第43話 「七首の巨大な白蛇」
ミカド達は八蘇木山へ向かう道中で
一人の生存者と遭遇する。
「おや?あれはミカド君じゃないか、
おーいミカドくーん!!」
「ん?まさか!?ギン爺!!」
その生存者は『小武志ギン』ミカドの祖父である
『八蘇木センリュウ』のお茶友達だ。
その老人の家の周辺は幸いにも
異形に荒らされていなかった様だ
と言っても周りに家はこの老人の家しかないが。
ミカドはギンとの再開を喜ぶ間もなく
仲間達を紹介し、今起きている状況と
祖父が見つからなかった事を話した。
「偉いことになったの~、いずれにせよ
ワシはもう長くないからここを離れたりはせんよ」
「でも、ギン爺八蘇木山も消し飛ばす位の力を
持ってる異形もいるんだ、危ないし一緒に行こうよ」
「だが老いぼれじゃからの~お荷物になってしまう」
「大丈夫!急ぐ時は俺が背負うし!」
すると突然、ギンはミカド達の前から姿を消し
後ろからミカドの腰に杖を突き立てる。
「実はのぉ~あらかた起きとる事は知っておるし、
かわいらしい女の子から力も貰っておる」
「ギ……ギン爺すげぇよ!!そんな早く動けるなら
全然お荷物ならないし、むしろ一緒に戦える!!」
「それでものぉ~センリュウさんが
またここに来てお茶しながら他愛も無い話を
しに来る様な気がするもんでのぉ……」
ミカドは本当は昔から知っている顔を
このまま残したくは無かったが
ギンの気持ちをくみ取って一緒に行く事を諦める。
「とりあえず今晩は泊まって行きなさいよ
苦労した顔をしとる、話でも聞かせておくれ」
「ギン爺……ありがとう」
ミカド達は一晩ギンの家に泊まって
休息をとる事にした。
ミカドはこれまで起きた事をひたすら
ギンに話し続け、ギンは優しくミカドを慰め続けた。
「ありがとうギン爺」
一晩ギンの家で過ごしたミカド達は
八蘇木山の跡地を確認に向かった。
八蘇木山跡地に着いたミカド達は想像していたが
やはり跡形もなく更地になっていた。
その景色を見てミカドはここでようやく
センリュウの死を覚悟した。
「大丈夫かミカド……」
落ち込むミカドを見てジンが肩を叩く。
「安心しろ魔人化なんかもうしねーよ
イチカの分もじーちゃんの分も何倍にもして
異形と十三の神とやらに返してやる」
すると突然地鳴りが始まる。
「おっ?おっ?おっ?なんだお??」
「ッチ!!また異形か!?かなりの数だ!!
イチロ!!ビビってる暇ねーぞすぐ来るぞ!!」
「ビビビ、ビビってないお!!」
地鳴りがどんどん大きくなるが
一向に異形の姿は見えない。
「違ぇ!!真下だ!!全員離れろ!!」
ジンの指示で急ぎ八蘇木山跡地から離れようとするが
時すでに遅し、地面が盛り上がり何かが出てくる。
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
地面から出てきたのは5m程の巨大な
七本の首を持った蛇だった。
ミカド達は巨蛇が出てきた際に
散り散りに飛ばされてしまった。
「デカすぎだろ……こいつ異形か??」
ミカドは巨蛇が他の異形とは違い黒くなく
真逆の白色の身体だった事に疑問を抱く。
「ッたくなんなんだよ……
こんな奴に勝ち目あんのか……」
「ジン!!大丈夫ですか!?」
「ウタカタ!あァ、問題ない!先手必勝で行くぞ!」
「そうしましょう!!」
幸い近くに飛ばされたジンとウタカタは合流し
先手必勝で技を七首の巨蛇に仕掛ける。
『断雷一刀』!!
『血威大斬衝』!!
お互い今持てる最大の一撃を七首の巨蛇に
放つが全く傷すら付けられなかった……。
「くっそ!!」
「次元が違いすぎますね……」
しかし、他の仲間達もジンとウタカタの攻撃を見て
一斉に攻撃を仕掛ける。
『大地ノ陣・震山衝波』!!
『呪幻ノ舞・至騰身干』
『豪炎斬』!!
『雷皇』!!
「メ、メグミもぉ~」
『糸刺乱針』!!
一斉攻撃を受けるが誰一人の技も通用せず。
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
キシャァァァア!!!!
七首の巨蛇が再び鳴き声を上げると今度は
妖しげな光に包まれ小さくなって行く。
「な、なんだ!?技が効いたって事か!?
俺の全力の雷皇!!恐るべし!!」
妖しげな光が収まると一人の女性になり
地面に落下して行く。
すかさず今のは半妖だと判断した
ウタカタ、ユキマサ、ハオリの長生き組が
飛び出し、助けようと走り、
それを見たミカド達も後を追う。
「俺に任せて下さい!!」
『雷ノ陣・雷斬一閃』!!
「ミカド様!!攻撃してはダメ!!」
「わかってます!!」
落下する女性の元に技の力で一瞬で近づき
当たる寸前て技の発動を止める。
恐らく半妖であるだろう女性を抱え
ミカドは地面に着地する。
明らかに人型の異形ではなくしっかり
半妖の特徴が出た人間だった。
目が覚めるまでミカド達は
半妖の女性を見守る。
「半妖ってあんな凄い力を持ってるんですね……
狂鬼化みたいな物ですか?」
「いいえミカド様、今のは『妖還り』という
半妖特有の力です」
「妖還り……ですか」
「はい、妖還りは半妖の妖力の元となる妖に
半妖が近づく事で、それはとても恐ろしい力です……
今まともにやり合っていたら間違いなく簡単に
殺されていたでしょう……」
ミカドは妖還りした半妖に心当たりがあった……。
火花衣病院にいて大量の異形の群れを一瞬で
塵にしたあの黒羽の半妖を思い出していた。
「うっ……うぅ……」
半妖の女性は目を覚ます。
「皆さん念の為離れて!!」
ウタカタの合図で全員距離を取る。
「ふぅ~!!や~っと開放されたぁ~!!!!
いやいや、八蘇木家の封印恐るべし!!」
全員半妖の女性のテンションに
キョトンとしている。
「あのぉ~あなたは~」
「お~お~その感じるエネルギーはミカドだね~
ありがとね!君のおかげで開放されたんだ!」
「は……はぁ……?それは良かったです?」
何かした覚えのないミカドは困惑。
どうやら彼女はとてもとてもとても永い時を
この八蘇木山の底に封印されていたと言う。




