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KAMITUKU 第一部 ~end of the world~  作者: きなみ
第一章 異形襲来編
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第11話 「神黒鳥~カラス~」

スナイパーの男性は一見何も無い地面に手をかざすと

地面がスライドして地下に続くトンネルが現れる。

人二人が余裕で通れるくらいの穴にハシゴが

二本掛かっていた。


「それじゃ!私に着いてきてね!」

ブレードの女性の後をミカド達は着いていく。


ハシゴを降りると広い空間があり

ある程度快適に過ごせそうな家具が揃っているが

一角に銃やナイフが陳列され物々しい雰囲気を

漂わせていてミカド達は反応に困り固まっている。


「そんなに怖気付くな、別にお前らを

とって食おうってわけじゃねぇーんだ」


「こ……ここは……?」

ミカドは意を決して質問する。


「ここは俺達の隠れ家だ!

今日から自分の家だと思ってくつろいでくれ!」


「は……はぁ……」


「おっ!新入りかい?」

「どー見ても新入りじゃねーだろー」

別の部屋から小汚い髭面の男が二人が現れる。

ナイフの男以外はみんな黒いレザージャケットを着ている。


「助けて頂きありがとうございます、あなた達の噂は

知り合いから聞いています『神黒鳥からす五黒いぐろ一家』の

人達ですよね……なぜ、戦争屋のあなた達が……」


レイはこのレザージャケット集団が

何者なのかを知っている様だった。


「戦争屋だなんで人聞きが悪いわねぇ!」

「政府の奴らを潰そうとしてる俺らだ、

そう思われても仕方ないさ」

「でもなぁ」

「ひとまず自己紹介と行こうじゃないか」


互いに自己紹介をする。


「俺は『五黒いぐろマサ』この一家のリーダーだ」

紙巻きたばこを美味しそうに吸っている。


「私はね『秋月あきづき結埜ゆの』!

特技は武装解除!よろしくね!」

可愛い顔で何を言っているんだと思うミカド。


「俺は『雨昵あまねタカオミ』炊事担当!美味い飯を

家族に腹いっぱい食わしてやるのが俺の役目だ!」


「俺は『風夜見かぜよみバジオ』武器のメンテは

一通り任せてくれや、めんどくせぇ改造も

酒さえくれりゃやってやるぜぇ~」


マサは片眉を上げてやれやれという表情を浮かべて

唯一白いレザージャケットを着た男を呼ぶ。


「おーーーい、お前も挨拶くらいしないか」

「…………」

白いレザージャケットの男は

持っていたナイフを光らせる。


「ったく、しょーがねーなー……

あいつは『氷洞ひょうどうユアサ』、

あんまり関わらない方が身のためだ……

下手すりゃ最悪殺されるからな……

気を付けろよ……とりあえずお前達は今日から

俺の家族だ!何、一家に入れって事じゃないさ!

助け合ってこの訳分からん事態を乗り切ろうってだけさ」


自己紹介を済ませるがミカドは

気になっている事を恐る恐る質問する。


「氷洞さんだけ服が白いのは

何か理由があるんですか……?」


「もっと馴れ馴れしく下の名で呼び合おうじゃないか」

「気安く呼ぶな……殺すぞ」

持っているナイフが再び光る。


「ユアサだけは氷洞さんよろし頼む」

マサは面目なさそうにして、

ミカド達は今にも漏らしそうなくらいビビる。


「そうそう、ユアサは別のチームから来たんだが、

訳あって一向に俺達の制服を着てくれないだ、

それよりレイはどこで俺達を知ったんだ?」


マサはユアサの話題を逸らす様に

レイに質問を投げかけた。

一般的には政府側の不都合もあり神黒鳥との衝突は

表に明らかにはされていない。


「私はまだまだ未熟ですが、夜勝刃やがつば家の

夜雷やらい一刀流を教わって――」


突然ユアサが飛んできてレイの首元をナイフが

かすめて首に一筋の血が伝う。


「すまない、」

ユアサがレイの首にナイフを入れるギリギリで

マサが取り押さえる。

「すすすすす!すまないじゃないおッ!!

レイ様にいきなり何をするんだおッ!!!!」


「イチロ君、大丈夫よ……この人が私を殺そうと

するのも仕方ないわ……」

「どどど、どういう事だお????」


マサがユアサを取り押さえたまま説明する。

「俺達は政府の軍隊、大陸防衛軍と戦っていてな、

部隊長クラス以外の奴らは捨て駒の様に扱われる程度

の兵隊しかいない……そんなもんだから直ぐに兵隊が

不足して他の力に頼らざる得なくなる」


「だからなんだお!?レイ様に何の関係があるんたお!?」


「その力が夜勝刃一族の奴らだ……俺達の敵……」

ユアサがレイを物凄い形相で睨みつけている。


「お前の気持ちも分かる……

だがこの子は戦場に出たことすらない筈だ」

「ッチ……確かにな、夜勝刃の連中にしては雑魚すぎる」


「私は夜勝刃家人達と血の繋がりは無いわ、

腕を買われて教わっているだけよ」

レイは唇を噛み締めて悔しそうに顔をしかめる。


「レイ様は弱くないお!!

ここまで生き残って来れたのもレイ様が異形を――」

「いいのイチロ君、確かにあの人達に比べたら

私が弱いのは事実、そしてこの人達は師匠達と

対等にやり合ってきた強者なのも事実」


「五黒……いい加減離せ……」

「もうこの子達に手を出すんじゃないぞ」


ユウタ達は身構える。


「一々ビビんな雑魚共、もう手は出さねーよ」

「そ、それなら良かった、なぁイチカ~」

「そ、そうねミカド~、安心安心!」

「今だけはな……」

またナイフを光らせるユアサ。


「はいはい、あんまりこの子達を脅すんじゃない、

皆すまんな、もし家族同然のお前達にユアサが

手を出せば俺が許さん――、まっ!

安心してゆっくり休んでくれ」


ミカド達は異形に襲われる心配がない場所で

ようやくゆっくり休息を取る。

タカオミの作ったご馳走を食べて食後に

交流を深め合った。


イチロが眠気眼でおもむろに立ち上がる。

「トイレはどこだお~?」

「あっトイレ?そこの扉を空けて廊下に出てすぐよ!」


結埜にトイレの場所を教わり

トイレのドアノブを握ると、

廊下の奥の方から声が聞こえる。

この時、何故か異様に目が覚めた。

イチロは気になって廊下歩き

突き当りから顔を覗かせる。


「レイ、皆の為によく頑張ってくれたな……

怖かっただろ、よく戦ってくれたよ……リョウヘイは

残念だったが……無念は俺達が晴らそう……

今日はうんと泣いてうんと休め……」

「うぅ……ぐすっ……」


イチロが見たのは、セイヤに抱きしめられて

静かに泣くレイだった。


イチロはトイレまで生ける屍の様になって

無言でトイレに入った。


「そんな……嘘だお……レイ様は――」


資材室の一件以来、だんだん親しくなって

レイに恋心を抱いていたイチロ。

異形から生き抜いた時、レイに告白しようと

決めていた時にセイヤとレイが実は付き合っていた

事実を目の当たりにして、イチロには悲しみ怒り

悔しさ愚かさ色々な感情が入り交じり

死んだ様にトイレに座って静かに涙を流す。


暫くしてトイレがノックされる。


「おーい!イチロ!いつまでうんこしてんだー」

「う、うんこじゃないお!?寝ちゃってただけだお!?」


ミカドの声で我に返りそそくさと手を洗って

トイレから出てくる。


「お……おい……お前なんだそれ……」

「べ、別に泣いてないお!?!?あくびしてただけだお!?!?」

イチロは泣いていた事がバレない様に腕で

顔をゴシゴシ擦りながら誤魔化す。


「ち、ちげーよ……頭に角……腰に刀……」

「角……?刀……?何言ってるんだお??」

頭と腰を触ると確かに違和感が。

直ぐにトイレの隣にある洗面所の鏡で確認する。


「な、なんだおこれぇぇぇえ!!!!」

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