過去から
キーンコーンカーンコーン
「ほらー、席に着けー」
担任が教室に入ってくる。
そういえば今日で1年か。
「出席取るぞー」
出席を取り始め、全員呼び終わると諸連絡を始めた。
「最後に、暁は放課後職員室に来い」
暁って、俺やん。今日用事あるし、この人も知ってると思ったんだが。
そうしていろいろ授業が始まる。
授業が終わり放課後になれば言われた通り職員室に行く。
「月影先生、何の用事ですか
「来たか、外で話すぞ」
職員室を出て、少し離れたとこで話し始めた。
「悠翔、今日行くんだろ?」
「え、あ、うん行くけど」
「俺の車乗ってけ」
ああ、そうか。この人はこれを言いたかったのか。
「ああ、ありがとう」
そして月影先生の車で目的地に向かった。
「久しぶりか?」
車内でそんなことを聞いてきた。
「うん、遠いからあんま来れねえんだ」
「だと思った」
そうしてしばらく車で会話をした。
「よし、着いた」
荷物を持って車を降りる。
「さっさと向かうぞ」
駐車場から少し歩く。そこに目的の場所はある。
「やっぱり辛いか」
「少しね」
そんなこんな話ししているうちに着いた。
「水持ってくるな」
俺は水を取りに行ってから向かった。
「久しぶり、姉ちゃん」
「久しぶりだな、優輝」
姉ちゃん、姉ちゃん。
「うっぐ、あのね学校楽しいよ」
「悠翔はいい子に育ったぞ」
姉ちゃんのお墓の前で話す。
姉ちゃんと月影先生は恋人同士だった。だから俺も先生になる前からこの人を知っていた。ついでに確か今の俺の親権持ってるのはこの人だった気がする。
「姉ちゃんは元気かな」
「ああ、優輝なら元気にやってるさ」
「そう、だね」
そしてお線香をあげ花を備え水を撒く。
「じゃあまたね、お姉ちゃん」
「またくるな優輝」
そうして俺らは帰った。
「ねえ征、姉ちゃんのことまだ好き?」
「何言ってる、当たり前だ。俺がそういう風に好きなのはこれまでもこれからも優輝だけだ」
俺はその言葉を聞いて安心した。
「ありがとう」
そして寝ていた。
姉ちゃん、大好きだよ。
私もよ、悠翔。
遊ぼ、姉ちゃん。
うん、いいよ遊びましょう。
この人が私の恋人の征君だよ。
よろしくお願いします。
よろしくな、悠翔君。
やあ、また来たよ悠翔君。
久しぶり征兄。
姉ちゃん、姉ちゃああああん。
落ち着け悠翔。
何で征兄はそんな落ち着いてるんだよ。
これからは俺がお前の親だ。
学校なんて行かない。
「んん」
「起きたか」
「うん」
凄く懐かしい夢を見ていた。征も辛かったんだろうけど俺がいたから我慢してたと今更ながら分かった。
「ねえ、征兄。何で姉ちゃんは死んだのかな」
「さあな、そんなん誰にも分かんないさ」
姉ちゃんじゃなくて俺が死ねば良かったんだと何度も考えた。けど考えても仕方のないことっていうのは分かっていた。
「征兄、あのさ」
「ん、なんだ」
「一緒に暮らしていい?」
「ふっ、ああいいぞ」
ありがとう、征兄。
そして家に帰り、支度をして征兄の家に向かった。
俺は征兄と家族になりたい。姉ちゃんが愛したこの人と。
「征兄は征兄であって月影先生になるんだね」
「悠翔、お前は名字どうする?」
「変えないよ、ずっと」
姉ちゃんと同じ名字であり続けることが姉ちゃんの弟ってことの証明だと思ってるから。
そして征兄の家についた。
もうすぐだ。もう少しだ。
「ねえ征兄。何で先生になったの?」
「さあな、気分かな」
征兄らしい。とても。
「ここが俺の家だ」
凄い大きな家。
「1人で暮らしてるの?」
「ああ、今日からは2人だが」
そして征兄との二人暮らしが始まった。征兄は義兄であり義父であり担任の先生である。
学校では月影先生。
「おはよう、暁」
「おはようございます、月影先生」
こんな感じだ。
そしてある日の下校途中、俺の意識は吹っ飛んだ。