♯24 見いだせ、新境地!
「みんななんで笑っちゃってるの~~っ」
「クライネちゃんこそ! 笑うシーンじゃないですよぉ~~っ」
クライネや鈴鹿が転げ回って笑い出したものだから。
「鈴鹿っ、何してんのっ、お腹いたい~~~っ」
その挙動があまりにも滑稽だったので、エターニャも笑いが止まらなくなってきた。
「エターニャさん、これ毒だ! お師匠さまっ待って! 話を聞いてっあはははははっ! おかしくてっ、ちぬう~~~っ!」
デッドリィに至っては、体からドライアイスのような冷気が漏れ出している。
しかしタモちゃんとロナには効果が無かった。
屍人形には効かないようだ。
「師匠だあ? あたしに弟子なんかいないよ! 毒魔法をろくに勉強しなかったひとりを除いてね!」
「しょれ、あたし! あたひっひひーーっ!」
抱腹絶倒しながらも、デッドリィが必死に答えるが。
このままではデッドリィたちが本当に笑い死んでしまいそうだ。
タモちゃんは屍人形のちょっとおバカになってしまった頭でそう憂いながら。
手に念を送ってみた。
すると手の平から小さな火がポッと出た。
どうやら屍人形になっても妖術が使えそうだ。
――けれどこれ以上、短時間で大きく命を削ったら、体がどうなってしまうかわからない。
タモちゃんがクッとシャンプールを睨み上げると。
「ははん? 珍しい屍人形だねえ。完全に独立した意思を持っているなんてさあ。おまえ、本当に屍かい?」
シャンプールが興味深く覗き込み、タモちゃんの体をさすり出す。
――そうか! あたしはいま、生きてもいなけりゃ、死んでもいない。もしかしたら妖術を使っても、生命力を使わなくて済むんじゃないか!
タモちゃんはシャンプールから距離を取った。
「スズカ! ハヤクチ、ジンツウリキ!」
鈴鹿は爆笑しながらも。
「多弁っ、じょ饒舌っ、立て板に水うーっ、舌端火を吐けけけっ、口早招来ひーーっっ!」
早口の神通力をなんとか唱えた。
――よし、流暢にしゃべれる!
タモちゃんは松明の炎に念を撃ち込み。
冷気まみれのデッドリィと、闘技場の周りの水辺に念を撃ち込んで。
「妖力フリーイング!」
一気に妖力を爆発させた!
「懸氷鉾白虎殺氷弾!」
「火炎柱迦楼羅大岩漿!」
「海神の水天一碧大圧殺!」
雪嵐白虎が巨大なツララをシャンプールに撃ち放ち!
火炎を纏った岩の巨鳥で燃やし尽くし!
水辺から突き出た腕で叩き潰して戦意喪失にしたところへ!
「大地へ飲まれよ! 紫電一閃! 万雷網鳴神のーーっ……!」
「まっ、まったああああ! 参った! 降参だああああっ!」
シャンプールがたまらず土下座した。