第54話 「風来坊お姉さん」
戻って来たボロボロのユキマサとルルは
しばらくして目を覚ましミカド達は
何が起こったのかと状況を聞き出す。
ユキマサはルルとの鍛錬中に起きた
自分の身に起きた事をありのまま話した。
「その見知らぬ人女の子はルルですね」
ウタカタがルルについて話し出す。
ルルは本来、三つ子の末っ子になる筈だった。
ルルよりも先に産まれた二人の女の子は
赤子ながらに鬼としての力が強く覚醒した状態で
恐ろしい存在になると判断した鬼を保護している
施設の人間に殺されてしまった。
三番目に産まれたルルは鬼として
覚醒していたものの、エネルギー計測で
鬼としての力が弱かった為に生かされた子に。
ルルはまだ幼いがそれにしても鬼としては貧弱で
国の人間に結局ルルも失敗作と始末されそうに
なってしまうが、その時にルルの内なる人格の一人
リリが主人格であるルルと交代して
施設の管理者を次々と無力化したために
ルルは本当は強いと錯覚させて生きながらえた。
その時ウタカタ達も施設の人間に指示され
ルルと交戦した時にルルではないと気づき
後に問いただした所、ルルの中にもう二人
別の人格がある事が発覚した。
その二人は産まれた時に殺されてしまった
ルルの二人の姉である事を話されたとルルは
言っている。
一人の身体に三つの魂が共存している
という事らしい。
末っ子のルルは鬼として覚醒はしているものの
普通の人間の子供よりちょっと喧嘩が強い程度の
戦闘力しかない。
次女のリリはルルとは比べ物にならない位
鬼として実力を持っていて、それはウタカタ達を
無力化したり、幼いながらに狂鬼化したユキマサとの
戦闘である程度戦える程の強さを持っている。
長女のララは一度も姿を表したことはなく
ルルの話ではリリがどうしようも無くなった
時にしか表に出てこないらしい。
そして今回、狂鬼化したユキマサに圧倒されて
しまったリリに変わりララが出てきてユキマサを
ボロボロにしてしまったのでは無いかと話た。
ルル、リリ、ララは記憶が共有されていて
ララがやった事は間違いなさそうだ。
狂鬼化したユキマサを一方的に痛めつける
ララにルル自身も恐ろしい姉だと震える。
「恐らく今現状で最も強いのはララかもしれませんね、
前哨戦でルルが選ばれララが出てきていれば
もしかしたら神々にあの場で勝っていた可能性も……」
ウタカタはララの圧倒的な強さに期待する。
「それは分からないお……神々は軽く捻る程度の
力しか出てないと思うし……実際どの位強いか
分からないんだお……」
ミカド達はララに会うために明日は全員集まって
鍛錬する事にして、今日はゆっくり休息を取る。
翌日、ミカド達はララを呼ぶためにまずは
ルルを危険に晒してリリを呼び出して
さらに、リリを追い込む為に不本意ながら
幼くひ弱なルルと戦う。
一番戦闘力が高いクニトモにリリとの戦闘を
お願いしたが、子供と戦いたくないと拒否され
魔人化出来るミカドが戦う事に。
「ご、ごめんなルルちゃん……」
「こわいーーー!!早く出てきてリリちゃーん!!」
「早いとこ呼び出してやるか……」
「修行中か……俺も混ぜろよ……」
ミカドがルルに攻撃しようとした時に
どこからか聞き覚えのある声がする。
「え……生きてたのか……」
「ったく、置いていきやがって……」
セイヤは涙を浮かべながら声を振り絞る。
立っていたのは異形に襲われて死んだと思っていた
親友の『風桐リョウヘイ』だった。
「仲間との再開出来て良かったねぇ~リョウヘイ♪」
「あぁ、救ってくれて感謝する……」
リョウヘイの隣には淡い緑髪のショートヘアで
ゆるい笑顔が可愛らしく、半妖の特徴である
黒い羽根が生えてた女の子が立っていた。
「良かった!!本当に良かった!!」
「よせッ!引っ付くな気持ち悪ぃ……」
「風桐先輩あの時確かに……」
ミカドは確かにリョウヘイが長毛の異形の
一本の触手に捕まり取り込まれる所を
目の当たりにして死んだと思っていた。
確かにリョウヘイは長毛の異形に捕まり
取り込まれたが捕食される前に偶然見つけた
コアを破壊して助かったのだとか。
しばらく長毛の異形の毛の中に身を隠し
安全を確認した所でミカド達の元に戻ったが
ボロボロに破壊されたミカドとイチカの家を見て
全員殺されてしまったと思い。
一人路頭に迷って異形に襲われそうになった所
隣の女性に救われてその後は二人で行動して
今日まで生き残って来たのだとか。
「全く一度助けたら俺も連れてってくれぇ~って
泣きつかれて大変だったよぉ~」
「連れてってくれとは言ったが泣きついてねーよ……」
「あれ?そうだっけ~俺を強くしてくれぇ~って
必死に私にしがみついて泣いてたじゃ~ん」
「強くしてくれとは言ったが泣いて
しがみついた覚えはない……記憶を捏造するな……」
「師匠に向かって酷いいいようだなぁ~
この弟子ぜ~んぜん可愛くないから早く引き取って」
「何言ってんだ、スズナも一緒に――」
「私は父さんを探さないとねぇ~」
「それなら一緒に探しますよ!スズナ……さん?の
お父さんなら多分しってます!つい最近まで
この火花衣病院にいたので!」
ミカド達は彼女の父に心当たりがあった
黒い羽根の半妖となれば一人だけ、
あの大量の異形を何度も一掃した半妖だ。
ミカドはスズナに特徴を話す。
「う~ん!間違いないね~、是非一緒に探してよ!
お礼に君達の鍛錬に協力するよ~神を倒すんだろ?
私達は置いてけぼりになっちゃたからね~
次に神世界に行くまでに強くなって父さんも
見つけて一緒に戦ってもらわないとね~」
「あの人も仲間になれば百人力です!!
よろしくお願いします!!」
新たに仲間に加わった彼女の名前は
『大天千空スズナヒメ』父の存在と名前からして
只者ではないと確信するミカド達。
そしてミカドは今からやろうとしていた事を
スズナとリョウヘイに説明した。
「せっかくだし成長した姿見てもらいよ~」
「そうだな……俺にやらせてくれ……」
リリとの戦闘を買って出るリョウヘイ。
「本当に強いですから気を受けて下さいね」
「大丈夫大丈夫~リョウヘイも結構強いし
いくら何でも子供一人に負けたりしないよ~」
ウタカタは心配そうにリョウヘイを見つめる。
「悪いが遠慮なく行かせてもらうぞ……」
「う……うん……」
恐怖でも今にも泣き出しそうなルルに
少し心苦しい表情のリョウヘイ。
早速、戦おうとした矢先にもう一人来訪者が現れた。
「お、お前……」
「私も……仲間に……入れて欲しいな……」




