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◯◯の執筆者

作者: やまいち

連載風の1話を書いてみたかったので、それっぽく書いてみました。いつか連載を書けたらいいなと思いながらこれから短編を書く練習をしていきたいと思います。


「おはようございます。お目覚めはいかがですか?」


瞼を開けると真っ白な柔らかいシーツと枕が目に入った、ゆっくりと起き上がり声がした方に顔を向ける、窓辺に誰かがいる。目を細めるほどの眩しさで窓辺の人物をはっきりと見ることができない、声は女性だ窓辺の人はゆっくりと俺の元へ歩いてくる、距離が近くなるとはっきりとその姿を見ることができた。俺は目が乾きそうなほど見開いた、どれくらい時間が経ったのだろう一時間か又は一瞬か風に揺られキラキラと光る銀髪に整いすぎと言える顔と体に目を引く、とんでもない銀髪美女が俺の隣にやってきた。


「あなたには今日から世界を破壊へ導いていただきます。」


彼女の口から出てきた言葉に俺はぽかんと口を開けた声の出し方を忘れたかのように言葉が出てこない、固まった俺を気にすることもなく彼女は話しを続けた。

「初めての破壊ですので見本をご用意しました。こちらの荒廃した世界を参考にされてください。」

彼女が持っていた一冊の本、破壊いうタイトルと擦れて読めないおそらく著者の名前だけが書かれたシンプルな本を渡され思わず受け取ってしまった。

「期限は1年、マニュアルはそちらの本棚にあります。なるべく読んでから破壊活動をしていただくことをお勧めします。期限内に破壊ができなかった場合は破壊できなかった範囲のペナルティーがございますのでご注意ください。」

彼女が指を刺した方向に本棚はあった、綺麗に並べられているがどれも色あせ角や背表紙がボロボロな一目で古いものだと分かる本がぎっしりと並べられている。

「ご不明な点がありましたらベッドサイドにある電話でお尋ねください。右手にあります赤い扉から実際に破壊する世界を見ることができます。視察をされる時は赤い扉をお使いください。」

ベッドサイドにおかれたレトロな黒電話を見る使い方がわからない、使い方を聞こうと彼女に声をかけようとしたが喉が貼り着きかすれた声しか出なかった。

「それでは素晴らしい破壊活動を期待しております。頑張ってくださいね」

声の出ない俺を気にもとめず”ごきげんよう”そう告げて彼女は赤い扉から去っていった。


「……ここはどこだ」

なんどか出したガラガラな声は自分が聞いていても痛々しい、水がないか部屋を見渡す。見覚えのない部屋だ、ここはどこだろうか?目的の水は見当たらないようだ。先ほど彼女がいた窓へ視線をやる流れてくる心地良い風と少し眩しいくらいの暖かい日差しを見つめ一瞬にして目が覚めた。一気に脳へ流れ込んでくる情報に焦り出す。”今は何時だ”昼間の様に明るい部屋、ベッドから飛び出し部屋を駆け回る時計がないこの部屋で時間は確認できない、ぐるぐると忙しく歩き回る。

「今日は平日のはず、そして朝から定期テスト……」

“遅刻”という言葉が俺の頭の中を占める俺が必死に守ってきた皆勤賞……ここはどこだ?明らかに俺の部屋ではないし窓から見える木や植物が茂り奥には日本とはかけ離れた雰囲気の森が一面に広がっている。夢か?夢じゃなかったら誘拐?しかし窓は開いている、さっきの銀髪美女が出て行った扉からは鍵がかけられたような音はしなかった、こんな緩い誘拐はないだろう冷静になって考えればあんなアニメに出てくるような銀髪美女が日本にいるはずがない、ここは都会のように人が多くない片田舎、俺の家は観光地からも離れた至って普通の住宅街、考えられることは実は隣に越してきた外国人ですとか……いや挨拶もなしにいきなり世界を破壊しろとか超やばい人だろ、ここが俺の部屋なら不法侵入もしかして強盗?なわけがない、強盗よりまだ誘拐の方が現実的だ、ぶつぶつと考えた結論これは夢だ。

 扉を開ければ夢から覚めておしまい、母さんが作った朝食を食べて学校へ行く定期テストを受けて放課後は友達と学生御用達のおやつを買い食いして帰宅、完璧な日常だ!この夢から覚めて母さんの朝食をいただく、さらばだ!へんてこな夢!見るならもう少し魔法とか冒険ができるような楽しい夢を頼む、俺は赤い扉に手をかけ開いた扉から飛び出す目をつむる程まぶしい光の中へと進んでいった。


 気が付くとリビングの前にいた女性アナウンサーが今日の天気予報を告げるテレビの音とキッチンで母さんが洗う食器と水の音が扉越しに聞こえる。

「おはよう」

扉を明けキッチンにいる母さんに声をかけリビングのテーブルを見る今日のメニューは少し硬めに焼かれた目玉焼きと近所の魚屋の塩鮭、湯気が立ち上るホウレン草と豆腐の味噌汁と炊きたての白米だ。朝食が置かれた席に座り箸を持つ、作ってもらえる飯に感謝を。

「いただきます」

白米を口にいれ米の甘味をじっくりと味わう、そして目玉焼きに醤油をかけ、白身から箸で割いて食べる塩鮭はそのままかぶりつく、近所の魚屋の鮭は塩加減が丁度良く白米が進む、味噌汁もほうれん草を口に入れ味わった後味噌汁で流し込む、そしてまた白米を食べるバランス良く食べて行き箸を持ったまま手を合わせる。

「ごちそうさまでした」

器を重ね流し台のシンクに運ぶ、弁当を母さんからもらいショルダーバッグの中に入れ玄関に向かう、玄関に手をかける瞬間、夢を思い出した。これがあの夢だったらと心臓が小さく響くこんなに鮮明に覚えている夢は珍しく自分がまだ夢の中にいるのではないかという錯覚になる、これは現実と自分に言い聞かせ母さんにまだいかないのかと催促されながらいってきますと返し玄関を出た。


 今日は晴天痛いくらいの青空に目を細める肌寒い空気を感じながら、坂道を下りバス停近くのスーパーの裏道を通る大きな桜の木の下に辿り付き柔らかい春風に乗った花弁が降り注ぐ中を歩くバスを待つこと二分、乗り込んでまっすぐ一番後ろの席を確保するバスから見える風景を眺めながら何も考えない三十分程の時間を過ごし、バスを降りて十分程歩けば学校にたどりつく。

 靴を脱ぎスリッパに履き替える下駄箱近くの購買でパンを買う生徒、朝練があったのか部活ジャージの生徒、自転車をきれいに整列し直す生徒会の生徒と向かいの道路で生徒を見守る教師と挨拶を交わす生徒を見渡し階段をのんびりと上がる、すれ違う教師に挨拶をしながら教室に向かう廊下は過ごし易い空調になっている。

 俺が通う私立西澄高等学校は真新しいきれいな校舎で明るく冷暖房完備な校舎だ、夏の暑い季節や凍えそうな真冬の時期になるとこの学校で良かったと思える、教室に入りクラスメートに挨拶をかわし席に座ると女子生徒が目の前にやってきた。

「おはよう、邦康」

朝から大きな声で明るい女子生徒を見上げる、うっとおしいくらい元気な彼女は三波明日香、小学校からの顔馴染みの彼女は奇跡が不思議かクラスが離れたことが一度もない、幼馴染なんて可愛いものではなくここまで来ると腐れ縁だと俺は思う。

「おはよう、三波」

「もう名前で呼んでよ!私と邦康の仲でしょー?」

いくら学科が違うと他校かと言いたくなるほど知らないやつが多いマンモス校でも、こんな腐れ縁でうるさいの女子と変な噂を立てられては困る、俺の薔薇色の青春が脅かされてはたまらない。

「もう子供じゃないだ、名前じゃなくてもいいだろ」

「未成年なんだから、まだ子供ですー」

苗字なんて他人みたいじゃない、などと文句を言う三波の声を背景に定期テストの最終確認をしようとショルダーバッグからノートを取り出すバッグからノートが引き抜かれると一緒にペンが床に転がり落ちた、椅子に座ったまま拾おうと手を伸ばす前に三波が落ちたペンを手に取った。

「邦康が試供品じゃないボールペンって珍しいね」

三波は拾ったペンをまじまじと見つめて蓋を取った。

「万年筆だ、これおじさんから貰ったの?邦康君もとうとう大人の階段上っちゃう?」

三波にゆらゆらと揺らされている見覚えのない万年筆、父さんのものじゃないと言う確信が何故か持てた普段書き物をしている時は鉛筆を使うから違うと言うわけではなく、不思議と俺自身の物だと思った。何故自分の物だと思ったのかを疑問に持ちつつ言葉を濁して三波の手から万年筆を受け取った、手に持つと少し気持ち悪さを感じるほどに俺の手に馴染んでいた。

「席につけー、定期テスト始めるから教科書やノートをバッグに入れて机を空っぽにしなさい」

ざわざわと周りが机を空にしてテストの準備をしている中、俺は手元の万年筆をじっと見つめショルダーバッグのポケットに突っ込んだ。


 結局テストの最終確認もせずところどころ不安な問題を残しテストは終わった、不安な問題と言いつつ真面目に勉強していたわけではないテストは放課後になる頃にはすっかり頭から消え、友達と帰り道の商店街を歩いて学生御用達のおやつ“ふがい焼き”見た目は回転焼きだが中にはたこ焼きみたいな具が入っている食べ物、他の地方では大判焼きとか別の呼び方があるらしい、今日はうずらの気分なのでおばちゃんに声をかけ一つ購入する。他のやつは二つ三つ買っているが、口の中に柔らかいふがい焼きは吸い込まれて一瞬で消えて行く。帰りのバス停に向かうやつとゲーセンに寄って帰るやつに分かれ、ふがい焼きをのんびりと食べながら前に二人歩き後ろを付いて行きながらバス停に向かう、すっかり忘れていたテストの話題や歌番組の話で盛り上がっている食べ終わる頃にバスが到着しまた明日と声をかけバスに乗り込んだ。


「ただいま」

家に帰り付き玄関で声をかけるが何も聞こえない、リビングに行くと壁にかけている母さんのエコバッグがない。

「買い物に行ってるか」

冷蔵庫から冷やしておいた炭酸飲料のペットボトルを取り出し食器棚の引き出しからスナック菓子を一袋持って二階の自分の部屋へ向かう、誰もいない家の中で階段を上る足音がよく響いく余り日当たりのよくない廊下、自室の前は電気をつけなければ薄暗く静かだ幼い頃はこの廊下が怖くて一人で部屋に戻るのが大変だった。ペットボトルと菓子袋を片手に持ち部屋の扉を開けた。

「…………」

開いた口がふさがらないとはこのことを言うのだ。

「なん、で……」

忘れていた夢の記憶が鮮明に頭の中に流れ込んでくる、流れ込んでくる柔らかい風と古い本の匂い扉を開けた部屋は朝の夢の中と同じ部屋だった。


読んでいただきありがとうございました。

人に読んでいただいたことがないので、どうだったのでしょうか?

これから小説をいっぱい書けるようになれたらいいなと思うので、また投稿したら

読んであげてください。

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