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妄想の中では、無敵の俺  作者: 菊RIN
5/9

魔女さん改めレイヤーさん



土曜日、朝7:46

前日までに用意したのだろう、巨大な紙袋が三つ。

コスプレの承諾をした日、魔女さんは俺の身体を採寸した。手際がいいので聞いてみたら、

「わたし、服飾の専門学校行ってたんです。まぁ結局、そっち方面の仕事には、つけなかったんですけど…」

同じネカフェのブースなのに、魔女さんのブースで採寸されるのって、なんか女の子の部屋に上がり込んだような感覚で、少し気まずかった。


9:00前には、会場に到着した。ここまで電車移動だったが、はぐれないように魔女さんの姿をずっと目で追っていた。さすがに手を繋ぐ訳にはいかないだろう。親の買い物についてきた子供じゃないんだから…周りから見られて困るわけじゃない。みんな知らないヤツだし。でも魔女さんはどうなんだろう…割と有名人だったりするのかな…だったら誤解されるのはまずいのかな…


会場には既に多くの人が居た。更衣室のようなものが少ない。女の子もそこら辺で普通に着替えている。

(とりあえず、周りを見ないように、自分の着替えに集中しよう…)

「あの、すいません、背中のファスナー、上げてくれませんか…」

「あ、はい。」

(まずい、生身の女の子の背中…耐性がない…)

俺は少し震える手で、ファスナーを上げた。


それから俺は、キャラに合わせて髪型をセットする。魔女さんは隣で、髪の毛を纏め、メイクを始めた。女の子が化粧をしている姿を見るのは初めてだ。俺は顔が出来上がっていく様子に見とれてしまった。

「あの、あんまり見ないでください…恥ずかしいです…」

(え?着替えるの平気なのに、メイクを見られるの恥ずかしい??)

よくわからん…恥ずかしいの基準はどこよ?

カラーコンタクトを入れて、カツラを付ける。へぇ…それっぽくなるもんだな…というか、ぶっちゃけ可愛い。


俺達は脱いだ服や荷物をまとめて、コインロッカーに入れた。

「ちょっと、知り合いに挨拶に行きます。一緒にいいですか?」

「あ、はい。」

言われるままについて行く。正直、なんというか、あの独特の喋り口調が苦手だ。魔女さんは割と普通なんだけど、知り合いという人達がほとんどそうだった。こちらからは言葉を発することなく、簡単な受け答えで済ませた。多分友達にはなれないだろう。向こうがグイグイ来るので、若干引いたのは事実だ。


一通り挨拶を済ませ、来る途中に買ったサンドウィッチとコーヒーで朝食。そう言えば、朝食なんて食ったのどれくらいぶりだろう…しかも誰かと一緒になんて…悪くない。なんか、普通の生活っぽくて。こんな場所で、こんな恰好で、コンビニのサンドウィッチだけど、普通っぽい。嫌いじゃない。



人が増えてきた。外国の人も結構多いんだな…でもコスプレの着眼点が日本人とは少し違う気がする。って、俺がコスプレの何を知ってるっていう話しなんだが…

日本のアニメの実写版を海外で作ると、とてつもない違和感を感じるのに似てるかな。変えてはいけない一番のキモの部分を平気でアレンジしてくる。なんだろ?そのアニメに思い入れは無いんだけど、そのやり方を認めたくない自分の感情って…

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