表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/97

クラス選択


 ムジカの助力もあり、王国は俺達を迎え入れた。


 が。


 国民達に俺達の存在は知らされていなかったようで。


 皆逃げ惑っていた、中には遠距離攻撃を仕掛けてくる輩までいたほどだ。


「すまんな、何せ性急な話だった故に、情報が伝わりきらなかったようだ」

「頼みますよ、ムジカ様」


 それで、俺達がここにやって来た目的は二つ、三つ。

 先ずはシャムやアビーやレギと言った主要メンバーに、クラスを付与すること。


 俺もクラスを付与した方がいいのだろうか?

 出来れば主に判断を仰ぎたい所だ。


 砂漠の外れにあった王国は、巨大な河川と共に発展していた。

 人々はその河川――アスター川――の畔に群生する動植物と共に生活している。


 竜を伴い俺が降り立ったのは王国が所持する宮殿の内部の庭だ。

 宮殿の壁は白く、高い天井も白い。

 何でもこの国では白は神聖なものとして重宝されているらしく。


 王国の建造物の大体が、白を基調とした建物だという。


「だからなヴィラン、そなたの黒い召し物は目立っただろ?」

「えぇ……そう言えば街中で騒ぎが起こってましたよ」


 見た所、あれは通り魔の類だったのだろうか。

 よく分からないが、何事もなくて良かったんじゃないか?


「ヴィラン! 早速クラスを貰える神殿に向かいましょう!」

「うむ、では参ろうか諸君。私についてきたまえ」

「さすがはムジカおじ様、そんじゅそこらの男とは訳が違う」


 えっと……何か知らないがシャムは他のメンバー全員連れてきたようだ。

 みんな口々にクラス持ちになれることを喜んでいる。


 クラスを付与するのは主要メンバーだけにしたかったのに。


 ――俺達もこれで活躍出来そうだな。

 ――ヴィラン隊長を超えるような存在になりたいよな。

 ――く、殺せ。


「……まぁいい、全員でクラスを頂くとしよう」


 約一名、姫騎士を志願する奴までいたようだが……まさかな。


 新世界に連れて来た連中総出で、俺達はクラスが貰える神殿へと赴いた。


「……んー! 神秘的で素敵ねおじ様」

「静かにしろ、ここは見て判る通り、神聖な場所だからな」


 おっと、失敬と言いシャムは口を閉ざした。


 王国からちょっと外れた所に神殿はあって。

 外観は地球の東南アジアなどにある遺跡物のようだ。


 石畳の道の両脇にはオベリスクのようなシンボルが林立している。


「さあ着いたぞ、皆すまんが一列に並んでくれるか」

「はーい」


 相当年季が入った石造りの建造物を前に、俺達はぞろぞろと列をなした。


 どうやら俺達以外にもクラスを貰いに来た人間は結構いるようで。


「ムジカ様、クラスの付与は一人につきどのくらい掛かりますか?」

「クラスの付与は一人につき、ギオス金貨八枚だな」


「ギオス金貨八枚だと? 高すぎる、マケロ」


「何を言いだすかと思えが、クラスの付与は我が国の一大財産だ。一枚足りとて値下げすることは出来ないし、それにギオス金貨八枚というのにはこの世界の八大神を象徴している深い道理があってだな」


 その時突然また主が現れた。

 主の出現に、シャムは難色を示している。


「ヴィラン、その人をここから遠ざけて」

「私に指図するな」


 シャムにあたる主を俺は茂みに連れ込んだ。

 触手プレイの趣味はないが、茂みで行為に及ぶのは私的にありだ。


「主、今回はどういったご用件ですか」

「ヴィラン、お前はこの世で何より大事なギオス金貨を何千枚失うつもりだ」


 クラスの付与とかいうペテン行為に大枚叩き過ぎだ。

 と、主はクラスの付与に否定的だった。


「しかし、これでシャム達も少しは使えるようになるのでしたら、決して」

「お前も本当は思ってるんだろ? 焼け石に水だと」

「……いえ、俺はそうは思いません」


 反論すると、主は不敵な笑みを浮かべる。


「ヴィラン、お前に付与されるクラスは私の方で候補を選んでおく」

「選んでおくって、クラスの付与は主の加護を賜るのと同義なのですか?」

「いいや、私じゃない。クラスの付与は他の神が考案したものだ」


「……その神のお名前は?」

「知った瞬間、引き返せなくなるぞ。止せ」


 主を始めとし、神々は名前を隠匿するのがお得意のご様子だ。


 その昔何か遭ったのだろうか?


 思案に耽っていると、主は姿を消し、代わりに現れたのはアビーだ。


「ヴィラン、麗しい女神との逢瀬は楽しいかな?」


 僕とも逢瀬しよう、そうしようと言い、アビーは股間を弄る。

 性懲りもなく淫蕩になるアビーの頭を俺は容赦なく叩いた。


「酷いなぁ」

「酷くない、盛るにしても時と場所を選べ」

「……ヴィラン、僕はクラスを貰ったら、旅立つね」


 旅立つ?


「俺に見切りをつけたのか?」

「違う、だけど今は何も言わず抱きとめて欲しい……モルドレッドの山で君を救出した時のように」


 ……こんな感じか?

 アビーの腰に手を回すと、彼女も俺の中腰に手を回した。


「ヴィランのような奴隷が成り上るには、一国一城の主にでもなるしかない。幸運なことに君は絶大な力を有している。さらに幸運なことに、新世界はまだまだ未開拓の大地もあるようなんだ」


 ――だから、僕が先発隊として、ヴィランに相応しい土地を見つける。


「……大丈夫か?」

「駄目かも知れないね」


 彼女は天真爛漫な声で、自分の非力さを認めているようだった。

 アビーは俺達の中で特に心配の種でもある……。


「別れるにしても、急すぎるな」

「駄目だったかな? ヴィランの許可が出ない限り行かないよ」

「……一緒には行けないのか?」

「うん、それは無理だね。理由はこの後すぐに判明するよ」


 アビーが不可解なことを言うと、シャムの叫び声が聴こえた。


 どうしたと思い、シャムの許へ向かう。


「どうした?」

「ヴィラン、私達騙されたのよ」

「騙された?」


「人聞きの悪いことを言うでない、クラスの付与は最低でも半年の訓練が伴うと言っただけであろう?」


 半年……か。

 つまり、ギオス金貨八枚という金額は授業料みたいなものだったんだ。


「それに、半年の訓練で落ち度があったらクラスは貰えないっていうのよ」

「それはシビアだな、と言うことでみんな、自信のないものは辞退して貰えないか」


 と言うと、集っていたみんなはさざめく。


 ――俺はやるぞ、お前は?

 ――お前がやるなら俺もやるぞ、お前は?

 ――お前らがやるならやらない。


「……もう一度言う、自信のないものは辞退してくれ」


「ちなみに僕はもうアサシンのクラスを持っている、今回はクラスチェンジに挑む予定だよ」

「はぁ? アビーってば何て物騒なクラスを持ってるのよ」


 アビーの告白に、シャムが斜に構えていた。


「シャムはどんなクラスに就きたいんだい? 人気のあるクラスは中々認可が下りないよ?」

「私は……ヴィランの足を引っ張らないよう頑張るだけよ」


 ともあれ、辞退する奴はいないようだ。

 辞退しないと言うのであれば、これは第二の試練だ。


「いいか? 今回のクラス付与の件で脱落したものはこのままここに置いて行く。そのくらいのリスクは皆背負ってもらうからな。それが嫌なら自腹でクラスの試練に挑んでくれ、以上」


 ◇


 して、一人ずつ神殿の中に入り、クラスの宣託を受ける。

 何でもクラスを貰うにはそいつの潜在能力から数を絞るものらしい。

 多くても七つか八つ、少なくても三つの候補が与えられるようだ。


 シャムは単独戦闘できるようにと、手堅くソードファイターのクラスを選んだようだ。


 アビーはクラスチェンジのため、別所で試験しているらしい。


 レギは後方支援を買って出たいようで、プリーストを選んでいた。


 他にもシャムの幼馴染のラシェットはガーディアンというレアなクラスに就き。

 同じく二人と仲の良いミラという女はウィッチのクラスに就く。


「ヴィラン、貴様は何のクラスにするんだ?」

「俺よりも貴方がどんなクラスにするのか気に掛かりますよ、ニードルさん」

「決まっているだろ、俺は貴様の罪を追及するのに役立つクラスにする」


 とすると、嘘発見器でも作れるように発明者のクラスに就くのだろうか。


 そして大取だった俺にお鉢が回ってきて、神妙に神殿に踏み入れた。


 神殿の入り口は視界をなくなるほど暗かったが、内部は違う。

 石造りの天井には瞬く鉱石――破石が散りばめられていた。

 点在する破石は異世界ギオスの星座を模っているようだ。


「ようこそ、貴方のご希望を先ずお伺いしても宜しいかな?」

「……希望としては、今の役職から一国の大君にまで成り上る代物が欲しい」

「そうですか、ではこの石に手を当て、瞑想してください」


 ――貴方が真に求めているものを、思い描くのです。


 俺が真に求めているものか…………。


「なるほど、貴方に与えられるクラスは踊り子、詩人、剣闘士の三つですね」


 踊り子に詩人に剣闘士? どれも今一パッとしない。

 しかし、一度定められた以上、この中から選ばないといけない規則だったな。


 しばらく考えたかったけど、とりあえず――


「ヴィラン! どのクラスにしたの?」

「……踊り子(ダンサー)

「ふーん、ヴィランらしいわ。って踊り子!?」



 シャムは俺の選択に目を丸くし、少しショックを受けているようだった。



私、実はどうしても出来ないことがあって。


フォウ! って感じの盛り上げが出来ないんです。

もとい、フォウっていう感じの声が出せないんです。


不器用なんですよね~、色々と。


不器用な人生送っていると、蔑まれて困りますぅ。

そんな連中の前で火花が散るように、フォオオオオオオオオオオ!!

って奇声上げたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ