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♯10 魔と妖の攻防戦

 エターニャとにらみ合いに白熱しながら、タモちゃんは大きな懸念を抱いていた。


 なぜならこの世界で宿った体は幼くて、タモちゃんの持つ強い妖力に耐えきれないからだ。


 妖術を一度使えば再び抵抗できない睡魔に襲われて、戦闘不能に陥ってしまうかもしれない。


「ジュテームが無類の酒好きなのをよく知っていたわね」


 タモちゃんの額に一筋の汗が流れて落ちる。


「おまえらのことなら何でも知ってるぞ! タモちゃんは髪が短くなると、力が弱くなるんだろ!」


「ど、どうしてそれをっ……!」


「そのキツネ耳! もし外したら、お(ケツ)を丸出しにしてナイトフィーバーしちゃうってこともね!」


「なにその設定っ、初耳なんだけどーーっ?」


「今朝の夢に瑠璃色の変な奴が現れて、いろいろ詳しく教えてくれたわ!」


創造主(あいつ)! なに考えてるのよ!」


「タモちゃんって、つるっ禿げが良く似合うと思わない? これから燃やしてあげましょうね。もちろんお代はサービスだ!」


 エターニャが呪文を唱えようとした瞬間!


 タモちゃんは素早く近寄って、エターニャの口に手を当てた。


「レッキ・エ……。にゃんのふもりら」


「いや、呪文を唱えられなければ、何も出来なかったらいいなあって。当たり?」


 タモちゃんがニッタリ笑う。


 エターニャは鼻で笑い飛ばすと。


 タモちゃんの手に噛みついた!


「いだだだっ」


「レッキ・エビ・ヒルアミ!」


「しまった!」


 撃ち出された炎の岩を、すんでの所で(かわ)すタモちゃんだが!


 エターニャは息つく暇無く魔法を唱えに唱え。


「ほら、ほら、髪が燃えてしまうぞ! あっはっは!」


 立て続けに飛びかかる炎の岩を、タモちゃんは紙一重で躱してゆくので精一杯だ。


「体が小さいことが幸いしたけど、このままじゃっ……。一撃必殺にかけるしかない! でも、どうすればっ!」


 炎の岩を躱しながら。


 タモちゃんは遠い過去に見た雨乞いの舞を踊り始めた。


「あたしにも鈴鹿みたいな神通力があればいいのに……!」


 それを見たエターニャは。


「なっ……、何してんだお前っ? まさか変身するんじゃないだろうな!」


 激しく動揺し始めたのだった。

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