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“俺は……、その葉月さんが”---------------------やってくれた方がいいんです


“でも”-----------------蓮に見つかる確率の方が大きいから!


“俺、葉月さんの方がっ”-------------------安心して任せられるんです!


“加藤さん……!”---------------------私は自分の身が一番可愛いんです!






「……なるほどね」



蓮の声が、穏やかに響いた翌日の午後。

なんで午後かと言えば、まったくもって私が動けなかったから。

なんで動けなかったかとかきかないでよね! 察してよ察して!



そんな雄たけびを葉月が脳内で展開していた時、少し離れたソファで同じ表情を浮かべた男が一人。


「ったく、へたれはへたれなりに頑張ればいーんだよ。へたれ」


桜子の言葉に、がっくりとした肩をさらに縮める。


へたれへたれ言われるから隠してたんじゃないか! よりによって、まだ行動を起こしていないのにばれるとか! ばれた上に、責められるとか! 理由を吐かされたのに、攻められるとか!



……加藤の脳内は、居た堪れないので出さない方がいいかもしれない;;←書き手





「まぁまぁ、桜子。加藤さんも必死だったんだから、許してあげなよ」

優しく桜子を宥める蓮。

「まぁな。へたれなりに頑張ろうとしたんだから、大目に見るか」


……頑張ったではなく頑張ろうとした。



あくまで桜子は、加藤の行動を評価しないようです←書き手




「で? うまく行ったの?」

蓮が聞けば、桜子は嬉しそうに笑った。

「あぁ、ちゃんとプロポーズ受けたし」


嬉しそうな声に葉月はほっとするけれど、目を瞑って会話を聞いていると男同士みたいだとか思ってるのは秘密。

声は高いけどね。



「そうか、それは良かった。なら、すぐ式を挙げるのか?」

そう問いかけた蓮の言葉に、桜子は僅かに表情を歪めた。


「もう少し時間をおいてから、公にしないで、ひっそりと、だって」

「ん? 別に今すぐ挙げればいいじゃないか」

「……そういうわけには、いかないですよ」


それまで黙っていた加藤が、ぽつりと零した。


「編集者と絵描きの恋愛なんて、小説の中なら大歓迎ですが……。社の人間として、考えて行動しなければならない所があるので。桜子には悪いけれど」



不満そうに口を尖らす桜子に、蓮はなるほどねと呟く。


「桜子の価値が下がるって、そういう事か」

「そんなの関係ないって言ってるのに」


そう言う桜子に、珍しく加藤さんは再び否定の言葉を口にした。




蓮はそんな二人にため息をつきながら、まぁいい、と話を切り替える。



「で、お前も今回の理由は聞いたんだろ? どうする?」


とたん、膨れていた桜子の顔が一気に意地悪いものへと変わり……。


「もちろん、任せろ」



……何、今の不穏な言葉。



加藤と葉月の脳内思考が一致したところで、がばっと桜子と蓮に目を向けた。

そこには、USBフラッシュを蓮に渡す桜子の姿。


「ちょっ、まっ、桜子!?」


我に返った加藤が、慌てて立ち上がるとUSBフラッシュに手を伸ばす。

けれどすんでの差で、蓮の手に渡ってしまった。


「待てっ! 今の、何のデータが……!!」


桜子の両肩を掴んで問いただす加藤に、彼女は無情な答えを満面の笑みで言い放った。



「昨日の夜」



弾かれた様に蓮に追い縋る加藤は、さながら娘さんに追い縋る森のくまさん……。



「お願いします! 返してください! それだけはっ、それだけはぁぁぁぁっ!」

土下座をせんばかりに頭を下げる加藤に、連はにっこりと笑いかけた。



「前回の続編で書けますね」


「やっ、止めて下さいぃぃっ!!」



そう蓮に叫んでから、傍らに立つ桜子にその目を向けた。


「お前、そんなこと晒されて嬉しいのか!?」

加藤が桜子に、至極まっとうな疑問をぶつければ。

「うん」

満面の笑みを返す、桜子。

灰になりそうな雰囲気だったけれど、次に蓮が言った言葉に加藤が思いっきり固まった。


「R18、今度こそ挑戦してみるか。な、桜子」


今更ながらぶりっこを演じはじめた桜子が、くねくねと体を揺らす。


「えー、桜子ってばぁ。どきどきしちゃうぅっ」


「なっ、なっ!」


すでに加藤の発する言葉は、言葉になっていない。

発声練習のように繰り返す音を口から叫ぶ加藤の横で、桜子はくねくねと体を揺らす。



「桜子、ちゃんと描けるかなぁ。昨日の三回目のぉ……」


「うぁぁぁぁぁあっつ!!」



顔を真っ赤にした加藤が、桜子の口を塞いでその言葉を止める。



……止めても、想像つくけどね。

そんな事を考えながら二人を見ていたら、ふと加藤と目があった。



涙目で、葉月に何か訴えている。

どうにかしてくれって、訴えている……のは分かるけれど無理! と、葉月は脳内でばってんポーズを浮かべた。


自分の身の方が可愛いんだってば!


そう訴え返して、諦めろっていう視線を送る。

あぁ、縋るような目を向けられても、困っちゃうんだって……


「……何、アイコンタクトしてるの?」



いきなり響いた冷たい声に、びくりと肩を震わせた。

主に、加藤と葉月が。


恐ろしい雰囲気に引きつりながら、葉月が蓮に目を向ければ。

笑っているのに、目がまったく笑っていない蓮の姿。



「ほんと、二人って学習しないんだね」


「え、蓮……?」


思わず呟いた声と、重なる様にかわいらしい声が男言葉を吐く。


「ほんと、学習しないよな」


「さ、桜子」


いつの間にか外れた加藤の手を掴んで、桜子がにやりと笑んだ。


「帰るよ、祐介」

「え? いや、USB……っ」

蓮の持つUSBに目を向けた加藤は、ぐいっと襟首を掴まれて固まった。


「今すぐ、結婚しました報告ブログに載せてやろうか」

「……!!!」


そういうと、固まったままの加藤を引きずって桜子はリビングのドアを開けた。

そして満面の笑みを浮かべて、葉月を振り返る。




「じゃぁねぇ、葉月さぁん☆ お大事に~^^」





それに何も答える事が出来ないのは、蓮の笑みが怖くて加藤同様葉月も固まっていたから。




「葉月。そんなに、俺に怒って欲しいの?」






伸ばされる手を見つめるしかなかった、ホワイトディ当日の夕方でした。



完結となります!

ここまでお読み下さり、ありがとうございました^^

次ページは、終わりのご案内という名の篠宮反省部屋です。

長くなっちゃったおまけもあるよ!

足を踏み入れて頂ければ、篠宮が転げまわって喜びます☆

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