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今でもそうだ


「シャム!」

「ぶ! 何よ唐突に大声上げたりして」

「ソマリはどこに?」


 俺の娘であり。

 前世の俺の恋人であり。

 俺のことを世界中の誰よりもアイシテいる。


 そう豪語するベリーが持ち掛けたゲームの内容は最悪だった。


「ソマリ? そう言えば見掛けないわね」

「……ミランダを呼ぼう。シャムも同行してくれ」

「ソマリに何か遭ったの?」

「ああ、ソマリとヴィエラ、それからタイセイの三人が、攫われた」

「攫われたって、誰に?」


 傍にいた会場の衛兵を遣わして、ミランダを呼び寄せた。

 そしてベリーから持ち掛けられた悪趣味なゲームを、手短に説明する。


「落ち着いて聞いてくれ、実はソマリやヴィエラ、タイセイの三人がベリーに拉致されたみたいなんだ」

「ベリーって、ヴィランの隠し子のあの子?」


 先の未来が視とおせるミランダは、冷静に彼女の素性を問い質した。裾の長いスパンコール仕立ての黒いドレスに身を纏った彼女は、艶めかしい色香をごく自然に醸し出してて、会場の野郎連中から秋波を送られている。


「ああ、彼女の正体は俺の前世の知人だったらしいんだ」

「ヴィランって、前世はどんな感じだったの?」

「うだつの上がらない極普通の学生やってたよ」


 今からだと想像出来ませんね。と彼女はやはり落ち着きを払っていた。


「と に か く! 私達のお姫様が危険な目に遭ってるのには変わりない!」


 そうするとシャムが一石投じるように合掌した手を振り下ろした。


「ベリーは今どこにいるの?」

「彼女は、これはゲームだ、パーティーを盛り上げるためのちょっとした余興と言い張って、姿を消した」

「……ヴィラン、もしかして平和ボケでも起こした?」


 一概に否定しないが、それは俺ばかりに言えたことじゃないだろ。

 などと反論して、シャムと言い争う時間も今はない。


「今夜〇時までに、ソマリ達の居場所を見つけられなければ、大変なことになるらしい」

「〇時って、後三時間しかないじゃない」

「そういうことだ、だから内密に、手分けして探そう」


 事は一刻を争う一大事。

 ベリーが何を思ってこのような謀略を仕掛けたのか定かじゃない。


「ねぇ、ヴィラン様よ」

「あら、本当、いつ見てもこの国の代表とは思えない」

「何か急いでるみたいだね……あ、こっち来た」


 会場内はミランダが徹底的に探してくれるらしく。

 シャムはグレッグを駆って、都市近郊を見回って来ると言っていた。


 残された俺は会場の外、近辺を注視して探す。

 つまりはこの国が大々的に行っている祭りの中を探しているんだ。


「なあ、娘を見なかったか?」

「え、えっと」

「ソマリ様が迷子にでもなられたんですか?」

「それは大変ですね、私達も探すの手伝いましょうか?」


 祭りで盛況な大通りの一角に、オレンジ色の灯りの下で酒盛りをしていた三人の女性に声を掛けた。彼女達は良心的な国民として、俺の娘を一緒に探すと打診してくれる。


 すると、そこに思いがけない連中がやって来た。


「隊長! 奥さんがいるのにナンパですか?」

「でしたら、マミーへの横恋慕も許してくれますよね?」

「こ、こんばんは」


「誰かと思ったら、お前らか」


 テリー、ロバート、ルディの三人は俺が初めて墜とした竜の肉をレギと一緒に食って、鳥獣に成り代わった三馬鹿トリオ。こいつらは特にシャムにアプローチしていた何かと疎ましい奴らだ。


「一応までに聞くけど、俺の娘見なかったか?」

「隊長の娘さんですか? さあ?」

「まさか俺達のマミーがあのような玉の子を授かるとは思ってもおらず」

「マミーの娘さん、か、可愛いよね」


 ならば、ここはこいつらにも手伝って貰う。

 俺は集った六人に事情を簡潔に説明して、街中を捜索してもらうよう指示した。


「ちなみに隊長」

「どうした? 時間がないから早く行ってくれ」

「娘さんを探し当てた暁には、金一封期待してますからね?」

「……ああ、頼んだ」


 と言っても、この国ハピスの経済もエルドラード帝国ほどの裕福さはない。

 俺が自由にしていい金など、娘やシャム達に贈ってやる品代ぐらいなものだ。


 ベリーが用意したこの悪趣味なゲームが終わったら。

 金一封の代金は、ベリーに要求するとしよう。


 ◇


「櫻井さん」

「何ですか、蓬田くん」

「……俺と、付き合って下さい」


 前世の時、俺は片田舎の学生生活に華を添えようと彼女に告白した。彼女は俺が差し出した時代錯誤のラブレターを受け取り、翌日まで返事を保留にして。


 翌日、登校すると俺が送ったラブレターが黒板に貼りつけられ、公開されていたんだ。


 あの時の光景がショックで、無気力になった俺は下を俯いた。


「なぁ蓬田、ラブレターって今時それはないべ」

「……」

「……気を付けろ、俺も今知ったけどさ、ビデンスって陰険だよな」


 クラスの男子が、彼女が起こした嫌がらせに対し警鐘を促して。

 けど、人生初めての失恋のショックから、何も出来なかった。


「蓬田くん、気持ちは嬉しいけど、今は誰とも付き合う気にはなれないから」


 櫻井ビデンス、帰国子女でハーフの彼女は日本人離れした紺碧色の瞳を細め、俺の前にやって来て分かりきっていた返事を口にした。


 何で彼女がこんなことをしたのか今でも判らないし。

 何で彼女がその後、贖罪するように俺と付き合いたいと申し出たのか。

 今でも、判らない。



こんにちは、サカイヌツク・破・ドッセイ! です~。


最近睡眠過多で困ってるんですが、起きるのにも一苦労しております。


昨日だって寝て、起きる時に――


夢「そろそろ起きないと」

私「せやな、じゃあ、いっちょ世界を救って来ますわ」

夢「いいから起きないと」


 ――破・ドッセイ!


私「あかん、起きられへん」

夢「頑張って」


 なんて具合に、毎回苦労しています。

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