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きっとこんな最期


あいつが殺しにくる


狂ったあいつが殺しにくる


わたしを殺しにくる


包丁を両手で握りしめ


刃先を真っ直ぐとわたしに向けて


あいつが立っている


わたしを真っ直ぐと見つめている


いつものあいつじゃないみたい


狂ったあいつ


なにを言っても無駄みたい


死にたくないなら逃げるだけ


わたしの言葉は聞こえない


いくら止めても駄目みたい


このままわたしは殺される


そう ならば


わたしは黙って背中を向けよう


あいつのそんな姿は見たくないから


わたしは黙って腕を広げよう


この背中で その包丁を


受け止めるよと語ってみせよう


きみの思いを受け入れるよと


微笑みながらそう言おう


涙を流してそう言おう


まだあいつが人間であるなら


この言葉が届くだろう


そして涙を流すだろう


ああ そして


わたしは最期にこう言おう


それはまるで


物語の台本通りのような


ありきたりな台詞


ごめん と ありがとう


最期の瞬間に


きっと走馬灯のように駆け抜ける


数々の思い出に


家族に 友人に 恋人に


先輩に 後輩に 先生に


同級生 ただのクラスメイト


とても深く愛していた人々


それはわたしを構築していた


世界のすべて


さようなら


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