祝福の日差し
その後も俺達は修行を続けていた。
何と言ったって今回の敵は色々な因縁に分かたれている。
シャムの国を亡き者にした仇であったり。
ミランダの未来視を上回る先見を持った化け物だったり。
さらには神すらも、相手取って戦わなきゃならない。
俺の母を救い出すための作戦だったはずだけど、大掛かり過ぎるな。
だが――
何としてでも勝利する必要がある。
俺はもう誰も失いたくない。
「時は来ました、ヴィラン。迎えに来ましたよ」
「ミランダか」
主観時間上でだけど、彼女と再会したのはおよそ半年ぶりだった。
半年ぶりに目にしたミランダは、以前よりも自立心が表面化している。
「以前よりも体に自信が漲っている感じだな」
「ヴィランの方こそ、以前と雰囲気が変わりましたね」
お互いの変貌を口にしてから、俺達は目と目を合わせた。
修行場の空を彷彿とさせる藍色に澄んだ彼女の瞳はいくら覗こうとも、深淵が見えない。
「じゃあ行こうか、どうやってここから戻ればいいって?」
「戻る前に一つ、お願いがあるのです」
と言うが、荒廃した景観の中には彼女に贈れそうな花の一つすら見当たらない。
じゃあ思うんだ。お願いって何だろうか?
「私と手合わせをお願いいたします」
「君と?」
本気か? ミランダは人との争いごとを嫌う優しい娘だというのに。だが、彼女は両足を心持ち半身にして、両手を開き、こちらに手のひらを見せるよう構えた。
「……お願いします」
そしてミランダは『それ』に入った。
無我の境地と言えばいいのか、顔に影をつくり、瞼を半開きにしては。
怖気をもよおすほどの闘気を浴びせる。
「ミランダ、今の君の実力は知らないけど」
「悟ったのです」
ミランダは先を急ぐように俺の言葉を打ち消した。
「……何を?」
「ヴィランがここで私に負けるようであれば、貴方のお母さまを助けることは不可能だと」
――ですから、ここで未来を見極めたく思います。
「では、参ります」
「っ!?」
すると、彼女は初撃を打ったようだ。彼女が今までどんな修行をしていたのか知らないが、ミランダが放った攻撃の筋は目に映らない代物で、モルドレッドの手の打ちとよく似ている。
「凄いな、一体どんな修行を付けたんだ」
「闘いの最中で貴方がそう言っても、挑発にしかなりません」
「……俺は君には生涯手を上げたくないんだよ」
「それは何故?」
ミランダの問いに、口を噤むしかなかった。
それは気持ちを整理し切ってないからとかじゃなくて。
言いたくないんだ、俺が味わった苦く悲しい思いを。
「とにかく、今回、君やシャムは後方支援に徹して欲しい」
「おかしなこと言わないでくださいヴィラン」
そういう彼女の表情は笑っていた。
「貴方から大切にされる、その至福は生涯忘れません」
「俺達は友であると同時に、夫婦だからな」
そんな君を大切に出来なくて、何を守ればいい。
思いをそのまま口から吐き出せば、ミランダはやはり笑うのだ。
「でしたら、どうします?」
「たまには君との時間を楽しみたいな、何より今は戦争の前だし」
「そうしましょうか」
その後、俺達は久しぶりに夫婦の時間を過ごした。
荒野に降り注ぐ激しい日光に打たれながら、二人で哄笑を上げつつ。
視線を交わせ、唇を交わせる。
すると空に瞬く日輪がよりいっそう輝きを強くして。
俺とミランダの情交を、祝福しているようだった。
こんにちは、サカイヌツクです。
こんばんは、サカイヌツクです。
おはよう御座います、サカイヌツク奴どすえ!!
キェエエエエエエエエエエエエ!!(エンジェル伝説感)
のように、私は朝がピークです(爆)。




