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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

明日なんか無いよ?

作者: 秋暁秋季

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


メンタル豆腐でメンヘラな女子が出ます。

お気をつけ下さい。

「えへへー。今暇ー? んーじゃあ、話付き合って欲しいなぁ」

着信音の響くスマホを耳に当てると、陽気な、いや、気の抜けた甘い声が聞こえてきた。時刻は夜の九時。日はとっぷりと暮れて、闇が覆っていた。

電話から流れ出る声に黙った肯定すると、また勝手に話し出す。

「今日ねー、知らないことやったの。凄く苦手な事。だから凄く時間がかかっちゃった。でも不思議なことに今の気分は定時なのー。深夜テンションだから、君に電話かけるガッツがありまーす」

深夜テンション、という言葉通り声は弾んでいる。遊園地に来た時のように晴れやかだった。適当な感想を述べながら褒めていると、気が済んだのか終幕となった。

「じゃあ、バイバイ。君の声聞けて良かったよ」


ある夜の事。何故だかどうしようもなく不安になった。出来ないことを責められて、怒鳴られて、何だかもう全てがどうでも良くなった。今ならぶっちゃけ殺されても良い。そんな気持ちで夜道を歩く。ただ、ただ、何となく本当に何となく、愛しい君の声が聞きたくなった。

電話を片手にベルを鳴らす。

「もしもし? あぁ、何だお前か。あぁ、別に暇だけど」

泣きそうになった。そのまま泣き出してしまいたかった。気が触れたように癇癪を起こして、狂ったように包丁を首に刺してしまいたかった。でもそんな事をしたら絶対に引かれる。侮蔑の目で会うことになる。だから努めて明るい、甘えた声で会話を続行した。

今日あったこと。出来ないと分かってて、出来ないなりに頑張ったこと。寂しくて電話をかけたこと。それらをオブラートに包み込み、流れに身を任せて話をする。

「なんだ。頑張ってんじゃん。偉い偉い。世界一偉いぞー」

適当な褒め言葉でも、死ぬほど嬉しかった。君だけだよ。褒めてくれたの。気が付くと頬を涙が伝っていた。このまま行くと間違いなく嗚咽混じりの声になる。そして振り切った感情のまま飛び降りる。ここらが潮時だ。私はいつも使う。「またね」という言葉を封印した。

「あぁ、またな。また明日」

明日なんてないのに。優しい君。

せめてこうなる前に、何か言って欲しいってあるじゃないですか。


でも心配一切かけないで、ある日突然ふらっと消えてしまう。そんなメンタル豆腐な子があっても良いと思うのです。

最後の瞬間まで、君に感情を悟らせない、ある意味メンタル鋼な女子の話。

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