表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/97

発足された友達百人計画


 目が冴え、キングにくり貫かれた腹部に手をやった。

 乾いた血が付着していたものの、傷自体は治癒しているようだ。


「起きたかい?」

「……ヘルメスさんですか?」

「そうだよ、僕だよ。今キングを治療中だからちょっと待っててくれないか」

「えぇ」


 辺りを窺うと、ヘルメスを中心に光源が生まれているようだった。

 その光はぼんやりとしていて、なおかつヘルメスの容貌を見て確信した。


「やっぱり、貴方が妖精王だったんだな」

「ん? そう呼ばれていたこともあったような気がするけど」


 ――違うよ。


「違う?」


 網膜に映る色白のヘルメスの耳は、尖っているのだがな。

 それでも彼女は神の一柱だ、単なるエルフとは言えない。


 ミランダが口にしたように、ヘルメスの顔貌は静謐だった。

 優しい目つきで、攻撃性がない体付きは黒いケープに包まれている。


 彼女がかざす手の先には、毛深い銀色の人狼が寝込んでいる。

 あれがキングなのか。


「教えてください、色々と」

「何でも聞いてくれ、答えられないことも多々あると思うけど」

「俺は、妖精王に謁見するためにここにはやって来たのです」


 だから、妖精王は何処に?


「妖精王は僕達の真上にいるよ」


 真上?


「……もしかして、これが妖精王なのですか?」

「そうだよ、よく誤解されているようだけど、妖精王の正体はそれさ」


 俺や、ヘルメスから治療を受けているキングの真上には巨大は鉱石があった。

 ヘルメスから発せられている光によって照らされたそれは、虹色に輝いている。


 美しい……つい賛辞を呟いてしまうほど、巨大な覇石だ。

 ヘルメス曰く、これこそが妖精王だと言う。


「まぁ、妖精王を生成したのは僕なんだけどさ。とすると僕は妖精神なんだろうね……君の名前はヴィランと言ったね。妖精王に何の用があったのかな?」


「色々とあった気がします、そう例えば俺が連れている竜達が妖精王を寄越せと騒がしくしてたり、俺の仲間が妖精王から覇石の加工法を教えて貰い、強くなりたがっていたりと」


 なのに、妖精王の正体は覇石そのものだった。

 妖精王(こいつ)からどうやって加工法を習えと言うんだ。


「なるほどねー、キングの治療も終わったし、早速ここから脱出しよう」

「ヘルメス、お前とキングの二人は私が地上に転送してやる」


 すると主が現れて、颯爽とヘルメス達を地上に向かわせた。


 きっと今頃、地上で待機していた俺の仲間から歓迎されていることだろう。

 連中は気さくで、警戒心が足りてない馬鹿ばっかだから。


「ヴィラン、妖精王の処遇はお前に任せるが」

「任せるが、何です?」


 ああ、主がまた酷く悪辣な笑みを浮かべている。


 所から察するに、また俺に災難が降りかかるんだな。


「妖精王を竜達に持ち帰ろうとしても、蟲詠み達が止めると思うぞ」

「それはそうでしょう、蟲詠みにとってもこいつは貴重な戦力でしょうから」


 そう思うと、蟲詠み達の目的って何なのだろうか?

 今回の俺は連中の策謀にまんまと引っ掛けられたようだからな。


「ヴィラン、早くシャムの許に戻ってやれ。そろそろ蟲詠み達が痺れを切らすだろうしな」

「痺れ? 待ってください主」


 と言っても主はもう姿を消していた。

 俺は一切の光もない地獄の淵から、何とか脱出を図る。


 すると――ヴィラーン!!

 地獄の上からシャムが蜘蛛の糸を垂らすように俺の名を呼んでいた。


 声のする方へ赴くと、光が射して、地獄から生還できた。


「ほら言ったじゃない、ヴィランは地獄の鬼すら斃す男だって」

「そうですよ、隊長は戦闘に関しては鬼神的なんです」


 これはどういう状況だ?

 地獄の淵から入り口に戻ってくると、仲間が蟲詠みに追い詰められている。


「これはどういうことだ?」

「ヴィラン、残念だが今し方大婆様よりお告げが下った」


 魔女の出で立ちをしたドロシーは矢面に立ち、俺にお告げとやらを言い渡す。


「大婆様はお前達を危険視したようだ、大人しく投降しろ」

「さもなくばお前の嫁の命はない!!」


 と、サソリ男のトミーはミランダを人質にしている。


「……ドロシー、俺達は友好的な関係だったはずだろ?」

「だったな、過去形だ」

「大婆様に言っておいてくれないか」

「ヴィラン、お前だって時には仕方ないと思うことぐらいあるだろ?」

「そんなのは最早どうでもいいから、俺達をここから解放しろ」


 ――さもなくば、蟲詠みは全滅させるぞ?


 俺の好戦的な挑発に対し、蟲詠み達はどよめきを上げる。

 群れをなしている蟲詠みの先頭に立っていたドロシーは身震いしているし。


「虫けら風情が一丁前に怒るな」

「妹エッザの言う通り、虫けらは素直に地べたに這いつくばっていろ」


 エッザとディゴは俺の挑発に乗っかる。

 二人は分かり易い性格をしているな。


「貴さ――!」


 サソリ男のトミーが捕えていたミランダに向けて毒針を刺そうとした瞬間。

 そこから俺達と蟲詠み達の抗争は勃発したのだ。


 この場合、誰が悪いのかと言えば当然トミーだろう。

 奴は戦犯だ、俺達と蟲詠み達を敵対関係においやった大戦犯だ。


「みんな! 逃げるわよ早く準備して!」


 蟲詠みの大軍を退け、一足先に地上に向かったシャムは仲間達に逃げるよう指示する。


「騒々しいね、何があったんだい?」

「あんた誰よ! いいから竜の背中で待機してて!」


 こうして俺達は新たな敵勢力をつくってしまったようだ。

 今回の件を踏まえ、次回からは仲間をつくるよう動こうと思うのだった。


 どうしたら、俺達は仲良くなれるのだろうか。

 それは人間の生涯における一種の命題のような気さえも、するな。



皆さま、こんにちは。


この節で『妖精王編』は終わりとなります。


次章の話になるのですが、まだ終盤まで書ききっておらず。


また、今回は他作品とのクロスオーバーを画策しているため。


今度はクロスオーバー作品の更新、もしくは本作の次章の更新を予定しております。


そして、前作に続きまたなのですが。


更新日の猶予を今しばらく頂ければと思います<m(__)m>


次回の更新は3月1日を予定しております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ