー服を着た生徒たちで。


 目を赤く光らせながら、四人の生徒たちがアマツカゼの前に立つ。


「ねえ、みんな。アマツカゼのためなら死んでくれる?」


 クールなアイドルがお願いするかのように。


 アマツカゼが甘い声で問いかけると。


「いつでもキュン死にしちゃえるよ~~んっ! アマきゅん、さいこーーっ! 萌え、萌え、きゅる~~~んっ!」


 赤い目の生徒たちが、きゃぴきゃぴとそう答える。


「明るっ! 洗脳、明るっ!」


 タモちゃんたちが目をぱちくりさせるなか。


「そうそう、この子たちは精神魅了されてるだけのか弱い生徒よ。簡単に怪我しちゃうから。わたしを倒したければ、この子たちの命も一緒に奪うことね」


 アマツカゼは壁になった生徒たちの頭を愛おしく撫でてやる。


「人を惑わした挙げ句、非情にも盾にするなんて卑劣だぞっ!」


「安心して、タモちゃん。そんな心配する前に、息の根を止めてあげるからっ!」


 アマツカゼが大鎌を振り上げた途端。


 タモちゃんたちは熱風渦巻く壁面で囲まれた、ドームのなかに囚われていた!


 熱く乾ききった空気が、急速にタモちゃんたちを干上がらせていく。


「いらっしゃい、わたしのバトルフィールドへ。この熱球のなかで、どのくらい耐えられるかしらね。さあ、名物の干物にでもなりなさい!」

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