第42話 「神同士の小競り合い」
「アンユ、もう終わりにして!」
マナはアンユの技を神々しい白光で消していく。
「……異形返してくれたら」
『消滅印・展開』
アンユは消滅印を身体に纏う。
「珍しくやけに好戦的だね……
そんなにこの異形が大事かい?」
「大事……返して……」
「ミカドその懐いた異形返す気ある?」
ルンはミカドの背中に顔を埋める。
「返す気ないに決まってるさ!それにそれ程大事な
異形を味方に付けておけるなら尚更だ!」
「うん、ミカドの判断は正しいと思う、その異形は
アンユにが特別手をかけて作った異形だからね
敵に回すと今の君達じゃ戦いにならない程強いし
味方に付けれたのはデカいよ」
「返して……返して……返してってば!!」
消滅印を纏ったアンユが一瞬で
ミカドの横に移動する。
アンユの手がミカドに触れそうになるが
シツキがアンユの腕を掴み消滅印を剥がした。
「こっちもミカドは手塩にかけたんだ
そう簡単に消されちゃ困るよ」
「離して……離して……」
「そんな使い方するならその首飾りは没収だ
マナ預かってて」
「投げちゃだめ!大事な首飾りだよ!」
「ごめんごめん」
マナはミカド達から離れる。
「諦めてくれる気になったかい?」
「うん……もういい……」
「マナとシツキにはかなわない……」
キャァァァア!!!!
メグミの叫び声が響きシツキが視線を向けると
いつもアンユと一緒に現れていた無口の男が
闇の剣でルンとミカドを貫いていた。
コアを破壊されたルンは生命活動が止まり
ぐったりとして動かなくなる。
「クッ……ソ……」
無口の男は剣を引き抜き次元の扉に消える。
「アンユ!!」「アンユ!!」
シツキとマナがアンユを捕らえようとするが
既に次元の扉の中にいる。
「ミカド……いい事教える……
探してるイチカもういない……」
それだけ言い残しアンユは消えていく。
「イチ……カ……」
闇の剣に貫かれたミカドはルンの
亡骸の手を握って気を失う。
「ミカド君!!ミカド君!!」
メグミはミカドの目を覚まさせる為に
必死に身体を揺さぶる。
「大丈夫、問題ない、いいよねマナ?」
「うん!ミカドには死なれたら困るもん!」
シツキがミカドの傷に手を添えると
一瞬で元に戻り直ぐにミカドは目を覚ます。
「アンユ!!……どこだ!?」
「もう終わったよ、取り返せないと諦めた
アンユはこの異形を殺した……」
「まただ!!また護れなかった……クソ!!クソ!!
クソ!!また護れなかった!!!!」
ミカドの身体が黒く染まりだし
暴走状態になりそうになるがシツキが
手を添えると元に戻っていく。
「ミカド……気持ちは分かる、だが負の感情に
呑まれてはダメだよ、『魔人化』すれば
今ここにいる仲間達も自身も……」
「シツキ……ありがとう……
というか、魔人化ってなんだ??」
「君達が暴走状態って言っている覚醒の事さ、
魔人化は狂鬼化と似た物だけど鬼や半妖には
起こらない覚醒でね、一時的には強い力を
手にする事が出来るが魔人化を続けていると
最終的には身体が崩壊して塵も残らない……」
「塵も……残らない……」
「でも、魔人化状態で自我を取り戻し
自力で解除したり魔人化を克服する事もできる、
ただ、克服してしまうと人間には戻れなくなるから
ミカド、魔人化しそうな時は感情にのまれては
ダメだよ、必ず自我を保って」
「分かった……お前やっぱり神だろ……」
「ここまで来たら隠してもしかないね、
そう僕は神!なんちゃって、神なんかじゃないよ」
「今更ほら吹いたって無理だぜ……
なぁ、シツキ……イチカは死んだのか……」
「シツキは表情を暗くして顔を俯ける」
「そうか……それと、なんで神は俺達の世界を
こんな破滅する様な事をするんだ……」
ミカドはシツキがまた姿を消す前に
聞ける事を聞いておく。
「この事象は神の意思、この宇宙の始まりから
存在している祖の神『始原神』の子供達である
十三の神の意思で行われている」
「なぜ人類を滅ぼすんだ……」
「それは生き残れば自ずと答えがわかるよ」
「そうか……なら嫌でも生き残るしかねーな
例えお前が敵に回っても俺は容赦なくお前を……」
「迷うなミカド!僕を殺せる位しっかり
強くなってね、手塩にかけたんだ頼んだよ」
「その手塩にかけたってなんの事だよ……」
「せっかくだし教えてあげようかな、鬼と半妖の話で
ミカドは自分の存在が分からなくなって異形なんじゃ
ないかって不安を持ってる様だけどそこは違うから
安心して欲しい」
それを聞いた共に追放された仲間達は
ミカドが異形では無いことがハッキリと
わかり喜び安堵している。
「んで、俺ってなんなんだよ……」
ミカドは異形ではない事に安堵したが
本当の正体が分かることに不安でいる。
「人であり鬼であり半妖と言うのが答えだよ」
シツキの話によると。
鬼や半妖の間で子供を作るとエネルギーが
反発しあって基本的には産まれる前に亡くなる。
人と人、鬼と鬼、半妖と半妖でないと
エネルギーの反発が起きてしまう。
稀に人と鬼であれば自然とエネルギーが
バランスを保つ事があるらしいが、
半妖が人間や鬼と子を作る事は出来ない。
しかし、ミカドは純粋な神の子である人間と
鬼と半妖の三種族の混血で死なないのは、
異形が出現するその時までシツキが
ミカドの家系を代々子供が出来る度に
母体が寝ている隙に現れては
エネルギーバランスを調整していたらしい。
「シツキ……お前……スケールデカすぎて
何も言えねぇよ……ありがとうって言って
いいのかもわかんねぇよ……」
「僕が勝手にやっていた事だからね
逆に辛い思いを沢山させて申し訳ない」
「ホントだぜ……」
「じゃ、僕達はそろそろ行くよ、
もう僕達は現れないと思ってくれ
助けるのは今日までだ、後は自力で
強くなっていくんだよ」
「ちょ!無責任!!俺が苦労しているのは
お前のせいでもあるんだからな!!」
「いいね、元気を取り戻してきた、
大丈夫、『神格覚醒』できたんだ
もっと力磨いて強くなって神を殺せ」
「じゃーねー!また会おうねー!」
シツキとマナは空に浮かび上がり
次元の扉を開き去って行った。
「神を殺せ……か……」
「異形で手を焼いてるってのに
神を殺せとか、あの野郎無茶言うぜ……
まっ、とりあえず正体が分かって
よかったなミカド!!」
「ジン……信じて着いてきてくれありがとうな、
お前を裏切らずに済んで良かったぜ」
「照れくせぇんだよ!改まって言うな!!」
「異形ではないと判明したなら仲間達の
所に戻れ、俺とウタカタは二人で生き残る」
「ユキマサさん……いや、一緒に戻りましょう!」
「それは無理だろう、他の者たちは狂鬼化を
恐れている、それに私は君達の仲間を一人
殺してしまっている様だしな……」
「……あれは事故ですから、それに直ぐに
戻るつもりはありません、この神格覚醒を
もっと使いこなせる様になってからです、
狂鬼化したユキマサさんとウタカタさんより
強くなってからです!!」
「僕も『豪鬼化』を磨いてミカドと一緒に
狂鬼化を止めれる様になるんだお!!」
「ミカド君……イチロ君……
ありがとうございます!私達も制御出来る様に
鍛錬します!」
「うん!そうだな!狂鬼化なんぞに
呑まれない様に鍛錬しよう!!」
ミカド達は亡くなったルンを土に埋め
お墓を作り再び消えた八蘇木山へ歩みを進めた。




