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異世界ハードモードをクリアせよっ!  作者: mitsuzo
第二章 人生スタート(GAME START)
25/62

016「A組にて」



「ちょっと、ちょっと、ティアラー! ハヤト君の話聞いたー?」

「大ニュース、大ニュース⋯⋯」


——お昼休み


 寮の食堂でランチを食べようとした時に遅れてやってきた親友のイザベラ・カンツォーネとマリアンヌ・ベルガモット⋯⋯通称マリーがパタパタとやってきた。


「ハヤト? 大ニュース?」

「そう! ハヤト君! 大ニュース! なんかね、D組の魔術の授業でハヤト君がソフィア先生から特別授業を受けたみたいでさ」

「特別授業?」

「ソフィア先生自らが生徒と一対一で指導するていう⋯⋯簡単にいうと『公開鉄拳指導』みたいなものみたい」

「こ、公開鉄拳指導? そ、それってただの鉄拳制裁じゃない」

「ま、そういうことね。原因はハヤト君の言葉遣いとか態度らしいけどね」


 なるほど。確かに『特別授業』となるのも無理はない。でも、


「それでハヤトは? ハヤトは大丈夫なの? ま、まさか⋯⋯⋯⋯私ちょっとハヤトのところ行ってくる!」


 私はすぐにハヤトの所へと飛んで行こうとした。


「ちょい待ちっ! 話を最後まで聞いてよ、ティアラ」

「ティアラ、せっかち」

「だ、だって⋯⋯」


 慌てふためく私をイザベラとマリーが止める。


「いい? そのソフィア先生の特別授業なんだけど最初はD組のみんなも『かわいそうに』て感じで見てたんだって。でも、ハヤト君はソフィア先生と⋯⋯なんと互角にやり合ったみたいなの!」

「ええ! ハヤトが?! あのS級魔術士(クラスS)のソフィア先生と⋯⋯っ!」

「うん。ハヤト君、すごい」

「う、うそ⋯⋯? ハヤトは下級魔術士ジュニアよ? いくら何でもそんなこと、あるわけ⋯⋯」

「そう! そうなの! ハヤト君は下級魔術士ジュニアだからD組に行ったわけじゃない? でもハヤト君は下級魔術士ジュニアの魔術でS級魔術士(クラスS)のソフィア先生の魔術wp弾いて攻撃を防いだらしいわ!」

「えっ?! 魔術で魔術を⋯⋯弾く?」


 一瞬、イザベラの説明の意味がわからなかった。『魔術を魔術で弾く』って何よ?


「魔術で魔術を弾くなんて初めて聞いた。すごい」


 普段、天然でのほほんとしているマリーでさえ驚いている。そりゃそうだ。『魔術で魔術を弾く』なんてそんなことができるの? でも実際、それができたからハヤトはソフィア先生の攻撃を防いだわけで。


 あ〜、もう!


 ここにいても答えはわからない!


「私、やっぱりハヤトのところ行ってくる!」

「よし、行こう!」

「行こう、行こう」


 どうやらイザベラはこの話をしたら私がハヤトのところに行くことを見据えていたっぽかった。


 ちょっとイザベラの手の平で踊らされた感はあるのがちょっとむかつくが、今はそれ以上にハヤトに真意を確かめたかった私はイザベラの口車にまんまと乗った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ハヤトー!」


 私たちは食堂の端っこにあるD組の机で食事をしているハヤトに声をかけた。


「おー、ティアラじゃないか」


 何となくハヤトはD組では『トラブルメーカー』扱いでひとりぼっちだと思っていたのだが、実際、ハヤトの周囲には男女関係なく生徒が集まり一緒にご飯を食べていた。


「ちょっと話があってきたんだけど⋯⋯その前に二人を紹介するわね。こっちはイザベラでこっちがマリー。私の小さい頃からの友達よ」


 そう言って、私は二人を紹介した。


「はじめまして、ハヤト君。あたしはイザベラ・カンツォーネ。ティアラとは物心ついた時からの友達よ。よろしく!」


 イザベラがいの一番に元気よくハヤトに声を掛ける。そしてマリーも続けて挨拶をする。


「初めまして、ハヤト君。私はマリアンヌ・ベルガモットと申します。私もイザベラと同じくティアラさんとは小さい頃からのご友人です」


 ペコリ⋯⋯とマリーが緊張気味に挨拶をして頭を下げる。


 誰にでも明るく接するイザベラ、そして人見知りのマリーと二人の人柄が挨拶によく表れていた。


「どうも。いつもティアラがお世話になっている。弟のハヤト・ヴァンデラスだ。よろしく頼む」

「えっ!? あ、あの、よ、よろしく⋯⋯」

「!? よ、よろしく⋯⋯です⋯⋯」

「えっ?!」


 ハヤトが二人の挨拶に気負いするどころか、堂々と⋯⋯いや、むしろ、上からの物言いの口調で挨拶したことでイザベラとマリーは戸惑っている様子だった。


 無理もない。普段、イザベラやマリーは四大公爵の人間なので外ではほとんど相手が気を遣って話かけてくるのが普通なのだ。同級生ならなおさらである。


 普段、二人にからかわれることが多い私は、後からからかってやろうと思い、動揺している二人が今どんな顔をしているのか確認してみた。


 ポーー。


「!?」


 あれ?


 二人とも、何だか⋯⋯⋯⋯顔を赤らめておいでですが?


 あと、瞳もウルウルしてるんですけどぉぉーーーーー!!!!!


 ちょ、ちょっと待って!


 え? ま、まさか⋯⋯まさかよね?


 そりゃ、確かにこれまで同級生からそんな上から目線で言葉をかける男なんていなかったのはわかるわよ。でも⋯⋯、


 チョロ過ぎやしませんか?


「イザベラ、マリアンヌ⋯⋯今度、時間があるときにはぜひ昔のティアラのことを教えてほしい」

「は、はい! ぜ、ぜひ! 私たちでよかったらっ!」

「ありがとう」

「マ、マリー⋯⋯」

「うん?」

「私のことは『マリー』と⋯⋯お呼びください」

「わかった。マリー」

「は、はい!」


 な、何なの?


 マリーはまだしもイザベラのあの『乙女』な感じは何?


 初見(初めて見た)なんですけど?


 それに、マリーが男を意識するなんてこれまで一度もなかったのに⋯⋯。


 これって色々とマズイのでは?


「あ、あの、イザベラ、マリー⋯⋯私たちそろそろクラスのテーブルに戻ったほうが⋯⋯」

「ん? ティアラ? 何か用事があって来たんじゃないのか?」

「あ、いや、その⋯⋯それはまた今度ということで⋯⋯」


 私はイザベラとマリーをハヤトから遠ざけようと思いこの場から離れようとしたのだが、その時、


「ティ、ティアラ・ヴァンデラス⋯⋯紅蓮の乙女ブレイザーズ・メイデン。それにイザベラ・カンツォーネにマリアンヌ・ベルガモット⋯⋯すげーメンツだな、おい」

「あ、有名人がいっぱい!」

「お、おい! やめろ、エマ!」


 D組の生徒たちが私たちを見るや否や、ザワザワし始めた。すると、


「みんな⋯⋯紹介しよう。俺の最愛の姉ティアラだ」

「ちょ、ちょっと! そんな紹介⋯⋯」

「「「「きゃーーーーーー!!!!!!」」」」

「「「「なにーーーーーー!!!!!!」」」」


 そこにいたD組の生徒が前に見たことがあるような反応を示した。デジャブである。


「さ、最愛の姉⋯⋯だとっ?!」

「よくも、まあ、はっきりと言いますね、ハヤト君」

「きゃー!! 血は繋がっていないんでしょう? 何だか萌えるーー!!!」

「この際、紅蓮の乙女ブレイザーズ・メイデンとか四大公爵とか置いといて、いろいろ聞かせて、ティアラさーん!!」


 こうして私たちはD組のみんなに暖かく迎え入れられました。



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