表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/97

モルドレッドの最期


「奴隷の苦しみ?」

「…………」


 これ以上言葉を交わすのは無駄だ。


 奴に何を言おうとも、奴は分からない。


 それほどの隔意を覚えた俺は、力強く大地を蹴り起こした。


 そして放たれた衝撃波を土壁で防ぐ。


「単なる土壁で私の攻撃を防ぎきれるものか! っ!?」

「さすがは竜だ、人間と違って知能が足りてない」


 土によって視界を遮り、死角を捻出した後。

 アビーから習った錯覚魔法を用いて奴の首を背後から締め上げる。


「竜も肺呼吸であってるよな? わざわざ人間の姿になってくれた礼を言わなきゃな」

「っ……!!」


 するとモルドレッドは俺を連れて苦し紛れに空に飛ぶ。


「――!」


 抵抗するモルドレッドの首を絞めつけている力を更に強く、もっと強くと意識した。

 無呼吸になった奴が落ちるまで、腕に全身全霊の力を籠める。


「きさま、そのてをはなせ」

「苦しいか! お前が今味わってるのは奴隷の苦しみの一端だ」

「ざれごとを……!」


 ――っ!!

 奴が一向に理解を示さなかったので、俺は渾身の回し蹴りをぶつけたが。

 ……手、離しちゃったよ。


 怒りに身を任せるとろくでもない結果になるようだ。ヴィラン、覚えた。


「隊長!! そんなところで何をしているのです!」

「竜はどこです!!」


「……俺はもうお前らの隊長じゃないだろ!」


 眼下では進行していた兵士の生き残りが、俺を懐古的に隊長と呼んでいた。


「酷いじゃないですか隊長!」

「俺達の隊長はあんた以外にいないよ!」


「なら! 竜の山脈目指して走れ! 俺に付いて来たい奴だけ行け!」


 ――言っただろ。


「あそこを戦場にするなと、私は言ったはずだ!!」


 モルドレッド()の逆鱗に触れたのか、奴は巨躯を現した。


「モ、モルドレッド!?」

「まさかこんな前線にこいつが出て来るとは」

「隊長は一体何をしたんです!?」


「走れお前ら! ここは俺に任せてシャムと合流しろ!」


 悪いが、ここで後れを取る奴は置いて行く。

 でないと地獄のような新世界の餌食になるだけだ。


「奴隷の分際で、私の聖地を穢すなッ――ッッッ!!」


 そして奴は走る兵士達を標的に巨大な光のブレスを放った。


 俺は連中を庇うようにそれを受け止めるが――ッ!


 俺の身体を呑み込むように襲った光を、何とか上に弾くが、体勢を崩す。

 受け止めるには威力が強過ぎる。


「……ヴィラン、確かに私は貴様を舐めていた。今ここにその非礼を謝罪しよう」


 そして、私と対等になった貴様に。


「神に迫る者の苦しみを知って貰うとしよう――」

「っ!」


 我が主、女神よ。


 貴方様の奴隷である俺にどうか――――をお与えください。


 そう願うと、主が俺の脳裏に語り掛けるような声が聴こえた。


 ――なら偶には本気出せよ、ヨモギダ。


「っ! アァアアアアアアァアアァッァァッ!!」

「なん!」


 主の御言葉に従うように、モルドレッドのブレスに全力で立ち向かえば。

 奴のブレスを、膂力に任せて跳ね返すことが出来た。


「……っ」


 手を振って、痺れを払うと。

 モルドレッドは驚愕の余り、固まっている。


「モルドレッド隙だらけじゃないか」

「ガアッ!」


 俺がその隙につけ入らないと思ったか?

 俺の名前はヴィラン、直訳すれば『悪役』だ。


「まるで勝敗が決したかのように大人しくなったな!」

「ゴフッ!」


 大人しくなったからとて、奴を見逃すような情け深い男に見えるか?

 何度でも言おう、俺の名前はヴィラン。直訳すれば悪役だ。


 その後も、俺は奴を甚振るように連撃を繰り出した。


 上空から肘鉄を見舞い、下に回り込んで打ち上げるよう蹴りを繰り出し。

 遠方に飛んで行った奴を追い打ちするように拳でさらに打っ飛ばす。

 すると、今度は奴の巨躯が山脈に突き刺さる。


「何!?」

「マミー、ここは危険です」

「分かってるわよそんなこと! ヴィランはどこなの!?」

「隊長であれば外で闘ってますよ、お分かりでしょ!」

「分からないわよ!」

「えぇ……」


 モルドレッドの巨躯は満身創痍だった。

 右腕は翼を巻き込んでひしゃげ、左足は踵から先が吹っ飛んでいる。

 それでも奴は息をしている、そして円状の瞳を虹色に光らせていた。


 この光景はどこかで見たことがある光景だ。


「……ヴィラン、貴様は竜の最期を知っているか」

「さあ、どんな末路を迎えるんだ?」

「ふ……私を手に掛ければ判る」


 奴は死期を悟り、最期は俺に介錯を頼んだ。

 短い間だったが、俺はモルドレッドの愚かさも、崇高さも知り得た。


 様々なことを教えてくれ、俺の成長に一役買ってくれた奴のトドメを今――刺す。


「グフ……そうだ、それで……いいのだ」

「これはもう言い訳出来ないなヴィラン」

「女神か、最期に……貴様の姿を見れて、涙が止まらん」

「モルドレッド、お前はこれからどうする?」

「私は、賭けてみたい、私を見事打倒した男、ヴィランに」


 ――世界の趨勢(すうせい)を。

 そう言うと、モルドレッドは絶命した。


「主、モルドレッドの今の言葉はどういう意味でしょうか?」

「静かに見ていろ、今モルドレッドの身体から魂が出て来る」


 言われ、俺は静かにモルドレッドの遺体を見守った。

 すると奴の身体から虹色の光の泡沫が沸き上がる。


 美しく、怖気すらもよおすその光の泡沫は胸の前に集まり。

 そして――俺に向かって来る。


「モルドレッドの力がお前に伝承される、じっとしていろ」

「しかし」


 今まで憎み合った敵の力を伝承するのは、若干気が引ける。

 それでも主はモルドレッドの意向を尊重するよう、金貨を投げた。


「これで文句ないだろヨモギダちゃん」


 ため息が零れるが……主には感謝しかない。

 俺がこの闘いに勝てたのだって、主の一言によるものだし。


「く!」


 光の塊が俺の体内に入ると、モルドレッドの思念が過った。

 モルドレッドはアーサーと言う伝説の竜王に、酷い憎しみを抱えている。

 双極の竜は互いに互いを出し抜きあい、袂を別ちあったようだ。


「主……モルドレッドの記憶までも、受け継がれたようなのですが」

「それは完全なものじゃないさ、モルドレッドが強く印象していた一部だ」


 それでヨモギダちゃん。

 主は言葉を絶やすことなく、続ける。

 今日の主はやけに饒舌で、それは俺が不幸に遭う兆候だった。


「お前は私にこう願ったよな、『俺にどうか安らぎをお与えください』って」

「確かにそう祈り、結果的にモルドレッドに勝てました」

「お前にとっての安らぎとは何だ?」


 主の問い掛けに、深呼吸して考えた。


「……俺にとっての安らぎは、奴隷が救われる瞬間ですよ」

「面白い答えだ。ならヴィランはこのまま奴隷共を救え」

「それが主からのご命令とあらば」


 モルドレッドの体が完全に光の泡沫に消えると、主は山のふもとを見下ろした。


「とりあえず、お前の言葉を真に受けた数十人の奴隷共がそこまでやって来ている。せめてそいつらぐらい連れて行ってやったらどうだ?」


「言われずともそうさせて頂きますよ」

「そしたらヨモギダ、新世界に向かい、今度こそお前の野望を果たせ」


 すると主は気炎を吐くように、新世界へ向かえと命じ、御姿を消す。


 俺は主が消え去った跡の虚空に向かって恭しく、頭を垂れるのだった。



皆様にお薦めしたい!

と、言えば、芸人さんのサイクロンZです。


彼の笑いを見て何とも思わない人。

そんな人とはむしろお友達に私はなりたい。


きっとその人は超がつくクーデレでしょうからぇ!

クーデレ好っきやねん、クーデレ好っきやねん!

しゅきぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!


まぁ何はともあれ、サイクロンZさんの芸を一目ご覧ください<m(__)m>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ