第32話 「蜥蜴の異形」
焔高で修行をしていた仲間達は屋上に戻り
休憩している。
「神格化ってのはすげーな!覚醒したばかりの
奴らが数時間で着々と成長してやがる」
「あのマナって子が関係してるんじゃないか?
それに比べ俺らは自力で覚醒して、挙句の果てに
身体に染み付いた薬が中々切れないからな……
ハオリはどうやって力を取り戻したんだ?」
「さぁーな、あいつは半妖としての妖力が
とりわけ高いからな、それも関係してるんだろ」
「おっ!?おい!!あれミカド達じゃねーか!?」
バクマルとジンの会話を遮るように
ウズキが校門の方を向いてミカド達が
戻ってきた事を知らせる。
「全員倒れてない!?」
ミキリは屋上から飛び降りミカド達の元に向かった。
後から全員ついて行こうとするが、異形の出現を
警戒し、ジン、アカネ、バクマルがミキリの後を追う。
「こりゃ酷でぇな……」
「とりまサヤチンとこ急ごー」
火花衣サヤの元に運び回収したバイオパックに
酷く負傷したイチカとユキマサを入れる。
ウタカタにはバイオシートを負傷した箇所に貼り
ミカドとハオリは目立った負傷は無く
エネルギーの回復を待った。
突然空からヒューーーンと聞こえ
グラウンドにドスンッ!!っと
大きな土埃を巻き上げて何かが落ちてきた。
全員が感じる嫌な感じは的中し土埃が晴れると、
高さ二メートル五十センチ程のかなりでっぷりとした
トカゲの様な容姿にゴツゴツした鱗、異形特有の
黒い身体で所々獣のような毛も生えている。
蜥蜴の異形は人間の様に
おしりを着く様に座って屋上の方を見ている。
「やけに可愛げのある異形が来たな」
異形に対し嘲笑するジン。
ゴポォ……
「うわあいつゲロ吐きやがった」
異形は手に吐き出した岩を持ち
屋上目掛けて投げ飛ばす。
「おいおいおい!?あんなん落ちてきたら
一発でここ崩れちまうぞ!!」
「まぁまぁバクマル君下がっていたまえ」
「あぁ?」
「俺様の修行の成果見せてやるぜ!!」
ウズキは落ちてくる岩に向かって飛び上がる。
「必殺!!『剛打一突』!!」
ウズキの拳が岩にあたり粉砕した。
「うげぇ……汚ねぇ……」
異形の粘液まみれのウズキが屋上に着地。
「よくやったぞウズキ……」
「俺もう戦う気ゼロ……後はよろしく……」パタっ
ウズキはその場に寝転がる。
「よくそんなんで寝れるな……」
「お前達はここでミカド達を護っていてくれ」
「あの異形は俺達にやらせてもらう」
雨昵一家は屋上から蜥蜴の異形を見下ろす。
「そいじゃ~運ぶぜ~」グビッ
「しっかり頼むわよ……」
「おう!任せろ!『送風』」
雨昵一家は風に包まれ、屋上から異形の
元にふわりと降りて行く。
「成功~」
「バジオの力便利だな」
ユアサがプフっと笑う。
「笑うな!どうせ攻撃系の技は覚えてねーよーだ!
このスナイパーライフルさえありゃ充分よ!」
バジオはスナイパーを構え異形の脳天めがけ
弾丸を撃ち込むが弾は弾け飛び異形は何事も
無かったように呆けている。
「見た目通りの頑丈な鱗だ」グビッ
「私のブレードもダメそうね……」
「結埜、バジオ援護を頼んだ、タカオミ行くぞ」
「おう!」
ユアサとタカオミは異形の元に走り技を仕掛ける。
『氷断』
異形の足元から鋭利な氷の壁が上がり
手足を切断しようとするが硬い鱗に守られ
氷が砕けてしまう。
「ッチ……」
そこ間にタカオミは後ろに周り攻撃を仕掛ける。
「少しは効いてくれよー!!」
『斬雨!!』
水を纏わせた腕を振るい、水の斬撃を飛ばすが
異形の硬い鱗の前に歯が立たず。
「おいおい……神格化した意味よ……」
「タカオミ!こいつの弱点探すぞ!!」
「それなら私も!!」
結埜は異形の元に走りながら
二本のブレードを構える。
「よっと!!」
結埜はそのまま異形に駆け上がる。
「動くな豚野郎が……『氷牢』」
身体を駆け回る結埜を捕まえようと動き出す
異形の手足をユアサが凍らせる。
「ナイス!ユアサ!」
「どうだ!攻撃が通りそうな所はあるか!!」
「全身みっちり硬い鱗に覆われてるよ!
もちろんコアも見つからない!!」
「お前らどけ!!」
バクマルは右腕から煙を上げて
異形に向かって走ってくる。
雨昵一家は咄嗟に蜥蜴の異形から距離を取る。
「その衣剥がしてやるぜ!『爆拳!!』」
バクマルの拳が異形の腹部にあたり
小規模の爆発を起こす。
ゴォエ……ゴォエ……
「思ったより力が戻ってるじゃねーか!!
もう一発!!『双突爆拳!!』」
両腕を異形の鱗が剥がれ落ちそうな腹部に添え
威力の増した爆発を起こす。
異形の脆くなった腹部の鱗が爆発で
弾け飛び表皮が露出した。
すぐさまユアサと結埜は飛び出した。
結埜がブレードで腹部を切り裂き、
ユアサが技を仕掛ける。
「くたばれ……『氷散流射』」
異形の裂けた腹部に氷の尖った礫が
次々と突き刺さっていく。
ゴギャ!!ゴギャ!!
「いいぞー!ユアサー!そら俺も『刺雨』!」
タカオミの放った水が異形の頭上で分散し
降る雨が異形を突き刺さしていく。
グギャァァア!!
「タカオミ……エグい……」
「おいおい引くなよ結埜!散弾と似た様なもんだろ」
「だからよ……」
苦しむ異形の腹部がどんどんへこみ
口から勢いよく粘液を吐き出す。
粘液を浴びたタカオミ達はその場に倒れてしまう。
「行くぞ!アカネ!」
「サクッとおわらせよー」
アカネの刀の刀身が熱を帯びる。
「その大口にあーっしの一撃受けちゃいなーっと!」
『火玉!!』
刀身から放たれた火の玉が
異形のあんぐりと開いた口に入り破裂し
飛散した火が異形の首周りの毛を燃やす。
「あんじゃねーか!すぐ楽にしてやるぜ!」
首周りの毛が焼失し喉元のゴツゴツした鱗の
生えていない場所にコアを見つける。
ジンは雷を纏った刀により強いエネルギーを
集中させると雷の大刀を作り出す。
『断雷一刀!!』
雷の刃は異形の硬い鱗をも焼き焦がし
コアを粉々に砕いた。
「今の俺じゃこんなもんか……」
ジンは真っ二つにするつもりで刀を振るったが
すぐにエネルギーは切れてしまい喉元を軽く
抉る程度の傷しか与えられなかった。
しかし、しっかりとコアは破壊され
無事に蜥蜴の異形を倒した。
ジンとアカネは粘液に覆われたタカオミ達を見ると
どうやら催眠効果があった様だ。
そのせいで最初に粘液に触れたウズキも
眠る様に倒れてしまったという事だ。
その後、ミカド達もタカオミ達も無事に
目を覚ましたが炎狂飢鬼ユキマサは
狂鬼化で流れ出てしまったエネルギーが多く
まだ眠りについたままだ。
次なる異形に備え鍛錬するミカド達。
いきなり遠くで物凄い爆発音がし
その方向を見ると八蘇木山が消えていた……。




