第34話 「見掛けに寄らず怪力」
「なぁ~戻ろ~ぜ~」
無理やりバクマル達に付き合わされるミカドは
少人数での行動は危険だと当たり前の事を主張するが
ウタカタやミキリ、ハオリの様な自分より強い奴らが
いると特訓にならないと主張する。
「ウラァ!!かかってこいや異形共!!」
異形に居場所を知らせるようにバクマルは叫ぶ。
「やめろよ~わんさか来たらどうすんだよ~」
「大丈夫!!私頑張っちゃう!!」
そう言いながら塀にパンチして破壊するイチカ。
「なんでお前は乗り気なんだよ……」
(イチカがメスゴリラに…………こえぇ……)
ミカドは今後を想像しイチカには
逆らわない様にしなければと誓う。
ミカド達はしばらく歩き回るが
異形は全く姿を現さない。
「異形どこにもいないね」
「ったく!俺はここで休憩してるから
ジン、続けて捜索頼んだ!!」
「あァ?俺が休憩するからテメェが行けや」
「なんだやるか!?」
「望むところだ!異形よりテメェをぶっ倒した方が
せいせいするぜ」
「んだよ急に仲悪すぎだろ……」
「違うよミカド!喧嘩するほど仲が良いんだよ!」
「おーおーなるほど」ニヤニヤ
キシェ……キシェ……
ミカド達が軽く揉めていると
突如異形が出現する。
「ようやくお出ましかこの野郎!!」
バクマルはいきなり異形に殴り掛かるが
異様に発達した鋭く長い爪で薙ぎ払われ
建物を倒壊させながら飛んでいく。
大爪の異形の全体的に痩せ細った
身体から出されるパワーは到底想像出来ない。
「いきなり殴り掛かるとか……アホだな……」
「まずは俺から」
「一人でやるの!?危ないよ!?」
「そうだぞジン、黒神アンユが言ってたろ
今までの異形とはレベルが違う!!」
「様子見だよ、様子見」
ジンは刀を抜き放電させ技を発動しようとした時、
猛ダッシュでバクマルが戻ってくる。
「そいつは俺にやらせろぉぉぉお!!!!」
「んだよ、生きてんのかよ」
「あんなんで死ぬ訳ないだろうが!!
こいつにはお返ししなきゃならねぇから
ジンは引っ込んでろ」
「ったく、気をつけろよ」
「お?なんだ?心配してくれてんのか?」
「違ぇよ!!忠告だ!!」
ミカドとイチカはジンとバクマルを見て
ニヤニヤしている。
「あいつらカップルか?何だかんだ仲良いよな~」
「うんうん♪ラブラブだねぇ~♪」
ジンが戻って来てミカドに方を組み
耳元でボソッとつぶやく。
「聞こえてんだよ……お前から殺すぞ?」
「す、すいません……冗談です……」(なんで俺だけ)
バクマルの構えた拳が熱を帯び煙が巻き上がる。
「一撃で消し飛ばす!!」
キシェ……
大爪の異形はバクマルに向かって
ゆっくり動き出す。
「随分遅せぇな!!『爆拳!!』」
バクマルの爆拳が大爪の異形にヒットし爆発する。
しかし、大爪の異形はビクともしていない。
「おいおい嘘だろ……しっかり当てたぞ……」
異形は痩せ細った見た目に反してスピードが
全くなく、パワーと耐久力に優れている様だ。
戸惑っているバクマルに大爪の異形は
両手爪で捕え持ち上げる。
バクマルは抜け出そうと暴れるが
物凄いパワーで抜け出す事が出来ない。
異形は持ち上げたバクマルの方に顔を向け
口元から高圧の水を吹き出し暴れるバクマルの
肩を貫通し三秒の間を置き再び高圧の水を吹き出し
今度はバクマルの腹部を貫通する。
「――ッ」
キシェキシェキシェ
「やべぇ!!ミカド行くぞ!!」
「了解!!」
『雷閃!!』
ミカドの雷閃が異形に当たるが何事も
なかったかの様にしている。
「それじゃダメだ!!お前の今使える
最大の技を当てろ!!」
「それは無理!!バクマルも巻き込んじまう!!」
「なら、俺が仕留めるしかねーな!!」
ジンは刀の雷を最大限溜めて雷の大刀を作る。
「くたばってくれ!!『断雷一刀』!!」
ジンの最大の一撃を受け異形はバクマルを離し
吹き飛んで行く。
「助かった……マジで死ぬかと思ったぜ……
今回ばかりは礼を言うぜ……」
「あァ……だが仕留められなかった……」
「ジンのフルパワーでも無理なのかよ……」
キシェ……キシェ……
異形はノソノソと戻ってくる。
「あのスピードだ……今回は逃げるぞ……」
「俺はまだやれる……お前らは逃げてくれ……」
「いやいやいや、無理でしょ!!肩も腹も
穴空けられてんですよ!?」
「死んだら死んだでそれまでだ!ここで死ぬ程度なら
今後も俺は役に立たねーさ!!それならお前らの
逃げる時間稼いで死んだ方がマシってもんだ」
バクマルは異形の元に歩き出す。
「戻ってこい……俺の力……」
「ダーメ!ほら逃げますよ!」
「ちょ!?お前!?いいから構わず逃げろって!!」
イチカが無理をしようとするバクマルを掴み
一緒に逃げる為にズリズリと引っ張る。
「俺はあいつをぶちのめさなきゃ
気がすまねーんだ!!いいから離せ!!」
「また次会った時にぶちのめせばいいでしょ!!
逃げられない相手じゃないんだから今回は
逃げるのがお利口さんですよ!!」
「…………待て」
バクマルはある事に気がつく。
力を目一杯入れて踏ん張っている自分を
普通に引きずるイチカの怪力に。
「なんですか!?」
「お前の怪力ならあいつに太刀打ち
できるんじゃねーか??」
「おー!確かに!!じゃ、私が倒しますッ!!」
ミカドは止めるがやる気満々のイチカを
止める事が出来なかった。
キシェ……キシェ……
「覚悟しなさい異形!!どっちが怪力か
見せつけてやろうじゃないの!!」
イチカは力を溜めようと構えると
角が発達し、身体からあの時と同じ
紫色のエネルギーが湧き出る。
しかし、イチカは慌てず冷静にいる。
「私もミカドと同じ、人でも鬼でも半妖でもない
正体不明の存在って事ね」
イチカは自分の力を受け入れる。
キシェ……
異形はイチカの攻撃を待ち構えている。
イチカは自信に満ち溢れた表情で
異形に駆け寄る。
「負ける気しない!!」




