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義父との果し合い


 グリモア軍の中でも、大将に相当するメフィストの外見は圧巻だった。彼は身長一九〇ほどもある長躯から端整な顔立ちでこちらを睥睨している。顎は丈夫なようで、ワニ目のようにしっかりとしていた。


「所で君の名は何と?」

「駄目よ! あの人に名前を教えちゃ駄目」


 もしかしたら、義父になっていたであろう人と、名前を明かすことも適わない。

 今がどれだけヤバイ状況か、この事実は物語っているようだ。


「では、後は頼む。我らはこのままファウストを移送し、封印する」

「……Vか」


 そして、Vは黒鷲を率いてファウストを何処へと持ち去った。


「……もしかして我々はVに一杯食わされたのでは?」


 とディゴが唱えた時、俺達の周囲をグリモア軍が取り囲んでいた。


「俺はメフィストを獲る。他の連中は頼んだ」

「婿殿、そしてシャム、いいやシャムに聞こう」


 メフィストと対峙するよう視線を交錯させると、シャムに何事か聞き始めた。


「何よ」

「いつ、私がお前の父親だと知った?」

「貴方には関係ない」

「……なればもう話すことは何もない」


 そこでメフィストも臨戦態勢に入ったので、シャムを離した。


 その瞬間、――ッ! メフィストはどこからともなく取り出した大鎌を払って、先ずは俺の首筋に凶刃を立てる。俺はモルドレッドから授かった剣状の光でそれを受け止めていた。


「シャム! 他のみんなも死ぬなよ!」

「合格だ婿殿、今の不意打ちで大抵は死ぬ」

「――っ」


 俺の剣とつばぜり合いしていた大鎌を払うと、メフィストは距離を取り緩ませていた表情を無に転換する。


「君の経歴を聞きたい」

「……俺は女神である主の奴隷として、長いこと剣闘士をやっていました」

「私の娘とはどこで知り合ったのかな」

「彼女とは闘技場のオーナーから紹介されるような形で出逢いました」


 ――ッ! メフィストは次には大鎌を下から上に払い、身体を分断するような攻撃を仕掛ける。

 それも受け止めると、彼は表情を綻ばせるんだ。


「婿殿、できれば孫の顔を早く拝みたいのだが」

「さっきから煩わしいやり取りしないでくれないか」


 メフィストとの小手調べは、無性に気が散る。

 相手がシャムの実父であればなおさらだ。


 けど、俺は彼と死闘を繰り広げていることに変わりなくて。

 戦争に終止符を打つために、彼の死は必然的だった。


 視界の端や、耳朶に他のみんなが戦闘を繰り広げている情景が入る。


「……どうせ私と君、二人の内どちらかはこの場で死ぬ。でもだね、私の娘はあの子しかいないのだよ。ならば戦闘の最中であろうと、知っておきたいではないか」


 メフィストの表情はのっぺらぼうのように幽玄としている。


 その彼から見下ろされる形で吐息を吹きかけられると、背筋に悪寒が走るのだ。


「改めて自己紹介しよう、私はファウスト閣下により異世界ギオスに最初に召喚された悪魔! 名をメフィスト! 犠牲の悪魔と蔑まれているがそれもまた真実なり! で? 今度は婿殿の番だ」


 執拗に彼は俺の名を探ろうとする。

 まがいなりにも、俺と彼は義理の親子であるし。


「俺の名前を知ってどうすると言うので?」

「我が胸に刻む、さすれば地獄の淵で娘夫婦を想おう」

「……俺の名はヴィラン、この名は女神である主から授かりし、大切な名です」

「ヴィラン、どことなく我々と同じ臭いがする、いぃ名だ」


 俺の名を讃えた次には、彼は俺を強襲する。

 それも今度は――ッ!!


 メフィストの打ち込みを受けた剣の刃から、異質な音が轟いた。

 まるでガス漏れのようなスパーク音が、合わさった刃から木霊する。


「婿殿が所持している剣の正体は何かねッ!」

「貴方は聞いてばかりだな」


 もしかしたら彼の大鎌には特殊な魔法が掛けられていたかも知れないが。

 聖剣で受け止めている分には問題なさそうだ。


 それから彼の怒濤の打ち込みに、俺は後の先を取り、激しい剣戟を繰り広げた。

 右に左に上に下からと、メフィストは器用に大鎌を繰りだす。


「諸君の目的は我々の足止めと言った所か!」

「答えるはずもない」

「その返答は失望に値するぞ婿殿、聞かれたら素直に答えんとなぁ」


 と、その時だった――


「俺を甘く見るんじゃねえんだよッ!!」


 メフィストの奇襲から復帰していたラシェットが、敵の一人を討ち取る。


 するとメフィストは討ち取られた配下におもむろに近づいた。


「可哀想に、これでお前の魂は永遠に行き場を失ったな」

「何してんだよおっさん」

「君に何かを教えるほどの義理立ては私にはないのだよ、ラシェット」

「あっそうか――よッッ!!」


 無防備な彼の頭に、ラシェットは得物であるハンマーアックスを一閃するよう振り下ろした。


 メフィストは大鎌で難なく受け止めるのだが。


「ハッッァ! そのまま黒焦げコースだぜメフィストッ!!」


 ラシェットのハンマーアックスから突如として火炎流が爆裂し、メフィストを呑み込んでいた。

 紅蓮の火炎の向こう側に、メフィストの黒い影が浮き立つと。


 ――ラシェットくん、君はまったくもって。


「馬鹿だな」

「ッ!?」


 メフィストに放たれていた火炎流は反射され、ラシェットに襲いかかった。


「見れば他にも斃された同士がいるな、可哀想に」

「ラシェット! 平気か!」


 メフィストはまるで死体を回収するように斃された仲間の許に寄る。


 そしたら、メフィストから感じる圧力が増長されている気がした。


「お待たせして申し訳ない婿殿」

「メフィスト、貴方を今ここで屠る」

「君にそれがやれるのならな」

「やれる、俺であれば…………」


 ッ――――――ッッ!!


 お互いに間を計り、ほぼ同時に打ち込んだ。

 俺の刃は彼の左肩に入れば、彼の大釜は俺の左腹部に決まる。


 手に返って来た感触は、とても重かった。

 鉄塊に鉛を打ち付けるように、鈍い感触がする。


「これは驚きだ、ダーインスレイヴの刃を受けても、無傷とは」


 互いの体に刃を打ち立てた後は、弾かれるように構えに戻る。


 どうやら、義父との勝負は存外、長引きそうだった。


タイトル:GWが終わっちゃう


GWぅー!(テテテーテテーテテテーテテー♪)

お前は終わってしまうのかー、何故に終わるというのかー。

GWぅー!(テテテーテテーテテテーテテー♪)

今年のGWぅは詰まらなかったー、テレビでもGWぅは取り上げられてないー。

GWぅー!(テテテーテテーテテテーテテー♪)


皆さん、自粛は大変でしょうが。

何とか乗り越えましょう。

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