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異世界ハードモードをクリアせよっ!  作者: mitsuzo
第二章 人生スタート(GAME START)
32/62

023「演習初日」



「よーしお前ら行くぞ。遅れるなよ!」


 そう言ってソフィア先生はグングン森の奥へと進んでいった。


 話では、演習施設の周囲には一クラスほどの人数が体を動かしても余裕があるほどの敷地が五つほどあるらしく俺たちD組はその場所へと移動していた。


「ハヤト⋯⋯」

「なんだ、ライオット?」

「先生の相手はお前に任せたぞ」

「ん? 別に今は個別授業はしないだろ?」

「いやいやそうじゃなくてだな、先生の近くにいてくれるだけでいいんだ」

「?? それだけでいいのか?」

「ああ、頼むよ」

「わかった」


 俺はハヤトにそういって先生の近くにいるよう言った。というのも俺の勘だが先生はハヤトをけっこう意識しているように思えたからだ。なので、ハヤト以外の皆にソフィア先生の被害が極力及ばないように配置した。


「ここだ。ここでお前たちには課題をやってもらう」


 一、二分ほど歩くとその敷地に俺たちは辿り着いた。思っていた以上に広い。これがあと四つもあるという。本当に国の教育への力の入れようがここを見ただけでもよくわかる。


「それでは早速、お前たちへの課題だが⋯⋯⋯⋯ハヤト、前へ」

「うん?」


 ハヤトがここでソフィア先生に呼ばれるとは思っていなかった様子で少しキョトンとしながら先生の前へと出る。まあ、俺たちもまさかのハヤト指名に本人と同じくキョトンとしていた。


「おい、ハヤト・ヴァンデラス。前に私との対戦で見せた魔術を弾くのを皆に教えろ」

「「「「っ!!!!!」」」」


 ソフィア先生の発言にD組のみんなが言葉を失った。


「いや⋯⋯その前に私に仕組みを教えて欲しい。そうすれば二人で指導ができるからな。どうだ?」

「「「「せ、先生自身がっ!!」」」」


 俺たちは目の前のハヤトと先生のやり取りについていけていない。


 しかし、ハヤトのその魔術をはじく技は自分で身につけたものだ。そんなものを果たして簡単に先生に教えるどころか、俺たちに教えたりするものだろうか?


「ああ、わかった、いいぞ。これはだな⋯⋯」

「ふむ、ふむ⋯⋯」

「ええっ!! お、教えるの?!」


 ハヤトが特に否定することもなくソフィア先生に魔術を弾く仕組みを解説し始めた。ソフィア先生は別に強制などしていなかったのでハヤトがそれに応えたということは問題ないということなのだろう。


「ふむ、なるほど。では、ちょっと確認してもいいか?」

「ああ、わかった。では、俺が先生に魔術を当てる」

「頼む」


 そう言うと、ハヤトが一定距離まで下がり魔術を放つ。


「スウィングストーム」


 すべてを薙ぎ払う風属性魔術がソフィア先生へと向かう。すると、ソフィア先生が、


「はぁっ!」


 バシュ!


 スウィングストームを躱す動作をすると同時に火属性魔法のバーニングショットを放った。すると前にハヤトが見せた『属性の異なる魔術で魔術を弾く』ことに成功する。


「「「「おおおおおーーー!!!!」」」」


 俺たちはその光景に驚き、歓喜をあげる。


「なるほど⋯⋯理屈はわかった。しかし、これは練習が必要だろうな」

「うむ。大事なのは魔術の属性や威力ではなく『魔術を当てる角度とタイミング』だ。しかし、逆を言えば理屈さえわかれば後はコツを身に付けるまで何回も練習すれば誰でも使えるということだ」

「「「「!!!!!!!」」」」


 ハヤトの言葉に俺たちは耳を疑った。


「お、おい⋯⋯今、ハヤトがあれは練習すれば誰でもできるって言ったよな?」

「あ、ああ。たぶん⋯⋯でも⋯⋯」

「わ、私たちでも練習すればできる⋯⋯」


 皆がザワザワする中、ソフィア先生が声をあげる。


「いいか! お前らD組はこの『魔術を弾く魔術』の習得が課題だ!」

「「「「は、はいっ!!!!」」」」

「お前らでもできる! 死ぬ気で頑張れ! わからないことがあったら私とハヤト・ヴァンデラスに聞け」

「「「「は、はいっ!!!!」」」」


 俺も含めて皆が『俺たち(私たち)にもできる』となってテンションが上がった。


「⋯⋯ところでソフィア先生」

「ん? なんだ、ハヤト・ヴァンデラス」

「俺は何をすればいいんだ?」

「何を言っている? 私と一緒にこいつらに技を教えろ」

「あ、いや、俺の課題のことだが⋯⋯」

「ん? あ、ああ、そうだな。では、お前への課題は『全員が今日中に課題クリアの達成』だ。皆が課題クリアするにはどうすればいいか⋯⋯わかるな?」

「⋯⋯まあ」

「では、課題クリアに向けてお前も頑張るように⋯⋯⋯⋯おい、そこ! そうじゃない! 話を聞いてなかったのかっ!」

「おい⋯⋯」


 そう言ってソフィア先生はハヤトからさっさと離れて他の生徒に教えに行ってしまった。


 要するにハヤトの課題とは『ソフィア先生のお手伝い』となった。


 まあ、ハヤトには申し訳ないが魔力の少ない俺たちにとっては『体術』とこの技を組み合わせれば上のクラスの奴らに対抗できる可能性があるのでとてもありがたい話である。


 ハヤトは犠牲となったのだ。


 

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