♯11 金翅(こんじ)の鳥よ、燃え上がれ!
タモちゃんが変身すると思ったエターニャは。
「そうはさせるか!」
負けじと自身も変身ダンスをし始めた。
「今だ! このチャンスに全てをぶつけるしかない!」
タモちゃんは燃え盛る岩塊に、ありったけの念を打ち込める。
すると。
炎の岩が宙を舞い、激しい紅炎を噴き出し始めた。
――これなら魔法の炎を操って、利用できるかも知れない!
タモちゃんの波打つ髪が、フレイムレッドに染め上がっていく――。
「燃えて広がれっ! 火炎岩迦楼羅大火球!」
炎の岩が爆発しながら巨大化し。
火を噴く巨鳥に変化する。
巨鳥は紅炎を噴き出して。
エターニャめがけて風を切る!
「な、なんだその魔法ーーーっ!」
エターニャが防御の魔法を唱えるも、すでに遅くて間に合わない!
火を噴く巨鳥にエターニャが!
「ぐわあああああっ!」
燃やし尽くされた――、はずだったのだが!
しかしそこには!
全身が煤まみれのエターニャがふんぞり返って立っていた!
「げほっ、げほっ、見たか! エターニャ特製マジックアイテムを! 効かぬわ、ぐあっはっはっはーーっ!」
そのとき。
何かが割れる音がして。
エターニャの首から提げたネックレスが砕け散る。
それと同時に衣服も一緒に消え失せた。
「ぎゃはーーっ、奇妙な魔法を使いやがって! ちょっとカッコイイからって、いい気になるなよ! この次は必ずお前を灰燼に帰してやるからなーーーーーっ!」
エターニャは、大慌てで空の彼方へと、引き揚げて行ったのだった。
薄れゆく意識の中でその様子を見届けたのち。
タモちゃんは倒れ伏すようにして睡魔に捕らわれた。