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KAMITUKU 第一部 ~end of the world~  作者: きなみ
第一章 異形襲来編
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第7話 「異形静止」

間一髪で動きが止まった槍爪の異形。

何故、異形の動きが止まったのか誰も理解出来ず

下手に動けずにいた。


静寂に包まれてどれ位時間が過ぎただろうか

一秒一秒がとても長く感じる。


痺れを切らし一か八かセイヤは異形の爪が

触れているこめかみを離す――。


「た、助かったか……」


異形は死んだかの様に全く動かない

突つこうが殴ろうが何しても動かなかった。


「今の内にコアを壊わしたらいいんじゃないかお?」

そう言ってイチロはウズキが投げたメリケンを拾って

投げた。


「木刀があるだろうが!!俺のメリケンちゃんが!!」

「えっ……ごめんお……」


メリケンがコアにヒットして

傷が入った所から砕け散った。


「リョウヘイ、どう思う……」

「確認してくる……」


リョウヘイは倉庫の外を見ると

第二波の影響もあり、倉庫に来る前よりも

異形の数は多いが、どの異形も静止していた。


「みんな聞いてくれ!」


全員、リョウヘイの元に集合する。


「俺が思うにだが……異形は日の沈み始めと

同時に活動を止めるのかもしれない、現に外を確認すると

目視できる異形はどいつも静止している」


イチカは勢いよく手を上げる。

「じゃあ、動くなら今の内ですね!」

「よっしゃ!異形殲滅作戦だ!!

動かないならこっちのもんだぜ!!」

調子に乗って倉庫から飛び出ようとするミカド。


「待て!それも良いが殲滅は無理だな……数が多すぎるし

あと何回異形が来るかも分からない、

最悪進行して行った方向から戻ってくる可能性もある……

そうなれば、異形が溢れかえる事になる……」


「リョウヘイの言う通りね……」


「あぁ、夜が空ける前に安全を確保出来る場所を探す、

まずは日が完全に沈む前に灯りの確保だ」

「よしっ!!それじゃあ早速行動に移そう!!

イタタッ――」

「セイヤ……やっぱり脇腹を痛めてたか……」

「問題ない!!少し痛むだけさ!!さぁ行こう!!」


ミカド達は近くのコンビニで懐中電灯と

日持ちする食料を確保する。


「ねぇミカド、何か悪いことしてる気分だね」

「とか言いつつルンルンなのは誰だ」


ルンルンでイチカはコンビニのバックヤードに入って行く。

出てくるとイチカは好きなフルーツチョコスティック

『カムフルバー』の未開封ダンボールを台車に重ねて

持ってくる。


ガラガラガラガラ


「イチカ……?」

「イシシ♪こんなに沢山見つけた♪」

「持って行けるかーーーい!!せめてビニール袋一袋

までにしなさい……」

「こんなにあるのにー!」


渋々イチカはコンビニ置いてあるゴミ袋(大)の袋を広げて

ダンボールのカムフルバーを移し替えるが、

ユウタはため息をついて小さ目のレジ袋に移し変える。

「もう!いじわるー!」


「夫婦漫才してる場合か……今回は最低限の食料だけ

確保しろ……両手は空けておけ」

リョウヘイはミカドとイチカに呆れ注意した。


懐中電灯を手に道中の異形のコアを壊しつつ

行動の拠点となる場所を探して歩き続ける。


「メグミもうダメかもぉ……」

「ぼ、僕も限界だお……足の感覚がないお」

「しかたないわね、ここの公園で一旦休憩しましょう」

「そうだな!今は十九時だから二十三時まで交代で

見張りをしながら休憩しよう!!」


各々仮眠や食事をする。


「セイヤ脇腹を見せて」

「大丈夫だ!心配するな!」

「ダメ、怪我の状況を把握しておかないと

無理をさせてしまうわ」


渋々、レイに脇腹を見せるセイヤ。


「痣になってるけど折れてたりはしてなさそうね」

「ハハハ!心配するな!これでも学校では運動神経に

人目置かれていたからな!咄嗟の受身くらい取れるさ!

当たった時は痛かったが!!ハッハッハ!!」


時刻は二十三時になり行動を再開する。


「ガァーガァーzzz」

ウズキは大きないびきをかいていて起きる気配がない。


「起きないならしょうがない……置いていこう」

「リョウヘイ君!嘘でもそんな事言っちゃダメだよぉ」

割と本気で言っているリョウヘイ。


「私にお任せあれ!!」

メグミは寝てるウズキを背負った。


「そんな事して、またすぐ疲れるわよ」

「大丈夫大丈夫~!蘭闘君小さいし軽い軽い♪学校で私が

寝ちゃってた時に護ってくれてたお返しぃ~♪」

ウズキは幸せそうな寝顔をして

リョウヘイは顔をしかめる。


「ダメだ……メグミのドジっぷりは油断出来ない……

俺が背負ってやる」

「えぇ~メグミも役に立ちたいよ~」

「また別の機会にな……」


ウズキを背負って気分悪そうなリョウヘイ

幸せそうな寝顔から悪夢を見ている様な

寝顔になるウズキ。


「やっぱ八蘇木、お前が背負ってくれ……」


無言でおんぶのポーズをすると

すかさずイチカがミカドの背中に。

「すいません!先客が!」


「ッチ……イチ――」

「無理だお!ミコルンで手が塞がってるお!!」

「どいつもこいつも……やっぱ置いてく……」

「だからメグミがおんぶするよぉ~」

「冗談だ……」



安全そうな場所を探して

移動していてミカドは気付く。

「あのぉ~輝義志先輩」

「どうした!!」

「いやぁ~思ったんですけど、進めば進む程異形が

多いじゃないですか~、だから戻りません?」


「何言ってんだ……向こうにはアホみたいに

デカい野郎が迫って来てんだぞ……、なるほどな」

リョウヘイは振り向くとミカドの考えが分かった。


ミカドの案はこのまま進んで安全な場所を確保

出来ずに朝を迎えるよりも、異形の第二波が

通り過ぎて行った方に行く事で、万が一そのまま

朝を迎えてしまう事になっても異形の遭遇が低く

応戦しながらでも、拠点探しが出来ると考えた。


そう考えたのは倉庫で第二波が過ぎても

巨大な異形の影が目に見えては進んでおらず

すぐには来ないと思ったからだった。


――明け方――


ミカド達は学校には戻らずに一時的に

学校の近くのユウタとイチカの家を拠点にした。


暗雲の隙間から朝日が差し出し

やがて朝を迎える。


カーテンの隙間からリョウヘイは外を覗く。

「読み違えたな……すっかり朝だってのに

異形のやつら全然動かねぇ」


朝になっても異形は動き出さず

外を見張り続けて気づけば時間は朝の十時に。


「もしかしてだが昨日、異形が進行してきた時間まで

動かない可能性が出てきたな」

「風桐先輩の言う通りであれば、異変の起き始めを

考えると、正午位までは活動出来そうですね」


「あくまで憶測だが、動ける内に出来る事をやろう」


リョウヘイが言うやる事とは、食料確保と

家をより安全にする為に、立て篭もる

リビングの窓を板で塞ぐ為に

学校に戻り資材室から材料を確保しに行く事だった。


食料に偏りが無いようにリョウヘイとミカドが

食料確保に向かい。

危険な資材運搬は、もしもの為に戦えるレイと

力があるイチロが資材集めに向かう。

イチカ、ウズキ、セイヤ、メグミは待機する事に。


「白地君……ずっとフィギュアを抱えているけど、

役割分かってるわよね?」

「ご心配なく!いざと言う時は僕を見捨てて

逃げてもらって大丈夫なんだお!僕はミコルンと

最期まで一緒にいたいんだお」


屋上の小屋に勝手に飾っていたオオグイミコルンの

フィギュアをずっと片腕で抱えているイチロ。


「いざという時は手放すのよ……死んでしまってはダメ、

命あってこそよ……」


――焔高校・資材室――


レイとイチロは台車に最低限必要な材料を乗せていく。


「この位で大丈夫そうだお」

「そうね、戻りましょう」


フヲォォォン……


廊下に突如響く異形の声


「最悪ね……白地君……?」

「ウォーーー!フレイムッ!出ろ!火!出ろ!

火じゃないのかお!?僕の適正魔法はなんだお!?

水かお!?ウォーーーターーーショット!!!!」


「な、何してるの……」

「祖埜氏は魔法を使ってたお!!

僕も使えるはずなんだお!!!!」


魔法が使えると信じるイチロはアニメの真似をして

頑張って技を出そうとするが何も起きなかった。


「遊んでないで早く逃げるわよ!」

「遊んでないお!!真面目だおぉぉぉお!!」


資材を諦めて、イチロの手を強引に引くレイと

初めて女の子の手を握られてドキドキしているイチロ。


――――


「たくさんねちゃった……」

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