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初めての肉食魔物討伐

「ハリム!レッドスネイクだ。右手前方!」

馬車の横で走っているとママが叫んだ。右手前方を見ると森から赤い細長い魔物が出てきた。手足がなく身体をうねらせて近寄ってくる。うげぇ気持ち悪い。胴体は僕の腰周りくらいある。長さは…畝っててよくわかんない。けっこう長い。

「あれは肉食の魔物だ。動きが変則だから気をつけな。首ちょん切ったあとも動くから要注意だ。行け!」

「うん。」

僕は加速ながら剣を抜く。射程に入ったので首目掛けて剣を振る。レッドスネイクは身体をくねらせて僕の攻撃をかわす。くそっ。僕は剣を振った反動を利用して回転しながらもう1度切る。今度は首を切断することに成功した。やった!あ、油断しちゃいけなかったんだ。レッドスネイクは首がないのに僕に巻き付こうと動いてくる。僕はそれをジャンプでかわし、剣で地面に縫い止めようと思ったけど、止めた。それでは半分ほどしか止まらないし、たぶん力負けする。剣を振ってレッドスネイクの胴体をどんどん輪切りにしていく。半分くらい切ったら動かなくなった。

「やったぜ、ハリム!」

ママが抱き締めてくれる。嬉しい。

「余裕だったな、ハリムくん。これ、肉食なんだけど肉けっこう上手いんだよな。おーい。商人さーん。これ積み込んで貰える?」

うげぇ、これ食べるの?ロズベルトの言葉に護衛が2人馬車から降りてきてレッドスネイクの死体を馬車に乗せてくれた。


さて、再出発。馬車の横を3人で並走する。

「あの…」

馬車から声が聞こえた。見ると真ん中の馬車の窓から赤い髪の女の子が顔を覗かせていた。僕よりちょっと年上かな?

「なに?」

僕が走りながら答える。

「小さいのに強いんだね。」

「そう?まだまだだよ。早くママに追い付かないと。」

「志も高いんだね。私はラビア=デミレル。ベラトの娘。君は?」

「僕はハリム。5歳だよ。ラビアは?」

「わたしは9歳。5歳か。弟より下なんだね。」

「ふーん。弟がいるんだね。ラビアはレジンドまで?」   

「うん。レジンドに家があるから。」

「そうなんだ。マダルト人なんだね。」

「うん。ねぇ、ハリム。」

「ん?」

「レジンドに着いたらデートしない?」

「デート?何それ?」

「デートを知らないの?デートって言ったら男と女が遊ぶことだよぉ。」

「へぇ。ママー。レジンド着いたらラビアとデートしていい?」

取り敢えずママに聞かないとね。

「はっはっはっ。ハリムはさすがハーフエルフだな。いいよ、行っといで。」

「いいって。」

「じゃあ、約束だよ。時間出来たらデミレル商会に来てね。」

「うん。わかった。」

ラビアは馬車の中に顔を引っ込める。ロズベルトが僕の横に近付いてきて僕の脇腹を小突く。

「なんだよ、ロズベルト!」

「やるなぁ、お前。ラビアちゃん、かわいいじゃないか。羨ましいなぁ。」

「うるさいなっ。ロズベルトにはママがいるだろっ。」

「お、おう。」

なにさ、二人して顔真っ赤にしてさ。

僕たちは魔物を倒しながらレジンドに向かったんだ。


レジンドの町の門の前に到着した。森ではたまに魔物が出たけど、森を抜けてからは平和で詰まらなかった。1泊夜営したんだけど、その時、レッドスネイクの肉を食べた。うん、くやしいけど美味しかった。

「メイヨウさん、ありがとうございました。」

ベラトさんがママに布袋を渡す。あれお金だな。

「いいよいいよ、あたしらも助かった。お、けっこう入ってるね。助かるよ。ハリムに皮の胸当てまでもらったのに悪いね。」

「あれはお古ですし、サイズがたまたまちょうどいいのがあっただけなので。娘が心配だとうるさいもんで。」

そう、実はベラトさんから皮の胸当てを貰ったんだ。ラビアが言ってくれたみたい。ラビア、いい子だな。かわいいし。

「マダルトでなんか面白い町ってない?」

「そうですなぁ。レジンドの町から西へ2日ほど行くとナハトという町があります。その町はダンジョンがありますよ。」

「ほぅ、ダンジョンか。いいね。ハリムでも入れるかな?」

「確か年齢制限はなかったと思います。」

「お、いいじゃんいいじゃん。次の目的地はそこだな。」

ダンジョンか。楽しみだ。

「ハリムー。私たちはこれからけんえつだから。また後でね。絶対来てよね。」

ラビアはまた馬車から顔を出して話し掛けてきた。ここまでの間、こうやっていっぱい話した。ラビアと話すの楽しい。検閲って分かってないだろ?僕も分かんないけど。

「分かったよ。またね。」

僕はラビアに手を振って、3人で門に近付き、税金を払ってレジンドの町の中に入ったんだ。


「ハリバンラムとあんまり変わんないね。」

町を見た印象はこれ。なんか期待してたのと違う。

「そりゃそうだ。そんなに変わるもんじゃないさ。ハリバンラムのがちょっと大きいか?一応王都だしな。」

ちぇっ。まぁこんなもんか。

3人で冒険者ギルドに向かった。


「お?なんだなんだ?あの猫女は?」

「よそ者かぁ?」

「けっこういい女じゃないか。ちょっと裏でいいことしようぜ。」

冒険者ギルドに入った瞬間絡まれた。ママは猫じゃなくて獅子なのに。獅子人族は人族領内で近接戦闘やらせたら敵なしって種族だ。知ってたらなかなか喧嘩売れないはずなんだけどな。獣人は基本的に獣王国から出ないって言ってたから仕方ないのかな?

「いいねぇ、やっぱ冒険者はこうでなくっちゃ。おい、ロズベルト、手出すなよ。」

「はいはい。分かった分かった。殺すなよな、あとがめんどくせぇ。」

ロズベルト、わざと挑発してる?

「殺す?おれたちが?」

「舐められてるな、やっちまえ!」

冒険者ギルドにいた20人くらいの男たちがママに殴り掛かる。

「うっひょー!」

とか言いながらママは拳を避けて殴り返す。5分後…

「あの有名なA級冒険者、『金獅子』のメイヨウさんとは露知らず、申し訳ありませんでした。」

「「申し訳ありませんでした。」」

全員ママにボコボコにされ土下座していた。

「ねぇねぇ、ロズベルト。ロズベルトは二つ名とかないの?」

ロズベルトも確かA級冒険者だからあるんじゃないのかな?聞いたことないけど。

「ん?あるぞ。『血祭り』なんて呼ばれてるぞ。」

なんだそれ。あんまりカッコよくない。

「げ、そちらは『血祭り』のロズベルトさんでしたか。ははぁ。」

またみんなひれ伏した。

「『血祭り』ってあんまりカッコよくないね。」

「知らねぇよ。こういうのは自分で付けるんじゃないんだ。仕方ないだろ。」

こうしてあっという間に冒険者ギルドでの騒動は終わったんだ。


「今からラビアとデートに行ってくるけどさ、ロズベルトと二人で依頼とか行ったらイヤだよ。」

次の日、ママがラビアとデートして来いって言うから出掛けることにした。

「わかったって。ハリムはしつこいな。今日は買い物したりして待ってるから楽しんでおいで。」

「うん…」

「ハリムくん。」

「なんだよ、ロズベルト。」

「はい、これ。」

ロズベルトは布袋を僕に渡した。お金だ。

「銀貨9枚と半銀貨10枚入ってる。相手はお金持ちだが、女の子にお金を出させちゃダメだ。ハリムくんが出してあげな。」

「ロズベルト、ありがとう。」

「ロズベルト…5歳児に何教えてるんだよ…」

「じゃあ行ってくるね。」

「あ、もうひとつ。」

行こうとしたらママに止められた。

「なに?」

「何かあっても、絶対にラビアちゃんを守るんだよ。」

「うん、分かってる。」

「でも、相手は殺しちゃダメだ。町中で殺すとかなりめんどくさいことになる。出来るだけ剣は抜くな。拳でなんとかしろ。昨日、冒険者ギルドで見てただろ。」

なるほど。だから昨日剣を抜かなかったのか。

「うん、わかった。」

「よし、行っといで。」

僕は2人と別れてデミレル商会に向かったんだ。

この世界のお金

銅貨1枚=10円

銅貨10枚=半銀貨1枚=100円

半銀貨10枚=銀貨1枚=1000円

銀貨10枚=半金貨1枚=10000円

半金貨10枚=金貨1枚=100000円

金貨10枚=大金貨1枚=1000000円

大金貨10枚=白金貨1枚=10000000円

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