33/75
わたし
時々
むしょうに謝りたくなる
でも
なにに謝っていいか分からなくて
だれに謝っていいか分からなくて
ただ ひたすらに
頭のなかで『 』に謝る
ごめんなさい すみません
本当にすみません ごめんなさい
わたしが悪いから
サヨナラしなきゃいけないのに
なににサヨナラしていいか分からなくて
だれにサヨナラしていいか分からなくて
だから 自分とサヨナラした
わたしは わたし以外のひとに
『わたし』を知られないようにした
だれも『わたし』を知らない
『わたし』を認識するひとがいないから
『わたし』は死んだ
わたしは 『わたし』を殺し
『わたし』以外とサヨナラした
認識してくれるひとがいなくなって
『わたし』は消えたんだ
だから わたしはニセモノ
もう『わたし』はいない
なにと だれとサヨナラしていいか
分からなかったから
自分とサヨナラすることで
みんなとサヨナラした
結果 『わたし』は死んだ
もう 謝らなくていい
だれも傷つかない
だれも傷つけない
そのはずだったけど
まだ謝罪はとまらない
もうサヨナラする相手などいないのに
またサヨナラしようとしてる
だれもいないのに
サヨナラしようとしてる
もう傷つけない
もう傷つかない
くるしい
