♯26 久方ぶりの大ピンチ!
「生命力が常時回復し続ける魔法を唱えてやったよ。これでいいはずさ。そおれ、メイ・エコウラ!」
シャンプールが屍人形を解く魔法を唱えると。
タモちゃんとロナの血色がみるみるうちに良くなって――。
「ぷはーーーっ!」
正常な人間に蘇った!
のだが?
「うがっ?」
肌の色が時折チャコールグレーに変化する。
「治ってないのっ?」
「なんかまた屍人形みたくなってます!」
「うががーーっ」
エターニャや半が心配するのを、シャンプールは大丈夫と言い聞かせながらも。
「ふむー、これは猛毒を相殺した副反応だね。だが案ずるな。ときどき屍人形もどきになって、おつむがおバカになるかもしれんが、すぐに平常に戻るだろう。命に別状はない!」
初めての現象ではあるが!と、物珍しそうに観察してくるので。
「うががあーー?」
タモちゃんとロナが「本当かあ?」と嘆く。
「しかし、あんな強烈魔法を連発できる屍人形をどこで拾った? あたしに貰ってくれないか! なにかあってもすぐに診てやるからさあ!」
シャンプールがタモちゃんに飛びついて、体のあちこちを触診しだしたものだから。
「お師匠さま、さわっちゃダメよ! タモちゃんはあたしのなんだから!」
デッドリィも負けじとタモちゃんの体をまさぐりだした。
「ヒャッ、ヒャメロ~~~ッ!」
タモちゃんは言葉で拒んでいるものの、なぜだか逃げ出そうとはせず。
――これは気持ちいいからじゃない! 妖術で命を削りすぎたからだあ~~~っ!
顔を赤らめ身悶えながらも、されるがままだ。
それを見て、クライネはピンときた!
「クライネ知ってる! これって百合だよネ!」
「ここっ、これが百合ってやつですかっ? 拙者、はじめて目撃しました! はふーーっ」
「いや、ありゃもはや百合なんてもんじゃねえ。18歳未満お断りってやつだ」
「タモちゃん、やらし!」
この一連の会話を聞いて。
「なんか前にも似たことがあったような……」
エターニャもなんだかうずうずしだして、くすぐりに参加したくなってきた。
「チョット、ウラヤマシス……」
屍人形もどきのロナが「仲良しいいな」と指をくわえる。
「よぉ~~~しよしよしよしよしっ!」
「わしゃわしゃわしゃわしゃわ~~~っ!」
シャンプールとデッドリィのまさぐり合戦は、溺愛の犬猫を撫で回すのを遙かに凌駕する破壊力で。
「ダレカ、タシュケテ~~~~~ッ!」
タモちゃんたまらず、ひさびさの、大ピンチだね!
第5章 おしまい!
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