残酷な恋。
一気に書き進めてすみません…苦人君目線です。苦人君、苦しそうだわ。名前の由来が分かりますよん。詳しくは次回へ続く!!
それは、数時間前に遡る。僕は、彼女に出会う。
魔法を使い空を飛び、心さんを取り戻そうと躍起になる少しあと、それは起こってしまったんだ。
漆黒の魔女はローブを纏い、大きな黒い鳥に跨る彼女。
あれは変わり者の女性で、密やかに森に住まう魔女。
僕と彼女は意外なことに仲が良く、
それまで、ここまでのことは夢の予見だと僕は思ってた。
詳細に見た小さなころからの夢を、彼女に会えた幸福で満たし、忘れようとしていた悲しい予知夢。
彼女が現れたことまで、何でも夢の通りで悔しい通り越して悲しいよ。
心さんがこの世界に来なければ、この世界は救われない代わりに―…。
僕は心さんとはバイト仲間としか思って貰えない。
そういう運命。
そして、身も心も巧実と結ばれ、心さんは幸せになる。
年を取り、結婚して、子供を産み、死んでいく。
平凡な彼女の世界なら当たり前の世界かもしれない。
そして、何度僕がアプローチしても…叶わない運命の恋。
彼女と同じ年を老いない僕は、彼女と一緒に生きられない。
切ない思いが僕の涙で、もっと悲しくなるのを彼女は慰めてくれた。
なら、
この世界が例え乗っ取られても、
僕は心さんを奪って見せる。
「辞めて置け」
「心はこの世界の重要な人物で、それでもって、お前がアプローチしても落ちぬ運命。
あの時、心に会わなければ…お前はこの世界で子供で要られたのではないか?」
「それでも、彼女は僕の事を救ってくれた初恋の女性なんです。
僕は、彼女が居なかったら死んでいたでしょうね。後を追って…。
この世界で、僕が大きくなった奇跡、信じたいんですよ。なので、彼女をこの世界へ引きずりこむ手伝いをしてくださいませんか?主」
「その笑顔で脅すとは、やるな」
ニヤリと主は口紅を引いた美しい唇を歪め僕と微笑みあう。
その笑顔は悪だくみを企む悪ガキ二人組。こうして、僕と主は立場を超えながら、普段は主従関係を結び、時には一緒に悪戯を計画するのだった。
「どのみち…これに賭けなければ、この世界の崩壊は見えてるものよ」
「そうですね。
彼も厄介な世界を作ったものです。
僕の友人まで口説き落として、まったく」
はぁとため息をつけば、主もため息交じりに僕をおや、困ったと手を大げさに広げながら苦笑した。
僕の闇の魔力は実は最初は大したものではなかった。心さんの力が創立者の力を超える可能性があること、知ってて近づいたのに、ちょっと寂しい心の闇を追い払ってくれるだけでよかったのに、
心さんの清らかな心で、僕の心は余計に曇った。
綺麗すぎて、僕は彼女と同じ時が歩めないことを…いつしか蝕むほどに憎く黒い心で思うようになってしまう。彼女は、まだ5歳。僕の歳は数えるのを辞めたほど。それは残酷な差で、でも見た目だけは一緒なので悲しかった。
この世界の恋は禁断に近い。
恋すると、成長し、段々と年を取る。
それでも、僕は彼女のへの気持ちを自覚した途端大きくなってしまった。
もう、彼女には会えない。
一緒に遊んで、抱きしめて貰って、頭を撫であう、そんな細やかな友情が—…
いつしか恋に変わる残酷さ。
何て酷い。
何て切ない。
僕は大きくなる彼女を、同じ世界で待てない。
僕も歳をとってしまい、永遠に結ばれない。
なので、時間の掛かり方の違うこの世界で、彼女を待つ。
10年待てば、100年待てば、200年待って、
僕の闇の力は、時間に対する妬み、辛み、憎しみそのもので膨大なものとなってしまう。
魔法は何を源で育つかで、どんなに強く願うかで、力を変えてしまうから。
好きだ。好きなんだ。
名前を付けてくれた彼女が。
僕の両親は、
彼女と出会う前、運悪く悪い魔法使いに挑んで亡くなった。
見た目だけは小さな僕は、悲しくて悲しくて、誰も居ない公園で大泣きした。
恋をしてはいけないのに、沢山子供が居るのはまたの機会に話そうか。
そんな中、小さな心が、ぎゅーっと「泣かないで。一人にしないから」と抱きしめる。
初めて人に、それも人間に。普通の人に、恋をした。
初めは抱きしめられた両親を思い出して胸が痛いのかと思っていた。
でも、四葉のクローバーを探したり、一緒に遊んだり、手を繋いだり、
鼓動が早く、多くなり、
まだ幼い彼女を守りたいと思うようになる。
優しくて、ふざけてしまう。子供だから許されるのよが口癖で、いつも笑ってごまかして。
そんな悪ふざけすらも楽しくて、徐々に感じる歳の差。
「何で、君は背が伸びないの?」
そんな残酷な質問に何て答えれば良かったんだろう。
「心、僕はね、本当はこの世界の住人じゃないんだよ。」
「???」
「心はこの世界しか知らないよ??」
「じゃあ、連れて行ってあげる!!」
手を握って、ご飯を食べた後二人きりになった時に駆け出す。
パパさんに禁じられた遊び。心を僕の世界には連れて行かない事。
それを条件に会わせてもらっていたのを、忘れるほどに楽しくて。
ストロベリーのきのこを食べてお腹いっぱいになったり、
河に流れるチーズをつまみ食いしたり、町の人もとても優しく、一緒にチョコレートケーキを焼いた。
沢山沢山遊んで、
もう、このまま一緒にこの世界へ住めたら、
そう思った。
バシン。
それを知った心の父親は激怒した。
心は普通の人間の女性との間に生まれた子。
物凄い膨大な魔力を持ちながら、あの世界じゃなければ普通の女の子。
それを、無理やり連れて行けば、心はあの世界を忘れられない。そのまま、100年経っても死ねない。そんな酷なことをしてどうするんだ!!と。
頬を叩かれ、僕は冷静に帰る。言ってる事はごもっともで。
僕は彼女を巻き込んだ罪で心が痛む。
その頃から小さかった闇は、僕の心を蝕み、僕は闇の魔法使いになり下がる。
心なしじゃ生きられないのに、
余計なことをしてしまった、
これは恋なんだろうか?
分からない当時の僕。
「ねぇ、心。僕に名前を付けて」
そう聞いた。
「苦人君はどうかな??苦しんでとっても成長するとても優しい人だよ。
苦人君が笑うと私も嬉しい!嬉しいの!!
だから、この世界も大好き!!」
とっても嬉しかった。自覚する寸前、僕の心は揺れてしまう。
彼女の心こそが僕は欲しい。だから、僕は…。
「苦人君が言う成長する木の実は、どこにあるの??」
一緒に成長して、この木の実を食べて、この世界から出られなくしてしまえれば…
そんな邪悪な僕の心を目の前の心は気付かずに、
または賢い子だから気付いていたのかもしれないけれど…。
僕はとても後悔することになるんだ。
苦人君、本当に苦しそう…実はこの話を書くまで苦人君の名前の由来は決めてなかったり(殴)いつもたまに落ち込んでたりするので、心は成長する人だと思ったんでしょうね(^^;)