第14話 素材の行方
「はぁ……はぁ……」
俺は走る。必死に食らい付く。余裕を見せながらチラチラと振り返る最後尾のノアキ族の戦士を睨み付け、走り抜ける。
目が霞む。酸素が脳にまで達していない。
「はぁ……はぁ……ぁ」
目にチカチカとした星を浮かべつつ現場に到着する。……と、中型のドラゴンの解体が終わった所だった。
「コレオマエトリブン」
ノアキ族のルールで、狩りの獲物は取り敢えず同行するだけでも手に入る。が、付いていく事も出来なければ欠片程も当たらない。
今回得たのはもも肉100g程度……。貰って直ぐに、既に起こされている焚き火に当てて炙って食す。うーん。たんぱく質。
食べ終えて、見顔を上げたらもう帰り支度をしている。
はぁ?
「骨とか爪とか持っていかないんですか?」
「クワン」
「武器とか防具とかに……!」
「アル」
ノアキ族の戦士は木の槍を掲げる。穂先の石は恐ろしいほど冷たい光を放っていた。
「イシ、トイダラ、ヒカル。ソレゴミ」
ああ、そうだ。ノアキ族は設定の武器欄に石の穂先の木の槍とか木の盾とか木の弓とか書いてあった。役割を持たないノアキ族AとかBは己の役割を離れる事が難しいのか。
勿論、ドラゴンの爪の方が固く鋭く加工する事が出来る。しかし、脳筋設定を与えられた彼らには思い付かないのだ。故に馬鹿正直に精一杯威力を増した木の槍でドラゴンと戦っている……。
話は変わるが、正直中型のドラゴンは戦闘ヘリ程度の強さがある。4cmの鉄板に価する鱗と皮膚の防御力をどうやって抜いたのだろうか。
それを考えたらどう考えても1年やそこらじゃあ追い付けない。族長なんて何年修行すればなれるのかわからない。
「オイテクゾ」
物思いに耽っている俺を置いてノアキ族は去った。道は西に向かってひたすら戻るだけだから道案内無しでも何とか追い付けるだろう。
解体されたドラゴンの骨と皮や鱗等、本来ならばこちらの方が有用な剥ぎ取り品を必死で集めて背負い袋に詰め込んでいく。
このドラゴンの素材に、状況打開の鍵が隠されている気がする。
俺は未だに達成できない目標666に溜め息をついた。




