表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/97

骨肉争い


 その後、リザードマンの国には一昼夜掛けて辿り着いた。

 ある弓兵が俺達に矢を放つと、アルゴが恣意的に炎のブレスで仕返ししていた。


 火炎のブレスでリザードマンの矢倉の一つが全焼してしまう。


 俺達はその中、彼らの街に降り立った。


「皆の者待て、我らは敵じゃない」

「皆早急に矛を収めるのだ」


 ディゴとエッザの二人が取り囲んだリザードマンに何事か説明している。


「帰ったのか、ディゴ、エッザ」

「父上!」


 群衆の中から、白い鱗のリザードマンが現れ、エッザは駆け寄っていた。

 ディゴも妹の後に続き、鷹揚にそのリザードマンの前に歩いて、膝を付く。


「父上、只今戻りました」

「過酷な任務をよくぞ果たした、これで我らは救われる」


 その光景を胸に収めた後、俺は周囲を見渡し、街の様子を窺った。


 街にはいくつもの人家と似た建造物が並んでいて、街並みの風景は王国とよく似ている。違いを上げるとすれば王国が白を神聖視していたように、この街では黒色の建造物が目立つことだ。


「ヴィラン殿、家の子供達が世話になった」

「失礼ですが貴方のお名前は?」

「バサゴと言う……そちらに居らせるのは、まさかマスカル様か」


「マスカルのことをご存じで?」


 白いリザードマンのバサゴは、マスカルを敬称している。

 マスカルは嘆息を吐いて、拙くだが。


「ただいま、父は今何を?」

「……貴方様が生きて戻られたことを報告して参ります、しばしお待ちを」

「いい、自分の足で報告しに行く。行くぞヴィラン」


 まるで狐に化かされたような気持ちでしかなくて。

 しかしマスカルは俺の懐疑心を否定するように迷いなく歩む。


 彼女にはここらの土地勘があるいい証拠だった。


「先生、先生のお父さんって」

「……キャシーは戦争に首を突っ込みたいのか?」

「それは」

「だろうな、お前は根っからのお嬢様だ。戦争などの汚濁には関わらない方がいい」


 キャシーの気持ちも理解出来る。

 普段から世話になっている人が、敵国の出身だった。


 驚き、というか疑問なのだろう。

 じゃあどうしてマスカルは今まで俺達の恩師をやっていたのか。


 マスカルはそのまま迷うことなく、リザードマンの宮殿に入って行った。

 宮殿で警護していたリザードマンは彼女の姿を見て、矛を引く。


「……マスカル、まさかとは思うが貴方の父親が月読なのか?」

「だからどうした」

「であれば貴方の態度が理解出来ない。普通なら」


「込み入った話しは後にしよう……父上は居られないのか!? 貴方の娘であるマスカルが生きて帰って来たのだぞ、顔を見せたらどうだ!」


 と言い、マスカルは宮殿の玉座の間らしき所に入っていく。


 俺達が居る入り口から向かって伸びる黒い絨毯は、次第に階段へとぶつかり、数段先には玉座がある。玉座に向かうまでの通路の両脇には十数ものリザードマンが侍られていた。


「帰ったのか、マスカル。報告を聞いて耳を疑ったぞ」

「……貴方はそこで何をしているのだ?」

「国の繁栄を願っている」


 マスカルは一心に、玉座に座る黒髭を蓄えた男を見ていた。


「国の繁栄? 貴方がしているのは内ゲバ擬きの虐殺だろ?」

「ようこそお越しくださった、旅の者、ヴィラン殿。家の娘が失礼したようで」


 俺は玉座に座る男に一礼をした。

 隣にいたシャムやラシェットも倣って礼をしている。


「申し遅れました、私の名はヴィランと言います」


 お噂はかねがねお聞きしております。

 俺がそう言うと、月読は顎鬚に手をやっていた。


「貴公が覇石の原石を持ち、あまつさえは竜族を率いてカリンに居ると聞いてな」

「月読様、貴方の望みをお聞きしても宜しいでしょうか」

「……と言うと?」

「私がその望みを叶えてみせていれます、その代り」


 その代り、俺達に覇石の加工法を教えて欲しい。

 俺が持っている覇石は実質三つだが、その内の一つはこの国に与え。

 見返りに二つの覇石を使って、誰よりも屈強な国をつくりたく思う。


「私どもに、覇石に伝わる秘伝をお教え願いたい」


 言うと、玉座の間に居たリザードマンがどよめいた。


「……覇石を持つことは、つまりは天下を統べることと同義だぞ。私や、敵国カリンの国王を差し置いて、其方は天下を統一しようと言うのか。であれば其方の考えを聞いておきたい」


 月読は俺にこの先の理念を尋ねる。

 天下を統べる者か、その立場はつまり、俺の理想に適っている。


 俺は奴隷から、成り上がって……。

 どう、したいんだ?


「父上、ヴィランは奴隷の地位を嫌っているだけなのです。であれば、こいつの本望は奴隷制度の廃止じゃないでしょうか。それよりも今すぐ無駄な戦争をお止めください」


 答えにためらっていれば、マスカルが中断するように割って入った。


「この戦争の発端は、カリンの独裁政治が起因している。戦争を止めたくば現国王のフリッグの首を差し出せ」


「まだその様な小さなことを仰られるのか、フリッグ様は貴方の唯一の兄ではないか」


 マスカルの説明調の説教により、今回の件の素性が見えて来たようだ。


 月読とフリッグは実の兄弟だった。


 ここからは推測だが、フリッグは兄として国王の座を世襲したが、弟の彼はそれに納得がいかなかった。彼は当時、奴隷のような扱いを受けていたリザードマン達を懐柔し、そして今に至る。


 蓋を開けて見れば案外単純な構造の、骨肉争いだったわけだ。



昔と今のギャップを垣間見る一時がありまして。


昔のゲームって凄いなあ、っていう感動を覚えました。


具体的に何が凄いかって言うと、モザイクが(略。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ