第2話 採集その1成功。火をおこす失敗。
※野人先輩とは、サバイバル知識のある小説『野人転生』の作者でこの小説の作者のお気に入り作者です。
まず足元は湿った広葉樹の葉が腐った土で覆われており、植生は亜熱帯ら辺の可能性が濃厚。気を付けるべきは虫か、変なのを踏んでも困るからな。少し気を付けて歩こうか。
煙で燻すと良いとか『野人転生』で野人先輩が言っていた気がする。煙を出すためには火か、また厄介なものを……。
ガサガサと木々にぶら下がっている蔦を引っ張って千切る。
「繊維は丈夫そうだから使えるっちゃ使えるかな?」
頑丈そうな30cm程の葉っぱを20枚程重ね、その上にカサカサの枯れ葉を2枚乗せる。その上に足を乗せて更に枯れ葉を乗せてサンドイッチ状にして蔦でぐるぐるに縛る。
即席の靴の出来上がりである。
「まぁ、ちょっとキツいし痛みも無いわけじゃないが……裸足よりはましかな。採集その1は成功なり」
靴を作っている間は何者にも襲われる事はなかった。取り敢えず動物の気配はないが、辺りはかなり薄暗くなってきた。
まさかこんな場所で朝までさ迷うとか、恐怖以外の何物でもない。人里での野宿程度は経験あるが、ここは未知の場所。デカい蜘蛛とか蛇とか出てきてらと考えるだけでキツい。
……。まだ間に合うか。
「生き残るための一歩。火をおこす」
ガサガサと目当ての物を探す……が、無い。この辺の枯れ葉や枝は殆んど湿っており、擦り付けても火はおこらなさそうだ。もしかしたら転移(転生?)の前に雨が降ったのかもしれない。
俺は陽が暮れるまで初期地点から歩きにくい所を除く30m地点を歩き回り、火をおこす事を主目的に役に立ちそうな物を集めた。
◇ ◇ ◇ ◇
「ミッションクリアならず。火はおこらなかった」
色々頑張り磨り減った両掌を眺めつつ、そう呟いた。
頭を上げて木々の隙間から狭い空を見る。星が綺麗だ。
星明かりで地面に影が出来る所から、少なくともこの付近の文明はまだ曙レベルなのだろう。
手元に並べられた原材料そのままの道具達。その加工は一晩の暇潰しには多少心細い。だが、無いよりはましだろう。
・蔦……葉っぱを落としてある。これを解して紐にする。
・持ちやすい石……複数用意した。削ったりして石包丁あたりに出来るかな?
・50cm程の棒……2本だけ採集でけた。あとはグズグズに腐ってたりろくな状態じゃない。