第24話 1,800℃の昨日の残滓
俺は背中に手を伸ばして多層魔法竜鱗盾を構えた。その瞬間「赤頭巾ちゃん」の口からサラサラの溶岩のブレスが吐き出された。
俺はその瞬間に槍を捨てて、盾だけを持って後ろに飛び退いた。
槍はどろどろに溶かされて喰われた。
( マッチ は いかがですか ? )
「You do not need a match?」
俺は根本的な間違いを犯していた。彼女は赤頭巾ちゃんじゃなくてマッチ売りの少女だった。自分の書いた小説を忘れていた。
「どっちも赤い頭巾とか紛らわしいなー」
ともかく多層魔法竜鱗盾は耐熱仕様で良かった。
そして、得た隙を狙って俺は笑った。
「……降参だ」
そして、両手を上げてそう言い放った。
五支が敵の前で何を言い出すのかと言う目でこっちを見ている。……ので、五支にも笑いかけてやる。
……。
すると何処からともなくジツシ・キテスが出てくる。
気配がないとか超怖い。
「何だお前、転移して10年経つのにまぁだこんなに弱いのか」
「いやぁ、溶岩何て吹き出されたら骨も残りませんよ」
「でも、その盾は溶岩の一撃を防いでいたぞ」
「ああ、これはですね……多層魔法竜鱗盾と言って……」
久々にジツシ・キテス元族長と話をした。初めてかもしれないノアキ族同士としての会話は、正直かなり楽しかった。
「あの……もう戦わなくて良いんですか?」
五支一番の素早さネイちゃんが恐る恐る話しかけてくる。
「ああ、俺が降参したから敗けだ」
「でも、他の部族と……敵と戦ってたんですよね?」
「気付かないか?彼ら彼女らは、見てくれは違うが、紛れもないノアキ族だよ。ほら、腰簑だって履いてるし、ジツシ・キテス元族長が俺達の間に手刀を切ってただろ?あれはいきなりでビックリはしたが、あれ、決闘だったんだよ」
そう、あの時ジツシ・キテス元族長が放った攻撃は2発。1撃目は手刀で俺達とマッチ売りの少女の間の縁を切った。そして、2撃目はミスリルの小剣で足場を破壊した。
恐ろしく速い手刀、目に強化全振りした俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
「と言うかジツシ・キテスさん、あれが決闘だと見抜けなかったら……俺達もしかして全滅してました?」
「同族は殺しやしねぇよ。だが、手足が少し足りなくなる位は覚悟しねぇとな。でも、弱いお前がそれくらいも見抜けないならそうなっても仕方ないだろうな」
「はは、隻腕のジツシ・キテス元族長が言うと違いますね」
「ははは、言うようになったな。しかし、俺の見た感じだと、お前1人でも、コイツら3人に勝てたように見えたが、俺の目が耄碌したか?」
「……正直、無理やり勝とうと思えば勝てます。しかし、彼女らは死ぬでしょう。同胞殺しはノアキ族では御法度です。だから降参しました。……ですが、試合では勝てないと言うのは事実です。マッチ売りの少女の能力がかなり厄介です」
「ははは、そうだな。初めて会った時、口から溶岩吐いた時は俺も吃驚したからな。そうだろうそうだろう……」
それから暫くジツシ・キテス元族長と話し合った。




