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新天地への旅立ち


 新世界への旅立ちの幸先は、まぁまぁかな。


「どこが?」


 新しい仲間が数人増えたし、まぁまぁだろう。


「ミランダと、リザードマンのディゴとエッザと、グプタ」


 シャムは新しい面子の名前を(そら)んじると、渋い顔をしている。


「数人じゃあねぇ……」

「しかしシャム、これ以上いたら旅は出来ないぞ」

「そんなことでどうするのよー、ヴィランは世界一の大君になるんでしょ?」


 ……誰も世界一という称号は付けてなかったけど。

 おおむね間違ってないような気もする。


 カリン王国から出立し、アスター川の上流を目指し早くも二日が経った。

 竜の山脈から旅立った直後は一面砂漠世界だったのが。


 次に直面した新世界の景色は密林の世界だった。


 レギの報告によると、この辺には人間以外の種族――モンスターが潜んでいるらしい。

 竜はご自慢の鼻でモンスターの気配を掴んでいた。


「隊長、野営できそうな場所がありました」

「じゃあそこに降りるか、降りた後は各自で周囲の哨戒(しょうかい)な」


 俺の指示と共に竜達は密林の開けた場所に降りた。

 周囲を哨戒していた仲間からは時折。


 ――うおお!!

 ――誰かヴィラン隊長を呼んで来い!!

 ――必要ない、ここは私の奥義で。


 時折、モンスターの発見の報告が悲鳴と共に上がっていた。


 この部隊の中でも特に最強の誉れがある俺を呼ぶのはいいが。

 俺だって、モンスターと対峙するのはいささか緊張する。


 新天地を目指している俺達の旅路は前途多難のようそうを呈している。


 思えば先発隊として旅立ったアビーはこのことを予見していたのかな。


 ◇


「シャムはもうモンスターの一匹ぐらい見たか?」

「私? 発見したわよ、偉く凶悪なモンスターを一人」

「俺のことじゃないよな?」

「残念ながら正解」


 密林が禿げた場所にて、俺達の部隊は焚火を起こして野営をしている。

 シャムと備蓄として用意されていた酒を飲み、先々の相談をしていた。


「隊長、どうやらミランダさんがホームシックになっているみたいです」


 レギの報告によるとミランダが寂しい思いをしているみたいだ。


「シャム、ミランダと仲良くしてやってくれないか」

「いいわよ、えぇ、いいわよ? その代りわかってるでしょうね」

「何が?」

「ヴィランがもしも成功した暁には、率先して私に良い思いさせてね」


 分かっている、彼女のその言葉は別に性的な意味じゃないことぐらい。


 けど、脳裏ではシャムの眩い肢体を想起してしまう。


「隊長、これから僕達はどこを目指して旅すればいいと思いますか?」

「レギは今でもクラスを持ちたいと考えてるか?」

「もちろんですよ、クラスを持てれば少しでも役に立つようになれそうなので」


「……実は、王国から立ち去る際に月読から聞かされたんだ」

「一体何をです?」


 兄、フリッグの最期を看取った月読は無表情のまま涙を垂らし、俺にお礼を連ねた。彼も彼で兄フリッグが言っていたように、兄弟の確執とは違った不思議な絆を感じていたらしい――


「ヴィラン……立ち去る前にいいか」

「何でしょうか」


 月読の背後にはムジカを討ち取った二人のリザードマンが佇んでいる。


「お前の部隊にディゴとエッザの両名を預ける」

「宜しくお願い致します」

 と、ディゴは畏まった様子で部隊への参画を申し込むのだが。


「……」

 妹のエッザは今にでも嘆息を吐きかねないほど、嫌々だった。


「いいですよ、この際リザードマンが数人増えた所で何も変わりません」

「であれば頼む。この二人がお前達を導くであろう」

「どこに?」

「……それは――」


 この時、月読は告白したんだ。

 覇石の加工法は元々リザードマンが知っていた秘伝だったらしく。


 リザードマンはリザードマンで、他の存在からその秘伝を習ったようだ。


「リザードマンに秘伝を授けた存在とは?」


 虎の姿となったレギは焚火の灯りに打たれ、暗闇の中にボゥっと浮かんでいる。

 正直見る奴が見れば物凄く怖い光景だ。


「それは月読も知らないらしいし、ディゴとエッザも口伝で耳にしているだけのようだ。リザードマンに覇石の加工法を教えた存在の外見的特徴は――耳がとがっていることらしい」


「それは、謎めいてますね」

「…………ああ、そうだな」


 表面は寡黙を装い、内心ではレギの反応に驚いている。

 どうやら異世界ギオスではかの存在は徹底して秘匿されているようだ。


 ファンタジー世界で、耳が尖っている存在と言えば、エルフが上がらないのか?

 まだエルフだと確定した訳じゃないが、いやしかし。


 俺の頭ではどう考えても、エルフしか思い浮かばない。


 西暦2020年4月1日――

 そこでは魑魅魍魎が所かしこで宴を開き、血祭りしていた。


神「めんどくせーなー」

私「そう言うな神よ」

私「こうまで現世が腐敗するとは思わなかったが」

私「お前なら、あの地獄の使者を退けるのだろう?」

神「まぁねぇー」


 っていう夢を見たんだ。

 そう告げると裸エプロン姿だった神はスクランブルエッグを用意しつつ。


神「めんどくせぇーなー」


 何か、予兆めいた感じで、そう、言うの、だった……。


 続く。

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