舞踏会前日
某日、その日はクラスの授業も休みだった。
俺は偶の休みにみんなの近況を聞いてみたんだ。
「ラシェット、ガーディアンにはなれそうなのか?」
「なれるんじゃないか? 講師のドルチェも俺の成長に腰を抜かしてるよ」
ラシェットはビックマウスが特徴的な男らしいな。
彼からは口々にガーディアンの教室での武勇伝を聞かされる。
「ミラは? 確かウィッチのクラスだったよな、順調か?」
「先生によると、私はもうクラスを付与されてもいいみたいよ?」
それは本当か?
猜疑心が人一倍強い俺であれば、信じられない。
他の連中も概ね順調だと言っていた。
こいつら、思いのほか優秀な人材だったんじゃないか?
「それもそうだろ、連中は総じて様々な災難の生き残りだ」
「例えば何でしょうか主」
「先ず、盗賊団の連中は国が亡びた時の生き残りで、その時点で強運を持ち合わせていた。レギや軍から連れて来た奴隷兵士達はモルドレッドとの死闘の中を潜り抜けた逸材だ」
そうだろ?
主の言葉を矯めつ眇めつするように吟味している。
猜疑心の強さも、困りの種だな。
「ヴィラーン……グレッグと遊んでやって」
「シャム、疲労困憊と言った感じだな」
「あらわかるー……でも、私強くなってる自信はあるのよ?」
グレッグはシャムに甘えるように顔を舐めている。
シャム、こうして見てると子育てに疲れた教育ママのようだぞ。
どこの世界でも子育ては大変なんだな。
「グレッグぅ、あんたこうして構われてるのはいいけど、成長したら私の手足のように動いてよね」
「シャムが目指してるのは竜と一体型の戦士か?」
「さぁ、グレッグには戦場に出て欲しくない気持ちもあるし、わからない」
ドラゴンナイトと言った二つ名は、凄く聞こえがいいけどな。
「隊長、シルヴィアが外出申請を申し出ています」
「……外出って、どこに?」
「宮殿内は窮屈なので、偶には外に行って羽を伸ばしたいらしいですよ」
文字通り、竜達はご自慢の両翼を伸ばしたいらしい。
レギには無責任なまでに、別にいいんじゃないか? と許可を出した。
「これが噂の竜か」
「……お早う」
「お早う御座います」
すると、ブロンドのキャシーがクラナとミランダを連れて俺の許を訪れる。
何の用だろうと思ったけど、遊びに来ただけだろ?
なら丁度いい、三人を竜の背に乗せ、ちょっと遠出しようか――
「キャー! 高い高い高い! 落ちたら死ぬよ二人とも!」
俺の強引な誘いを渋々引き受けたキャシー達は砂漠の空を飛ぶ竜の背で絶叫する。
「心配ない、そこら辺はこいつらが上手くカバーしてくれる」
それよりも、怖いからと言って金切り声あげないでくれ。
うるさくて適わない。
「……怖い」
「大丈夫よ、この子達は慣れてるから」
向こうにはシャムとクラナを背に乗せたシルヴィアが気持ちよさそうに回遊している。
ミランダであればレギが付き添っているから、一番安全だろう。
他の竜も大抵は人を乗せている。
人間を背に乗せることを拒む竜もいるから、そこは無理強い出来ない。
「みんな! これで空戦の準備は万全だよな!」
「先ず! 人間は空で戦わないわよー!!」
◇
その日以来、飛龍が空を群舞する光景に街の人々は魅了されたようだ。
ある子供が自分も乗ってみたいと申し出て来たのを機に。
王国では駄賃さえ払えば竜の背に乗って飛べる風潮が出来上がった。
まるで遊園地のアトラクションのような扱いだ。
何でも、最初に申し出た子供はキャシーの弟だったようだ。
そんな風潮が出来上がり、シャム達が強くなっていく一方で。
「よし! 仮面舞踏会前のリハーサルはこれぐらいにしておこう」
踊り子の生徒達による仮面舞踏会の前座のダンスが仕上がる。
生徒の一人がマスカルに百点満点中、何点ですかと尋ねていた。
「……いいか、控えめにいって、お前らは優秀だ。明日は自分を過小評価するのではなく、身体中に自信を漲らせて、自分らしさを思う存分発揮しろ。そうすれば会場の全員を魅了出来る」
だから憶すな、だから自信を持て。
「お前らは生涯語り継がれる、伝説の122期生だ! 気合い入れろ!」
と言うことで、仮面舞踏会をいよいよ明日に控えてしまった。
いささか緊張するが、俺の緊張はお門違いで。
明日、俺は仮面舞踏会の前座には出ない。
何故なら俺は国王陛下と一緒の席で、彼らの踊りを堪能する側だから。
言わば主賓待遇だよ。
そんな俺に対し生徒達は贔屓だと揶揄するが、忘れてないか?
俺の名はヴィラン、直訳すれば、悪党だ。
えーぶりしんぐみぃ、ふぉーまーふぁああああああwww
どうも、サカイヌツクファーwwwです。
誰かいい洋楽教えてくださいよー、お願いしやすよー。
誰か……って言っても、しょうがないよね。
だって、最早地球に生き残ってるのは僕だけ。
私、ポストディストピアの主役狙ってます(鼻ほじ。




