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【序】 思慕
好きだす……
今でも好きだす……
そんな事、口が裂けても言うたらあかん……
想うのもあかん……
思い出してください……
昔みたいに呼んでください……
そんなこと、口が裂けても言えん……
思うのもあかん……
思い出さへんのは、思い出したくないからや……
わてのことも、わてがしたことも、全部……
そうや。このままずっと思い出さんほうがええ、なんもかんも……
わては思い出してしもた……
楽しかったことを……
辛かった、苦しかったことを……
わてがしたことも……
これは慈悲やない。罰や……
せやから、この罰は甘んじて受ける……
せやから、せめてもの罪滅ぼし、させてください……
それまで傍に居ることを、許してください……
弱くて狡いわてを、許してください……




