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♯2 非日常的な出来事へと広がっていく

 デッドリィの左隣で、キスからタモちゃんを引き離そうとしているのが。


「デッドリィちゃん! 朝からお行儀サイアクですーーっ!」


 デッドリィとは同い年の、大竹(おおたけ)鈴鹿(すずか)、JCだ。


 コスモスのような夏服セーラー服に、黒タイツを穿いていて。


 髪飾りでまとめた美しい黒髪を、お下げにしては胸元に垂らしている。


 みんなを強化できる神通力が唱えられる、無くてはならない頼もしい存在で。


 情報通な彼女はジュテーム・ファミリーの知恵袋も担っている。


 その隣側、つまり半の向かい側に座っているクライネは。


「早く、ごはん、ごはん!」


 今は半と同じくらいの身の丈だが。


 巨大化していないときは、特大のミニトマトほどのサイズしかない。


 艶のあるシルクのダンスドレスを身につけた、妖精のような年齢不詳のメガネっ娘で。


 恒久的なデバフ魔法を解除することができる貴重な存在だ。


 最後に紹介するのは、身長が百八十センチ以上もある好漢の、バーテンダーの姿をしたスレンダーなジュテームだ。


 衝撃波を撃ち放って敵を豪快に薙ぎ倒すのが彼の戦い方で。


 大人のケーキ屋さんのマスターであり。


 タモちゃんたちを養う大黒柱でもある。


「今日の朝ご飯は豪華だぞ!」


 ジュテームは漆塗りの黒い重箱をタモちゃんたちの前へひとつずつ並べると。


 テーブルの端に議長のごとく、どかっと座った。


 ジュテームがニタニタしながら。


「しっかり食ってけよ!」


 黒光りしている漆器の箱を勧めるが。


「これなに? これなに?」


 好奇心旺盛なのはクライネくらいなもので。


「やけに高そうな器だな。下手に触って損壊したらヤバそうだ」


 エターニャは息が直接かからないように手で口を覆って、用心深く漆を見やった。


「なにかお祝い事でもあったの?」


 うちは貧乏なのにと、タモちゃんがいぶかしげにつぶやくが。


 ジュテームがあまりにも上機嫌なものだから。


「ジュテームさんの笑顔が不気味です」


「そのにやけ顔はなんですか?」


「すごく警戒しちゃうんだけど!」


 半と鈴鹿とデッドリィがジュテームに怪しみの半目を向ける。


「まあいいから、蓋を開けてみな!」


 みなが「なんだろう?」と蓋を取ってみると。


 香ばしく焼けた匂いと。


 甘いタレの香りがふわーっと鼻先に広がった。


 粒が立っているかのような白米に。


 きつね色に炙られた大きな蒲焼きが二枚、横たわっている!

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