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幸せだった二年


「シノン、乱心したか」


 エスパダは多数の戦狼を率いるような態度に打って変わった彼女を問い詰める。


「ひゃっひゃっひゃ、私は乱心などしてないよエスパダ」

「……一体、何をするつもりかは知らないが」


 今の言葉はほんの嘘だが。


 年を召し、すっかり体毛を白くさせたシノンは先ず俺をけん制した。


「動くではないヴィラン、今ここで動けばお前の仲間の命はないぞ?」

「卑怯だな、伊達に年を取ってないようだ」

「……貴様の目的は何だシノン」


 エスパダがシノンに目的を尋ねると同時に、俺は――ッ!


「っ!?」


 俺はエスパダを後ろから奇襲し、手短に打ちのめした。


「……ひゃっひゃっひゃ、クーデターを起こされて乱心したのはどうやらお前たちの方だったようじゃな」

「違うさシノン、俺達は知ってるんだよ」


 と言うと、シノンは神経を張り詰めらせたかのように口を噤む。


「知ってる、とは?」

「お前やエスパダを筆頭とする、この国の連中の真の狙いを」


 だから、無駄だったんだよ。


 そう言いつつ、俺は玉座の間の壁に打ち付けられ気絶したエスパダを指さす。


「今回のクーデターは、シノンを首謀者に見立てただけの扇動だったんだろ? 計画を持ち上げたのはどっちかは知らないが、全てはお前とあそこで気絶しているエスパダによる犯行だ」


「世迷言を、我らはこの国を革命するという尊い志がある」


 するとシノンはエスパダに矛先を向けて。


「国を腐敗させ、あまつさえは余所者に玉座を明け渡したあんな奴と一緒にするなッ!!」


「そんなこと言うなよシノン……エスパダはお前の息子じゃないか」

「だからこそ許せぬものもあるのだ、お前も子供を持てばわかる」

「ご忠告痛み入る、ちなみに言っておくが、俺の仲間は一時の間姿を隠した」


 部隊の仲間であればヘルメスやキングに預けてある。


 それでも命を落とすようなヘタレは逆に要らないということだ。


「そしたら、残った問題はクーデターを起こそうとしているお前達だが。これにもある程度対策を打ってあるからな、――今回のクーデターは確実に失敗に終わるぞ?」


「何故だ、何故クーデターのことをお前は知っていたのだ」


 それはミランダによる未来視で見越していたからだ。


 昨晩、女神の奴隷となったミランダが見た未来はクーデターを起こされ、仲間を失った俺の姿だった。


 ミランダは憔悴しきった俺の姿を見て、涙を流しながら訴えたんだ。


 ――このような惨劇を二度と繰り返す訳にはいきません、と。


「……もしや、そこにいる娘の力か」

「はい、申し遅れましたシノン様」


 シノンが勘づくと、ミランダは高揚気味に頭を垂れた。


 その所作は恩師であるマスカルによって洗礼され、淀みがない。


「私の名はミランダと言い、今日は貴方達の未来を選別しに伺いました」

「彼女には未来がみえる、無駄な抵抗は止せシノン」


 その時、一人の戦狼がミランダを奇襲した。


「無駄です」


 ミランダは向けられた牙を避けると、仕掛けて来た戦狼に肘鉄を落とし卒倒させる。


「うわー、女神の奴隷になるだけで本当に化けるわね」


 今や、ミランダは俺に引けを取らない戦力となっていた。

 ミランダの強さを目視したシャムは驚きのあまり若干引いていた。


「無駄だよ」

「ヴィランの言う通りです」


 俺達に抗う無意味さを説かれると、シノンは後方で倒れていたエスパダを見やる。


「……お主たちはこのまま我らを処刑するか?」


 言われ、俺は玉座へと引き返し、鷹揚に腰を下ろす。

 玉座に肩肘ついて、左足を右足に掛けて、如何にも悪役風情を気取る。


「さて、どうしたものか。お前らの処遇は今から取る態度次第だな」

「ひゃっひゃっひゃ、この外道!! 貴様の命を取れなかったことがこの先何よりの悔いになりそうじゃ」


 外道と罵られ、俺の前に跪いた反抗勢力を目にして。

 俺はただ不敵な笑みをたたえつつ、『ある自覚』を持つにいたった。


 この事件を境に、俺は本当の意味でこの国の王にのし上がる。

 ミランダは百万にものぼる国民の未来を見通し、それぞれの役割を言い付けた。


 ◇


 あれから二年という月日を掛けて国は目覚ましい発展を見せる。

 この頃には隣国の蟲詠み達との和睦も可決されていた――


「では、この日を以て我らと貴国の間に和平協定が結ばれた。今後とも仲良くしようヴィラン」

「そうだなドロシー、この後暇だったら一杯やらないか?」

「……嬉しい申し出だが、遠慮する」

「そうか、じゃあまた今度飲もう」


 蟲詠み達と和睦を結ぶにいたった立役者はドロシー、全ては彼女の働きのおかげだ。

 彼女がいなければ俺達は延々と不毛な小競り合いを続けていたと思う。


「国境まで送るよ」

「いいのか? 近頃のお前は滅法気が柔らかくなったな」

「そうなのか? 生憎俺にはそんな自覚はない」


 だからなのかな、以前の俺はどうだった?

 不躾にそう訊くと、ドロシーは嘲弄めいた表情で答える。


「以前のお前は殺伐とし過ぎていた、まるで死神のようにな」

「……お前にとってそれは、褒め言葉なのだろうけど」


 けど、俺の私感としては、傲りや慢心の象徴のように見えていた。

 ドロシーを国境まで見送り、自国の城下町に帰る。


「ヴィラン、どこへ行っていたのですか?」

「ドロシーを国境付近まで送ったんだよ」


 国の門戸とも言える城壁付近の街角ではミランダが待っていた。

 ミランダの奥手にはシャムやレギもいる。


「……何か遭ったのか?」

「えぇ、詳しい話しは王城でしましょう」


 ミランダから王城へ移動するよう促されると、シャムが肩をすくめていた。


「ヴィランと付き合ってると退屈しなくていいけど、目が回りそうよ」

「確かにみんなにとって近年は目まぐるしかったかもな」

「ヴィランにとっては違うとでも?」


 と、問われ、俺は空を見上げた。

 空には、眩い日輪が七色の光芒を浮かべている。


 まるで我が主を彷彿とするような蒼穹に、俺も微笑んでは。

 

「……俺にとっては、幸せだったよ」


 過ぎ去った二年間の幸福を、静かに認めていた。



 最近、炭酸ジュースの原点に返ってコカ・コーラばかり嗜んでいるのですが。

 コカ・コーラの炭酸は強烈ですねぇ~、げぁっぷ。


 皆様がもしも命の危機に瀕した際、ゲップで救われるのなら先ずコカ・コーラを飲んでください!!


 以上!! 意味無し! 意味無――――し!!

 意味のない駄文失礼しました。

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