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異世界ハードモードをクリアせよっ!  作者: mitsuzo
第二章 人生スタート(GAME START)
52/62

042「少しの成長」



「では、これよりA組を先頭に結界の外へ入っていく! D組から先に目的地となるC級魔物の狩場に着き次第離脱。以降はC組、B組と狩場に着いたら離脱せよ!」

「「「「「はい!」」」」」


 A組を先頭に隊列を作って合宿所から結界の境界に来たところでA組担任のエンリル・ザビトから指示が出た。結界の外を出て約一キロほど進むと、


「よし! ここがD組の狩場となる。D組はここで離脱!」


 ハヤトたちD組の生徒たちが隊列から離脱するとD組担任のマリア・ウィンスターが生徒たちに説明を始めた。


「はーい。では皆さん、これより実戦訓練となる魔物狩りを始めます。この辺はC級魔物しかいませんが相手は魔物です。油断していると大けがにつながるので緊張感を持って戦うように! まずは三人一組でチームを組み、対峙する魔物の数は二匹以内で臨んでください」

「「「「「はい!」」」」」


 これまでD組は十一人だったが、A組からティアラとイザベラ、マリアンヌ、カルロ、ヴェルヌーブが加わった為、数は十六人となっていた。その為、本来であれば三人組が四チームで残り四人で一チームとし計五チームで編成するものだが、


「ハヤト・ヴァンデラス君⋯⋯⋯⋯あなたはチームに入るのではなくみんなの援護やアドバイスをお願いします」

「そうだな、そのほうがお前も都合がいいだろ?」


 マリア・ウィンスターとソフィア・ハイマンがハヤトは監督兼サポート役を指示された。


「ああ、問題ない。俺もそのつもりだった」


 かくして、D組の各チームは先生達とハヤトの見える範囲内で広がって魔物狩りを始めた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「バーニングショットっ!」

「グモォっ!?」


 リンガが素早い動きでC級魔物のオークを翻弄し、背後から魔術を打ち出し倒した。


「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」


 リンガのスピードで敵を翻弄し倒した姿を見た皆が驚きの声をあげる。


「す、すごい! リンガ⋯⋯いつの間にそんなに強くなって⋯⋯」


 ライオットがこれまで引っ込み思案で大人しかったリンガの今の姿を見て呆気にとられていた。周囲も同様である。


「え、え!? あ、あの⋯⋯その⋯⋯この前の試合で⋯⋯少しコツみたいなのを⋯⋯掴んだから⋯⋯」


 リンガがライオットの言葉に顔を赤くしながら返答する。


「うむ。どうやらリンガはこの前の試合でどうやら『一点爆発型』の魔力コントロールがほぼ完全に習得できたようだな。動きが以前とは段違いだ」

「ほ、本当っ!?」


 リンガがハヤトの言葉に猫耳をピコピコ動かしながらテンション高く反応する。「俺の時とテンションが大違いだ」と横でライオットが拗ねる。


「ああ、本当だ。しかも一回だけでなく何回も使用できるよう、魔力を調節しながら使っていることもちゃんとわかるぞ。すごいぞ、リンガ」

「あ、あああ、ありがとう、ハヤト君っ!」


 リンガは褒められたのがよほど嬉しかったのか尻尾をブンブン荒ぶらせながらさらに魔物を見つけ狩っていった。


「「「むむむ⋯⋯」」」


 そんな褒められたリンガの姿を見て、心穏やかじゃない者が数人⋯⋯、


「リ、リンガちゃん⋯⋯⋯⋯強敵だわ」

「そうですわね。可愛くて、素直で努力家、おまけに性格も良い子だけに⋯⋯⋯⋯むしろ応援する側に回りたいと思ってしまう自分がいます」


 イザベラとマリアンヌがハヤトに褒められ満面な笑顔でウキウキするリンガに脅威を覚えていた。


「リンガちゃん、良い子よね。私とはまるで正反対⋯⋯」

「「⋯⋯⋯⋯あっ」」


 イザベラとマリアンヌがティアラのほうを見るとティアラが体育座りしながら木の枝で「の」の字を書いて落ち込んでいた。


「フフ⋯⋯私はやっぱりあくまでハヤトにとっては『姉』なのよね。そうよ、私たちは姉弟だもの⋯⋯⋯⋯血は繋がっていないけど。周囲はそういう認識なんでしょ⋯⋯⋯⋯血は繋がっていないけど」

「「ひ、久しぶりの⋯⋯⋯⋯ネガティブ乙女モード」」


 ティアラ・ヴァンデラスは数年に何回かこのような深く落ち込むことがある。そして、これが今年初の『ネガティブ乙女モード』だった。ネガティブ乙女モードとなったティアラを元に戻すことにイザベラやマリアンヌはこれまで何度も苦労を重ねていた為、ネガティブ乙女モードとなったティアラは二人にとって魔物狩りよりも大問題であった。


「ま、まずいわよ、マリー。これはとても面倒臭い事案よ!」

「わ、わかってます、イザベラさん。このままだと後の私たちが苦労するのは目に見えてます。早急に対策を打ちましょう」


 意見が合致した二人はその勢いでハヤトの元へと足を運んだ。



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