表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

107/159

♯25 師弟の着眼点

 デッドリィたちが笑いの毒から解放されたのを受けて。


 襲いかかってきた屍人形も大人しくなったようで。


 ジュテームと半も加勢にやってきた。


「弟子が成長したかどうか、ちょっと試していただけで、本気じゃないさ。ゆるしておくれ」


 わびるシャンプールにデッドリィは駆け寄って。


「お師匠さま、毒を解いてほしいんです!」


「いま解いてやったじゃないか!」


「笑い上戸じゃなくて、タモちゃんとロナちゃんにかかってる毒です!」


 デッドリィはふたりを指さした。


「この屍人形のかい……?」


 シャンプールがじっと見据える。


「なるほど……、やっかいな毒がかかっていたんだねえ」


「屍人形の魔法を解くと、すぐに死んでしまうんです!」


「屍人形に毒が効かないだけで、ずっと消えずに残っているからねえ。それをなんとかしなきゃ、どうにもならないよ」


「解除できませんか?」


 鈴鹿のお願いに。


「解除できないね」


 シャンプールが即座に返す。


「そんなあ!」


「お師匠さまでもダメなんですかっ?」


「希望がついえた……」


 クライネにデッドリィ、エターニャが意気込みを失うが。


「まあ、待ちな! 解除はできないけれど、相殺だったら可能だね」


 シャンプールが聞き慣れない言葉をいったので。


「相殺……? って?」


 デッドリィが頭をかしげると。


「デッドリィ、あんた今から毒魔法を勉強しなおすかい!」


「遠慮しておきまぁっす!」


 デッドリィが天真爛漫に最敬礼をして拒絶するものだから。


 シャンプールは怒る気力が萎え失せた。


「まったく。毒をもって毒を制するってやつさね。毒は弱くすれば薬にもなるってことぐらい知ってるだろう?」


「どうやるんですか? えへへ」


 デッドリィが照れ笑いをしてシャンプールに寄り添うと。


「見てな。サズンタヤユ、コアヒキ・サチヂクレ!」


 松明の炎や水辺に大地、そしてシャンプールの手の冷気から、もっちりとしたエナジーがぷるんと飛び出してきた。


 それらが宙で混じり合って、七色に光り輝くと。


 パウダーのように砕け散って、屍タモちゃんと屍ロナの体にキラキラと降りかかっていく。


「わっ、肌つやが良くなった!」


「いいな! いいな!」


 鈴鹿やデッドリィが熱狂するも。


「見るのはそこじゃないっ!」


 シャンプールにどやされる。


「いや、俺には違いがわっかんねえな……」


 ジュテームが目を凝らして眉根を寄せると。


「あんたもかいっ」


 と、雷が落ちてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ