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KAMITUKU 第一部 ~end of the world~  作者: きなみ
第一章 異形襲来編
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第4話 「焔高の生存者達」

教室のロッカーの中で口を両手で塞ぎ

必死に声を抑えている女の子がいた。


彼女は『来恋千ここち メグミ』


異形襲来前の異様な地鳴りの時から

驚いてロッカーに篭っている。


生徒達や異形が立てる騒がしい音が

しばらく続いていたがやがて鳴り止み

メグミはロッカーの空気穴から教室を覗く。


「ヒィッ!!」


教室には至る所に血が飛び散っていて

ロッカーの前には一人の女の子が異形に

食い散らかされた悲惨な姿で転がっている。

恐る恐るロッカーから外に出る。


「えへへ……喉乾いちゃったなぁ……」

転がる亡骸を前にそう言った。


メグミは廊下の水道に行くが

蛇口に血が飛び散っていて水が飲めず

顔をしかめている。


「一階の自販機まで行けるかなぁ……こわいなぁ~」


階段を降りようとした時に一階から

大耳の異形が上がって来てしまう。


「ふぇぇ!!なになにーーー!!!!」


声を察知した大耳の異形は

メグミの方に振り向き、発達した後脚で

地面を蹴り上げて勢い良く飛び掛る。


「ウッ――」

体当たりされて吹き飛ばされるメグミ。


「痛いよーーー!!!!」


大耳を異形はノソ……ノソっとゆっくり近づき

大きく口を開けてメグミを捕食しようとする。


「キャァァァア!!!!」


「――――えっ……?」


大耳の異形は粘着質な糸に絡まり

倒れてもがいている。

他の異形が出した物だろうか、

メグミは一命を取り留める。


「メグミーーー!!大丈夫かーーー!!」

校舎に入ったセイヤとリョウヘイ

後、ウズキがメグミの悲鳴を聞き走って来た。


「セイヤ君!!リョウヘイ君!!

何か大変なんだよーーー!!」


セイヤは大耳の異形からメグミを引き離し

リョウヘイはもがく大耳の異形の頭を木刀で

殴打して叩き割った。


「会えてよかったぁ~」

ほのぼのした満面の笑みを浮かべる。


「かっ……可愛い……」

ウズキはメグミに一目惚れしてしまう。


「おいチンチクリン、メグミに変な気持つなよ」

「べべべ別に!?惚れてねーーーよ!!」

ウズキはそう言いながら絶命してる

大耳の異形をメリケンでドスドスしている。


「レイは見てないか……?」

「そうだ!!レイを探してるんだ!!

必ず生きている筈だ!!」


リョウヘイの問い掛けに思い出すように

セイヤは勢い良くメグミは肩を揺する。


「見~て~な~い~よ~」

「セイヤ、メグミの首がモゲるぞ」

「す、すまない!!取り乱した!!」


メグミは目をグルグル回して倒れ込み

セイヤとリョウヘイに会えた安心からか

そのままヨダレを垂らして寝てしまう。


「こんな状況でよく寝れるな……セイヤ、

責任持って運べよ……」

「俺とした事が!!その罰しかと受け止めよう!!」


セイヤはメグミをおんぶした。

メグミの巨乳がセイヤの背中に当たって潰れる。


「おい!!そんなんご褒美だろ!!ズリーぞ!!

俺におんぶさせろ!!」

「お前は黙れ……いちいち喚くな……」

「お気遣い感謝する!!しかし君は身体がメグミより

小さいから君の機動力を落としてしまう!!

俺の代わりにこの木刀で怪物を退治してくれ!!」


「――しょ、しょうがねーな~」

ウズキはセイヤから木刀を預かる。


「はぁ……バカばかりで疲れる……」

余計なお荷物を拾ったと後悔するリョウヘイ。


あらかた異形は先に進行した様で

移動しやすくなっているが、

レイを中々見つけることが出来ずにいた。


「ダメだ……見つからない……」

「諦めるのが早すぎるぞ!!」

「そうだぜ!!まだ、校舎の半分も捜してないぜ!!」

「そうか……誰かさんが怪物と出くわす度に

イチャついてるから結構捜した様な気がしててな……」

「うるせぇ!!俺様はやっぱメリケンだぜ!!」

そう言ってウズキは木刀を投げ捨てて

金色に輝くメリケンを指にはめる。


「余計使い物にならなくなるから木刀を拾え……

お前のお守りしてる程暇じゃないんだ……

これ以上面倒かけるなら別行動だ……」


「焔高最強のこの俺様を置いてくだと??

後悔するぜッ!!」


「あぁ……拾った事を後悔してるよ……」


珍しく親しくない人と会話を弾ませるリョウヘイに

何故かセイヤは嬉しそうな目で見ている。


「おっ!!生存者発見!!」

突如下の階段からひょっこり現れた彼は

異形に飛び込んで行った祖埜シツキだった。


「おぉ!!他にも生存者が居たか!!良かった!!」

「待て……こいつの制服汚れ一つ無いぞ……

怪しいな……お前もこの怪物の類いだったりな……」


「おっ!鋭いねぇ~、でも安心して僕は君達の味方だよ!

そしてこれは怪物じゃなくて異形って言うんだ」

シツキは生きてるヒルの異形の尻尾を掴み

ブランブランさせている。


「おい!そいつ生きてるぞッ!!」


「大丈夫大丈夫!こいつは雑魚だから!」

そう言うとシツキはヒルの異形に付いている

黒く丸い部位をデコピンした。


「この黒いのは異形全種が共通して持っている物で

コアと呼んでいる、このコアに少しでも傷を付ければ

異形は生命活動を停止するんだ」


「おぉ!有難い情報感謝する!!」


セイヤは真っ直ぐに感謝を述べるが、

早く知りたかったとなんとも言えない顔をする

リョウヘイとウズキ。


「情報共有は助かるが……お前余計に怪しくなったぞ……?異形とか言う存在を元々知っている様だしな……」


「まぁ~信じて貰えなくても結構だよ、

とりあえず安全な場所に案内するから着いてきなよ、

詳しい話はそれからって事で」


「悪いが俺達は今、捜している人がいる……

着いて行くのは見つけてからだ……」


「雪ヶ原レイさん……かな?」


セイヤとリョウヘイは驚愕した表情でシツキ見る。


「雪ヶ原さんは既に安全な場所にいると思うよ、

僕の友達と屋上に向かって行くのが見えたからね」


セイヤとリョウヘイはレイが無事だとわかり

ホッとした。


「うぅ~ん……」

目をゴシゴシしながら目を覚ますメグミ。


「おッ!起きたか!!」

「ごめんね~寝ちゃってたぁ~」


メグミはウズキを寝ぼけ眼で

じっと見ている。


「や、やぁ!!メグミちゃん!!

俺様は蘭闘ウズキ!!メグミちゃんが寝ている間、

護ってやったんだぜい!!」


金色に輝くメリケンをはめた手を掲げ

渾身のドヤ顔を決めるウズキ。


「そうだったんだぁ~!!ありがと~♪」

「いえいえ!メグミちゃんの為ならばこの命尽きるまで

お護りしましょうッ!!」


「お前は異形に襲われてただけだろ……」


「それじゃ、雪ヶ原さんの居る屋上に

向かうとしようか、校内で生き残っているのは

君達で最後みたいだしね」


「そうか……みんな異形に……」


祖埜シツキ、輝義志セイヤ、風桐リョウヘイ

来恋千メグミ、蘭闘ウズキの五人は

校舎に留まっている少ない異形を倒しながら

屋上に向かう。

挿絵(By みてみん)

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