第28話 「未熟な覚醒者達」
異形ウルがジン目掛け突進して来る。
「消し飛べ!!『閃斬雷撃』!!」
刀から電撃が放たれ、異形ウルにヒットし
動きが止まるが……。
グルルル……
「嘘だろ……傷一つついねーじゃねーか……」
ウォンッ!!
異形ウルはジン目掛け再び突進して来る。
「ッチ、技が効かねーならぶった斬るだけだ!!」
「うっしゃぁぁあ!!『剛打一突』!!」
ジンの横からウズキが飛び出し
突進して来る異形ウルの脳天に技らしき
パンチを当てるが……。
「うおぉぉぉお!!!!いってぇぇぇえ!!!!」
ウズキの腕が折れて吹き飛ぶが、
異形ウルの突進は止まらない。
「余計な事するな!!お前らはまだ覚醒した
ばかりでろくに力も使えねーだろーが!!」
「んじゃ、俺の番だな!!」
「お前も俺より雑魚いだろーが!!」
「すんません……」
「『絞鎖光縛』」
光の鎖が異形ウルを締め上げ動きを止める。
「カズイチさん!!流石です!!」
「いやぁ~やってみるもんだね~」
「トドメは私が」
ウタカタが異形ウル目掛け太刀を振るう。
「『呪幻ノ舞……』」
ハオリは妖艶な舞をすると異形ウルは
ヨダレをダラダラ垂らし始め様子がおかしくなる。
「『至騰身干』」
グルォォォオ……
その場に倒れ込み呼吸を荒くして
ぐったりする異形ウル。
「ダメですか……人間なら簡単に蒸発するのに」
「なんか恐ろしい事言ってますよ!!この人!!」
思わずツッコミを入れるミカド。
「私達、半妖の中でも一番力を取り戻してる
ハオリでも無理ならこの異形倒せそうにないね~」
諦めモードのミキリは今の内に
異形ウルから逃げる事をみんなに進めるが……。
グルォォォオ!!!!
「しまった!!」
異形ウルは直ぐに回復しハオリに喰いかかる。
「そこまで……」
異形ウルの動きが止まり、再び次元の扉が開き
黒神アンユと無口の男が姿を現す。
「黒神アンユ……異形を放っているのは
間違いなくお前だな……」
ミカドはアンユに正体を問う。
「そう……ウルに勝てないとみんな死ぬ……
頑張って……生きて……」
アンユと無口男は異形ウルと共に
次元の扉に姿を消す。
「生きてって……なんなんだよ……敵だろ……」
人を殺したいのか生かしたいのか分からない
アンユの言動にむしゃくしゃするミカド。
異形ウルとの一戦を実質的に敗退したミカド達は
アンユの言う事が本当なら勝ち目はないと
話し合いをする。
「せっかく覚醒した所だが今のままでは間違いなく
生き残れる保証は無い!!そこで提案だ!!」
セイヤの提案は一度焔高校に戻り、シツキの作った
異形が絶対に入ってこないと言っていた屋上の小屋を
拠点にしてグラウンドで各々が修行するという案だ。
突如出現した遠くに見える巨大な異形の影と
思われるものから逃れる為に校舎を出たが
見る限り出現した場所から差程移動しておらず
焔中央都市に来るまではまだまだ猶予があると
判断し戻る事に。
「私からも提案があります」
ウタカタの提案は自身が元々いた焔中央都市の
特別厳重管理施設で管理されていた鬼がもう一人
いるらしく、解放して協力してもらうという案。
ウタカタ、ミカド、イチカ、ハオリの四人は
その鬼を解放するべく焔高に向かうチームと別れる。
「ミカド気を付けるだお」
「心配すんなイチロ!絶対戻る!」
「ミ、ミカド君……死なないでね」ギュッ
「くぉらぁぁあ!!先輩だからって許しませよ!!」
「…………」
ミカドに抱きつくメグミ。その光景を目にして
ブチ切れイチカとげんなりウズキ。
ミカド達は焔中央都市の外れにある
特別な鬼の厳重管理施設に向かう。
「ウタカタさん、その鬼はどの位強いんですか?」
「分かりません……でも相当な鬼のだとは思いますよ
捕らえられてから一度も目を覚ます事が
許されなかった鬼ですから」
「そういえばなんですけど、ウタカタさんって
いったい何歳なんですか?たまにすごい昔みたいな
話をされるので、見た目に反して長生きなのかなと」
「分かりません……それ程長く生きています……
数百年前なのは間違いないですね……」
「………………」
ありえない年月に言葉が出ないミカドとイチカ。
「鬼も半妖も覚醒した人はみんな長生きです、
成長もある個人差はありますが一定の見た目で
止まるみたいです、現に私も二百年は生きてます」
「寿命がないって事ですか……」
「それも人によってですね、人間と同じ速度で
寿命を全うする半妖もいました、半妖に限っては
遺伝によるエネルギーの濃さで寿命が決まる様です」
「私達鬼は鬼化した時点では人間と寿命は
対して変わらない様ですが、私みたいに
狂鬼化した鬼はそこから老化しませんね」
「狂鬼化?」
「狂鬼化は鬼のもう一つの覚醒とでも言いましょうか
前にも説明しましたが、この刀は鬼の負の感情の
具現化、再び一体化する事で強くはなれますが
暴走状態になってしまう事です、暴走したミカド君とは
狂鬼化で応戦したんですよ、あの時はミカド君の
圧倒的強さに勝手に狂鬼化してしまいましたが……」
「そうだったんですか……今から解放する鬼も
狂鬼化出来るって事ですね」
「むやみやたらに狂鬼化する鬼は今せんから
大丈夫ですよ、みんな鬼になっても
自分でいたいですからね」
ミカド達は歩みを進めて行くと気づき始める。
全く異形に出くわさない事に。
「そういえば、異形に全く遭遇しないな……」
「あの時じゃない?マナちゃんが来た時に
空が晴れ渡ると同時に異形の死体の山も
消えていってたし」
「えっ、そうだったの?そういえば死体なかったな」
全員が晴れ渡る空に釘付けだった時にイチカは
しっかりマナの降臨で異形の死体が消えて行くのも
確認していた。
「いつ出現するかは分かりませんから、
気を緩めずに行きましょう」
気が緩むミカドに気を引き締めるようにウタカタは
意識させた。
「そうですね、全てはあのアンユと言う女の子の
思惑のままですからね……」
一方、焔高に向かった者達は――。




