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急逝


 ――ッ……!


「ヴィラン、何をしているのですか」

「レオナルドに今死なれたら困るのは俺だ」

「あら、どうして?」


 レオナルドに向けられた復讐の刃は、俺が手の甲で弾き返した。

 奴隷の一人が振りかぶった剣は地面に深く突き刺さる。


「俺は今、保安部の連中から二人を殺害した容疑者として有力視されているんだ……このままレオナルドまで死なせたら俺は生涯拷問に遭う羽目になる」


「貴方なら大丈夫よヴィラン、貴方の力なら脱獄だって簡単でしょ?」


「君は自由に憧れると言ったが、俺だってそうだよ」


 俺だとて、自由気ままに暮らしたかったさ。

 出来れば蓬田塔矢として、現代の地球でぬくぬくと温床に浸かって。


「……なら、私と一緒に逃げない? レオナルドを殺って二人で自由に」

「シェリーと一晩明かした時、約束したと思うけど」

「えぇ、ですからヴィラン、貴方も一緒に」


「止めてくれないか、何も分かってないのに、分かってる振りするのは」


 彼女の誘いに終始難色を示すと、彼女はリチャード達の奴隷にこう言った。


「貴方たちは先にお行きなさい」

「けど」

「無駄なのよ、貴方のような脆弱者がヴィランを相手にするのは……そうよね?」


「だと、思う。少なくともレオナルドは俺が死守する」


 身を挺してレオナルドを庇っていると、奴隷の一人がシャムに狙いを付け。


「止しなさい!」

「大丈夫だろ、いくら何でもこの間合いを一瞬で」

「一瞬で? 三十メートルぐらいなら一瞬で間合いを詰められる」


 と言い、シャムを人質に取ろうとした男の腹部を拳で射抜くと。

 男は小さく「悪魔かよ」と呻き、その場で悶絶している。


 かつて、闘技場で雌雄を交わしたシェリーも同じことを言っていた。


 彼女は理解しているんだ、もう計画を完遂することは叶わないと。


 すると彼女は衣服を脱ぎ始めた。


「何をしておるのだシェリー」

「レオナルド様、そしてヴィラン様のお二人にお願いが御座います」

「今さら何をするつもりだ」


「……私は、もうどんな目に遭おうが構いません。ですが」


 ですが、私の計画に巻き込んでしまった他の奴隷。


「彼らだけでも、解放してやってください」


「……と、彼女もこう言っていますし、レオナルド様の寛容な処置を私も期待しております」

「ヴィラン殿、貴方はこの愚女に随分と惚れ込んだようですね……では」


 レオナルドは迎賓室のガラス棚からまた葡萄酒を取り出した。


 葡萄酒を手に取ったレオナルドの様子に、シェリーは目を見張り。


「――いけません! レオナルド様を止めるのですヴィラン!」

「もう、遅い!!」


 止める間もなく、レオナルドは葡萄酒を口に含んだ。

 すかさず酒瓶を手で払ったが、彼は卒倒してしまう。


「何だ、彼は何を飲んだんだシェリー」

「……レオナルドが今飲んだのは、猛毒です。私に命令して仕込ませた……」


 な……遅かれ早かれこうなるだろうと思っていたけど。

 まさかこの絶妙なタイミングで、謀られるようやられるとは思ってなかった。


「しっかりしろ!」

「……心配なさるなヴィラン殿、貴方の、むじつは、私のつくえのなかにある」


 かすれ声でレオナルドがそう言うと、シェリーが机の引き出しを開ける。


「これのことで御座いますかレオナルド様」

「そう、だ……それを保安部の連中にみせる――ッゲァ!」


 保安部の連中に封蝋がされた手紙を見せろといい、彼は酷く喀血する。

 そして、そのまま、彼の顔色は白くなり。


 レオナルドはあの世へと旅立ったようだ。



とらーいあげいん、とらーいあげいん!!


失礼、私の闘争心に似た挑戦心のような真心が、口から洩れました。

上記にあるように、私の心は吼えたてているようです。


挑戦しろ、ほらもう一回!

挑戦しろ、ほらもう一度!


なろうをあ・い・せ・る・さぁ~~~!!

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