Happiness ≠ ?
「大変だぜシャムー! ……って、何事だ?」
倒壊したアジトの前で、けが人を介護していると一人の盗賊が駆け付けた。
「この借りはきっちりと返して貰うからねヴィラン」
「君達が盗賊なのが悪いんだろ?」
「……それで、大変って何?」
「この間死んだリチャード三世っていただろ? その犯人として俺達が槍玉に上がってて、今保安部の奴らがこっちに向かってるようなんだ」
「「何」んだって?」
自白強要をやりだすリッツ領の狂犬と謳われる保安部が来るのか。
ここに居たらこのまま盗賊団と一緒に牢屋に入れられる、またか。
俺はその場で必死に策を練り、ある一つの方法を想起したが。
その方法には相互の承認が必要だ。
「唐突な申し出で悪いんだがシャム」
「何さ、な――……」
彼女の薄紅色の唇を強引に奪い、俺は。
「俺と、結婚しないか」
齢十五の少女との婚儀を、申し出るのだ。
◇
「部長! 半径一キロに及ぶ周辺地域を捜索しましたが、一人としておりませんでした」
「……確か、奴隷達の証言によれば、容疑者のヴィランも居るはずだったな?」
「あのクソ野郎の面は特に意識して探しましたが、っ見当たりませんでした!」
「引き続きヴィランを捜索するんだ。奴は奴隷だ、奴隷である以上滅多なことじゃ死なない」
「は!」
保安部がアジトに辿り着いた頃、俺はシャムを連れてクラックの屋敷へと赴いていた。
「はい、あら、ヴィラン様、よくぞ御無事で」
「シェリー、先ずは水を二杯くれないか。俺と彼女の分」
「そちらの女性は誰でしょうか?」
「ああ気にしないで、私は街角でヴィランに見初められた娼婦だから」
警戒心が強いのか、シャムはシェリーに素性を隠した。
俺達の目的はクラックと面会することだ。国王陛下から一つの財閥を任されているクラックはリチャード三世に次ぐ権力者だ。彼の口利きであらぬ誤解を解いてもらいたく、急いでやって来た。
ちなみに、他の盗賊達は土の中に埋めて来ている。
怪我人を抱えたあの大所帯を、保安部に見つからずやり過ごすなんて無理だから。だから俺は保安部が駆け付ける前に『洗礼の儀』を済ませ、手っ取り早く盗賊達をシャムの奴隷にした。
そしてクラックから強奪した金貨を使い、仮死状態に入れと命令したのだ。
「シェリー、クラック様はどちらにいらっしゃるんだ?」
「どちらに、ですか……それは貴方が一番知っておいでなのでは?」
どういう意味だ?
「それはどういうことだ?」
「白を切るのですね、なら敢えて言わせて貰いますが」
シェリーの口振りは物凄く凶兆めいているのに、不思議と顔色はいい。
少なくとも、俺は今日ほどこんな晴れ晴れとした表情の彼女を見た試しがなかった。
「ヴィラン様、貴方は遺産目当てでクラック様をその手に掛けた大罪人ですよね?」
「……何を言ってるんだシェリー」
彼女は気分が良さそうに、滔々と続きを話し始めた。
「何って、私は事実を言ってるまでに過ぎません。盗賊が私達を乗せた馬車を襲った際、私は見たのです。クラック様の喉を鋭利な刃物で切り裂き、盗賊達と一緒に立ち去った貴方の姿を」
「幻覚でも見せられたんじゃないの?」
シャムは彼女に幻覚魔法が掛けられたんじゃないかと、疑っている。
言及されると、シェリーはある一通の封蝋を取り出した。
「では、一体誰がこのようなものを用意したのでしょうか」
「それ何?」
「クラック様の遺言状です、日付は今より半年前の代物となっております。僭越ながら中を確かめさせて頂いた所、『財閥が所有する商店の相続の権利をヴィラン殿に付与する』と書かれております」
リチャードに次いで、クラックまでも俺宛の遺言状を?
それも半年前の日付で……ありえない。
ありえない現実に直面して、立ち眩みがして来た。
「……私も未だにヴィラン様が犯人である実感がありません」
「そう、だろ? 君との付き合いは長いし」
でも……でも。
どうしてか、脳裏ではシェリーの姿が色濃く映っていた。
リチャード邸宅で彼の頭蓋骨に向けて拳銃を撃ち。
この屋敷に向かうまでの馬車道の途中で、クラックの喉をナイフで――
「ねぇ、これからどうするの?」
「君は、悪いけどもう帰っていいよ」
シャムにこれからの予定を訊かれ、金貨を渡し、耳元に口を寄せた。
「レオナルドが支配人を勤める闘技場に向かってくれ――じゃあな」
「はいはい、またねダーリン」
そうして、俺とシェリーの二人はクラックの屋敷に残された。
シェリーは嘆息を吐くと、またいつもの暗い表情に戻る。
「宜しかったのですか? これが人生で最後のチャンスだったかも知れないのに」
「……チャンスって?」
「貴方はまだ童貞でしょ?」
ああ、そのことか。
「確かに俺は童貞だけど、今はそれ所じゃないだろ?」
「……何でしたら、私でもいいのですよ」
シェリーは三十路に入った成熟した身体を俺にちらつかせる。
幸福って何だろう。
少なくとも彼女の身体に見惚れていた今の俺は、決して幸せではない。
異世界ギオスにやって来て、努力したつもりだったけど。
勉強嫌いな俺に培われたのは戦争の道具としての能力だけで。
奴隷である以上、幸福には辿り着けなさそうだと、思えた。
だからこの事件が終わった暁には――俺は奴隷から成り上る。
それが、シェリーを抱いた時に交わした二人の約束だった。
title - Once more God.
I am a God.
But,called incompetence by the anyone.
But,I am a God.
I have to not said a Oh my got.
I am a God,I am a God,I am a….
以上が私の即興の英語力です。
果たしてこの英文が文法的に合ってるのか、誰も計り知れないでしょうネ申。