プロローグ第一話下
「では、改めましてこの国の風習を説明させていただきます。」
私がここに来るまでの話をアーレに話すと、今度は逆にアーレが話し始めた。
「この国に関わらず、この大陸が信仰している神は、不倫や一夫多妻を穢れとして扱われております。
しかし、この国は先王の武力拡大によって多くの高官が必要になりました。
そして、白羽の矢が立ったのが王族でした、そして先王様は沢山の側妃を抱えることになったのです。
つまり、側妃殿下方は先王陛下の穢れを浄化するために神殿に入っていただかなければなりません。」
...は?
私はしばらくの間思考が停止してしまった。
クラリナ王国ではどんなことがあろうと不倫や一夫多妻になるものはいなかった。
それに、クラリナ王国にある神殿でも確かに、不倫や一夫多妻は穢れと言われていたしかし本妻以外のものが穢れを浄化しなければならないという教義はなかった、第一生まれた時から神に仕える神官とクラリナ王国に昔から住むクラリナの血筋の持ち主以外で穢れを浄化することはできない。
どれだけ側妃がいようともその身に染みついた穢れは浄化できないのだ。
だから、クラリナ王国ではそんな風習はなかった。
まさか、この国がこんなにも愚かで神をないがしろにしているとは思わなかった。
自然と、目から涙が出てきた。
「嫌でございます。私はあのような愚か者の未亡人として意味もなく神殿になど入りたくないです。」
私は、かすれた声で言った。
私は、正統なるクラリナの血筋だ私が神殿に入ってしまえばあの愚王の罪を浄化することになる。
そんな事、許されない。この世の安寧を思うのなら私は神殿に入るべきではない。
「やはりそうでしたか、美姫と謳われることはございますね。
ねっからの、クラリナの血筋です。しかし、神殿に入らないとクラリナ王国側がリメイン王国側との盟約を突然切ったとみなされクラリナ王国とリメイン王国は全面戦争になるでしょうね。」
妙に、明るい声をしてそうつぶやくアーレにびっくりしてアーレの顔をまじまじと見るとアーレの目の奥はは恐ろしいほどに二やついていた。
「私だって、この国の王が大っ嫌いだったんですよこの手で殺してしまいたい程度にはまあ殺してはいませんが。
そんな事より、今は王女様の事です。お嬢様さっき言いました通りもし複数人の妻を囲んでいるものがいたら正妻以外の配偶者は教会に付属しなければなりませんしかしこれんだって例外はございます。
それは、冒険者ギルド「未亡人」一般の方々には未亡人ギルドと呼ばれることの多いギルドに入ることで教会に入らず一定の地位を手に入れる事が出来ます。」
確かに、それなら私にもあっているかもしれない。
しかし、こんなの話がうますぎる何か裏があるはずだ。
「それで、このギルドに私が所属することで私やクラリナ王国に対するデメリットはある?
それに、あなたには見返りが必要なんでしょう?」
「御明察でございます、姫様。クラリナ王国に対してはデメリットがございませんしかしお姫様にはございます。未亡人ギルドは原則として未亡人になった女性のみが入る冒険者ギルドです。
つまり、力仕事を女性のみで行わなければならないのです。」
確かに、冒険者ギルドは魔物を殺したり、薬草採取を行う機関だ力仕事が必要になる。
「確かに、そうでございますね。私には体力がない訓練しなければならない。」
「3週間でございます、王女様。3週間の間各妃たちに猶予が与えられます。
もし、3週間のうちで教会にはいることを選んだら髪を切り一週間の間礼拝堂で祈り続け洗礼を行います。そして、国に帰るといった妃の国は滅ぼされます。ほんの一部でしょうがもし、未亡人ギルドを選択した場合即刻城から出され今後一切王宮に入ることも母国やリメイン王国からの援助を受けることも禁止されます。」
まじめな声色でアーレは言った
それにしてもこの国はなんて残酷なんだろうか、こんな選択どれを選んでを幸せには、なれないだろう。
神官として、一生を神殿で過ごすか、母国を滅ぼした悪女と名を連ねるか、自由を負う代わりに母国ともつながりを絶ち命の危機にさらされながら生きるか。こんな選択肢を、出されたらどの妃も間違いなく神官になる選択を取るだろう。
「私は、未亡人ギルドを選択しよう。」
「は、かしこまりました。クラリナ王国王女としての最後の命令しかと承りました。」
こうして私は、アーレに対するメリットを聞き出さずに面会を終わらせてしまった。